事例概要
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導入サービス
・ OJT基礎研修
実施概要
中途社員が多い組織の中で、育成風土を醸成することを目的に、OJT研修を実施。
マネジャーから、係長、主任とほぼ全社員が受けることで育成へのスタンスを整えるとともに、社員の離職防止につなげる。2013年よりプログラムがスタートとし、今年で6年目となる。
※写真(左から)(株)メディカルユーアンドエイ 管理部 人事総務課 課長 藤本 真奈実様 (株)NEWONE?代表取締役社長 上林 周平
ー 本日はどうぞよろしくお願いいたします。さっそくですが、貴社の事業内容や組織について教えてください。
藤本様:当社は、医療機器の輸入と国内販売を行う、専門商社です。札幌から福岡まで全国7拠点で営業展開をしています。主に扱っている製品は、形成外科、脳神経外科、心臓外科、小児外科、美容外科等の手術器具・機械となり、そこに付随する関連製品も取り扱っています。部署は大きく分けて商品開発、営業、管理と3つの本部があり、その下にそれぞれの課が存在しています。従業員数は、約150名程となります。
ー OJT研修を実施するに至った背景を教えてください。
山崎様:大きな理由の1つは、離職率を低下するためです。積極採用の反動として離職率が増えた時期がありました。そこで、働きやすい会社、社員が成長できる会社を目指すために、若手の育成を強化することになり、OJTの研修を実施することになりました。マネージャークラスを対象にスタートし、現在では、ほぼ全社員が本研修を受けた状態にまで至っています。
ー 実際、実施してみての率直なご感想や、効果があれば教えてください。
山崎様:結果として、離職率は相当下がってきています。新入社員も、毎年少人数ではありますが採用しており、育成の環境が少しずつ整ってきています。働きやすい環境づくりの一環としては、お陰様で非常に大きな成果が出ていると思っています。
また、研修自体が、社員のロイヤリティを高める効果もある上に、1つの場所で複数部署の方が話す機会もなかなかありませんので、単にOJT研修というだけではなく、お互いを知る機会としても大きな効果があったと思っています。
ー ありがとうございます。効果が明確に出ているとのことですが、研修以外にも取り組まれた施策はありますか?
山崎様:離職率や残業時間など、自社の数字を明確にすることに取り組んできました。元々弊社は、数字を見る文化がなかったのですが、自社の数字を出すことに加えて、厚生労働省が出しているデータとも比較しながら取り組んできました。研修の時も、NEWONEさんに、ただ丸投げするのではなく、毎回冒頭にお時間を頂戴し、研修の位置づけや、会社の現状を知ってもらうために、数字を含めてお話させていただきました。その効果もあって、以前より残業時間が半分に減っていたり、有休取得率も上昇しているのだと思います。
生産性向上の秘訣は心理的安全性?
ー 先程、ロイヤリティとおっしゃっていただきましたが、ご一緒する中で、社員のエンゲージメント向上も意識されていると感じるのですが、何か取り組まれていることはありますか?
山崎様:2、3年前に、人事のテーマとして、エンゲージメントを高めようと掲げたことがありました。その時から、1つの手段として、研修などは定期的に、かつ計画的に実施してきています。意識的にやってきたからこそ、それなりの結果が出てきているのだと思います。
ー なるほど。エンゲージメントを高めようと実施してきたとのことですが、それは会社方針や事業戦略としてあったのでしょうか?
山崎様:はい。会社全体で生産性を高めようという方針があり、その1つにエンゲージメント向上がありました。心理的安全性という言葉もありますが、そのための第一歩として取り組んできました。心理的安全性については、2年ぐらい前から意識し始めていて、評価も含めて会社の組織風土を変えていこうという動きがあります。OJT研修の中でも、組織風土にまで踏み込んでOJTとつなげてお話いただいていますが、組織風土は、会社が変えるのではなく、研修に参加した一人ひとりが、自分たちが変わることで変わっていくということが大事だと思っています。
何でも会社から与えられるものと思いがちですが、そうではなく、一人ひとりが、研修で言われたことを行動に移すなど、意識や行動が変わることによって組織風土が少しずつ変わっていくものだと思っています。働きやすい環境も、自分たちで作れるのだという認識が、少しずつできてくると、心理的安全性にもつながっていくのではないかと考えています。
ー 心理的安全性を高めるために、他にどんなことが必要だと思われますか?
山崎様:人事のリソースが限られているため、まだ着手できていませんが、評価や制度の部分について、取り組んでいかなければならないと思っています。
制度は日常的に変えていくことも必要ですが、制度そのものを変えることが目的ではなく、その運用の中でマネジャーとメンバーの関係性を高めることで、マネジメントレベルを上げ、最終的に社員の満足度を少しずつ上げていければと考えています。
そのためには、制度の理解や運用も重要になってくるため、マネジメントを強化する必要があると思っています。特に、評価にかかわるマネジメントの基本や、コミュニケーション力、コーチング力などに落とし込みたいと思っています。
組織風土を変えるのは「会社」ではなく、「自分」である
ー 風土が変わってきているという実感はありますか?また、そう感じる点はどの辺にありますか?
