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若手の自分らしさと自分勝手の違い 組織と個人はどのように共存するのか

若手の自分らしさと自分勝手の違い 組織と個人はどのように共存するのか

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著者

降籏 光星

著者

降籏 光星

株式会社NEWONEに新卒入社。研修をメインとして、人材育成・組織開発のHRパートナーとして従事。新入社員・若手の育成体系作りから管理職主導の組織開発等幅広い階層を支援している。また、一般企業だけでなく大学でもキャリア自律をテーマに支援をしている。

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入社して5年が経ち、多くの人事さんと様々な企画をご一緒させて頂き、多くの若手の方々や管理職の方々にお会いさせて頂きました。

その中でここ数年かなり多く聞く言葉が「自分らしく働きたい」というフレーズです。

組織に入ることを自己選択した上で、成長すること、成果を出すこと以上に、自分らしさを出せる職場(受け入れてくれる職場)かどうかに価値を感じる、不安に感じる若手が急増しているように感じます。

成長する、成果を出すことにモチベーションを感じる方は、壁にぶつかっても「成長痛」と捉えることができますが、このような捉え方をする若手が減っているように感じます。壁にぶつかった時に「自分に向いていないんだ」「成長したいと思っていないからいいや」という捉え方が、入社後ギャップを強く感じさせる背景であるとも感じます。

このような変化は、現場で向き合う方々からすると、違和感を感じることがあるかも知れません。
管理職の方々にとっては、「組織貢献よりも先にもっと自分らしく働きたいと言われて難しい」、「若手同士で集まり自分たちの世界を作り周囲を敵対視する」と言った声も聞かれます。

この点に関して私は、

  • 若手は自分らしさと自分勝手を理解すること
  • 管理職はそこに向き合ってあげること

が重要だと捉えています。

私自身もチームを持つ身として感じた事は、「前提条件があれば成り立つ」という事です。

~自由と制限は表裏一体~

自分らしさとは、他者と交わって初めて成立する概念です。完全に一人でいるならば、そもそも自分らしさを意識する必要はありません。難しいのは、集合体においてどう自分を定義するかだと捉えています。

自分らしさとは自分が自分でいる事ではなく、関係性の中で生まれる自己表現であり、何を選択しどう振る舞うかを自己決定するプロセス及び選択の結果と捉えています。

したがって、「自分らしくある」ことは、組織の中で自分らしくあるための選択をするという、能動的な態度が不可欠です。それは「組織に合わせる」ことではなく、「組織における自分を自分で選ぶ」ということ。そこには、時に自己主張を抑え、時に意見を通すという判断が必要ですが、合わせなくても良い訳です。それが選択するという事です。

それがないまま「私はこういう人間なんで」と主張するのは、他者の存在や組織の目的を軽視する態度、すなわち「自分勝手」にあたります。

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~どう共存すべきか?人事、関係者としてできること~

では、マネジメント側として、どのようにこの問題に向き合えばいいのでしょうか。

私たちにできるのは、以下の3つだと考えます。

  1. 「選択」の機会を与え続ける
     選択するという事は時に痛みや不安も伴います。ただ、それがない状態で受け入れてほしいという状態であることに、違和感を感じさせることが重要です。あらゆる選択の機会を自身の経験にする機会を提供し続けることが、関わる側としてできることだと思います。
  2. 「共通ルール」と「個性」の境界を明確にする
     自由を与える一方で、守るべき基本的な組織ルールは明文化し、説明責任を果たす。曖昧な状態が続くと「自由=なんでもアリ」になってしまいます。
    説明責任と質問責任を常にお互いが持ちましょう。
  3. 個の主張と組織目標を結びつける対話を繰り返す
     若手が言う「自分らしさ」を真正面から受け止め、組織にどう貢献できるかを一緒に考える面談やフィードバック機会を定期的に設ける。所謂ガチ対話です。


「自分らしさ」が組織の中で活きるためには、それが自分の選択と責任に裏打ちされたものであることが大前提です。そして若手に関わる私たちは、それを支える設計者であるべきです。「自由の中の制限」を伝え、「自分らしさ=選択の責任」であることを共に学ぶ。そこに、個と組織の健全な共存のヒントがあるはずです。

このような若手の育成設計にお悩みの方は、お気軽にお問合せ下さい。