山崎様:変わってきているという実感はあります。もちろん、まだまだですが、特に、5、6年前から居る社員はそう感じている人が多いと思います。
会社から与えられるのではなく、ジブンゴトとして捉え、自分が変わることで会社も変わる、周りとのコミュニケーションが良くなることで、自分の仕事がしやすくなる、という考え方は、以前よりは強くなってきているなと感じています。
ー 上林さんから見て、6年前とどのように組織風土が変わっていると感じますか?
上林:研修の場に来られる方が、自然体になりましたね。そして雰囲気も明るくなって、さわやかになりましたね(笑)。研修中に、意図的に本音が出るようにファシリテーションを心掛けますが、会社に対する他責発言もかなり減ったと思います。
ー 施策を打っても組織風土がなかなか変わらない会社も多い中、これが有効だったなと思われる打ち手があれば教えてください。
山崎様:そうですね、大きく2つあるかなと思っています。まず1つ目が、先程の繰り返しにはなりますが、やはりデータに基づいて取り組んで来たことかなと思います。会社の現状を数字で見える化し、それを都度研修の場や、全体会議の場、日常の掲示板の中で、発信してきたことかなと思っています。離職率や、残業削減や有休取得についてイメージで語るだけはなく、それが本当にどうなっているの?と可視化し続けたことが良かったと思います。
2つ目は、研修を単発ではなく継続してやってきていることかなと思います。他社では当たり前かもしれませんが、弊社として継続してやるということは、これまでと違う取り組みになります。OJT研修がある程度網羅できたので、次をどうするかについては、別途ご相談させていただいている件になるかと思います。
ー 残業削減や有休取得促進、エンゲージメント向上に対する施策など、いわゆる働き方改革の施策は、うまくいかない場合もありますが、貴社が成功している秘訣は何ですか?
山崎様:生産性向上については、会社としてずっとメッセージを発信してきています。本来、「働き方改革=残業削減」ではないのですが、一旦は、それで良しとして残業削減にこだわって取り組んできました。今は、そこのメッセージを少しずつ変えていて、生産性は、また別の切り口でRPAを導入したりしています。
また、新入社員に も会計知識を教えています。その中で、生産性が何かということも、データに基づいてやっています。会社の数字が見えないと、会社がいくら残業を減らせ、生産性向上と言っても、自分たちは具体的に何をしたら良いかがわからないため、行動に移すことができません。売上をもっと上げることなのか、利益を増やすためにコスト削減することなのか、何が一番インパクトが強いのかを理解するため、会計の数字から学ぶようにしています。これも、1回やっただけでは理解できないので、継続的にやっていくことが必要だと思っています。
今いる社員を大事にし、組織を次のステージへ
ー 改めて、今回我々にお任せいただいた理由、また長期間ご一緒させていただいている理由について教えてください。
山崎様:研修導入の際には、何社かお会いさせていただくのですが、こちらのある意味わがままな、そして厳しい要求に対して、真摯に向き合う姿勢や対応力、研修の企画設計力が優れていた点です。また、研修の進め方を見ても、非常に安心感を持ってお任せできる点や、きちんと我々に向き合って応えてくださるところが、長くご一緒させていただいている理由かなと思います。
あとは、権さんの人柄ですかね(笑)。本当に、最初は厳しい要求をしたと思いますが、すごく真摯に対応していただいたことや、上林さんを講師としてセッティングしていただいたことにも本当に感謝しています。
藤本様:必ず実施前には、今の状況を丁寧にヒアリングしていただける点など、こちらもメンバーや状況が変わる中で大変有り難いことだなと思っています。私たちも、現状をオープンにお伝えさせていただくことで、研修もより効果的な場になっていることだと思います。
ー ありがとうございます。今後、どんな組織づくりを目指していますか?
山崎様:会社が目指す方向に向けて、どれだけ社員の質を高めていけるかが大事かなと思っています。我々は専門商社なので、商品も大事ですがそれを売ることや、サポートする人材の質を高めることで、どんな体制になっても、やっていけるという状態をつくることが、今の我々人事が目指すところかなと思っています。
藤本様:今いる社員を大事にしながら、組織を次のステージに、ステップアップしていけたら良いなと思っています。会社が変化してきている節目でもありますので、中には不安がある社員もいると思います。私たち人事ができることは、そういった不安をいかに払拭できるかということと、活躍できる場がまだまだここにはあるというメッセージをどれだけ発信できるのか、きちんとフォローして、次のフェーズに引っ張っていきたいなと思っています。
ー 長期間に渡って貴社とご一緒させていただいていることに、改めて感謝いたします。本日は貴重なお話をお伺いさせていただき、ありがとうございました。今後とも引き続きよろしくお願いいたします。
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