(2)首都大学東京オープンユニバーシティー様の事例紹介

“今、企業に求められる「生産性の向上」”というテーマで、依頼を受けて講演を行いました。

(2)首都大学東京オープンユニバーシティー様

生産性向上のための3つのポイント


最後のセクションとなりますが、「生産性向上のための3つのポイント」についてお話させていただきます。ここでは、職場に寄せて、生産性を高めるためには具体的に何を意識していけばよいのか、以下3つのポイントからお話させていただければと思います。

1. ダイバーシティ・マネジメントの実現
2. 会議の質をあげる
3. 企業内育成

まず1つ目は「ダイバーシティ・マネジメントの実現」が挙げられます。マネジャーがどれだけ生産性高いチームを作れるか、イノベーションを起こせるチームを作れるかが、一つ鍵になってくるだろうなと思っています。

これまでは同質な人たちで、指示系統が明確なトップダウン型の組織から、多様な働き方や価値観を持った人の強みを引き出し、活かすチームを作ることが求められてきます。

「ダイバーシティ」という言葉も、最近はよく聞かれますが、直訳すると「多様性」という意味になります。しかし、重要なのは「Diversity & Inclusion」すなわち「多様性の受容」と言われています。

ダイバーシティ・マネジメントは、「多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげていく、マネジメント手法のひとつ」になります。言葉にすると簡単ですが、みなさん少し想像してみてください。突然、明日から自分の部下に外国人が入って来たとしたら。

これまで、似たような価値観の人が集まる組織なら、部下の育成と言えば自分のコピーを育てるような感覚だったところを、自分とは違う人材を育てていかないと、多様性のあるチームは作れないし、新しいものも生まれないということが起こってきます。

では、どうやって多様なチームを作ればよいのか。ジョブズは、「必要なのは共通のビジョン、それを提供するのがリーダーシップだ」という風に言っています。様々な価値観や働き方をする人たちに対して、向かうべき先をきちんと明示することが必要であると。みなが同じ方向を向いた上でスタートしないと、バラバラになるということです。

また、マネジャーがビジョンを描く際に大事なのは、会社方針からブレイクダウンされたものであることと、メンバーが、自発的に取り組みたいと思うか、このチームでがんばりたいと思えることが、チームを作る上で大事な要素となってきます。

2つ目のポイントは、「会議の質をあげる」ことです。これまで、多くの企業で様々な階層の方々に研修をさせていただきましたが、組織や部門の問題として「ムダな会議が多い」という声はどこの企業、どの階層でも上がってきます。そのため、仕事の生産性を高めるには、ムダな会議をやめること、会議の質をあげることが、私は手っ取り早い方法かなと思っています。

いい会議と悪い会議の違いを考えてみるとわかりやすいと思うのですが、いい会議というのは、論点に対して結論が出て、参加者の次のアクションが明確になっている、時間内に終わるなどが挙げられます。そのためのポイントをいくつかご紹介できればと思います。

会議をする際に、何を話すのか、どうやるのかは明確になっていても、「なぜやるのか」のWhyを明文化していないケースが多く見受けられます。このなぜやるのかを、参加者の立場になって明確にすることが、参加者が自分事になるための一つ大事なポイントになります。

次に、会議の時間に対するマネジメントです。会議のファシリテーションをする人は、会議のシナリオをあらかじめ想定し、GOODシナリオだけではなく、BADシナリオも想定することが大事です。“〇〇さんは思いもよらぬ方向から意見を言ってきて、話が長引きそうだな、〇〇さんは反論して場が悪くなりそうだな”など、BADシナリオになった時、会議終了をどこまでイメージできるかが大事なポイントとなります。また、BADシナリオに陥った時のことも踏まえ、会議のゴールを、以下(図)のように3つ設定しておくことも必要です。

さらに、会議が時間内に終わるように、あらかじめ時間配分の設計をしておくことも必要です。何分までは発散、意見出しを行い、何分からは収束に向かうと設定しておくことです。そうすることでダラダラと長い会議をすることがなくなります。

ここまでが、会議を始める前までの事前準備のポイントになります。ここからは、実施する際に意識するポイントをお伝えします。先程、この会議はなぜやるのか、Whyを明文化することが大事とお伝えしましたが、実施する際に、参加者に目的を伝え合意することが必要になります。

次に、意見ではなく、論点をマネジメントすることです。よくあるのは、論点ではなく意見にフォーカスしてしまい話がどんどん違う方向に広がってしまうことです。脱線したとしても、論点をマネジメントしていれば、本来議論すべき「問い」について話を戻し、議論することができます。

先程、会議のゴールを3つ用意するお話をしましたが、進める中でどこに着地するのか、途中で合意を取ることができるといいと思います。ここまで実施する際のポイントをお話してまいりましたが、言うのは簡単ですが、やるのは結構難しく、このようなポイントがおさえられていない会議が多いのかなと感じています。会議の質をあげていくということが、日々の生産性を高めることにつながるのではないかと思っています。

次に、生産性を上げるための3つ目のポイントとして、「企業内育成」についてお伝えさせていただきます。私が2012年から企業内研修を提供する立場にいることもありますが、企業内の人材育成も生産性を高める必要性があると感じています。どういうことかと言うと、残業を減らすなど、時間に対して色々言われている中で、研修時間というのは本当に適切なのかということを、改めて考える必要があると思っています。

自戒の念も含めて言うと、研修効果が見えにくいこともあり、研修のゴールをあいまいなまま進めてないかを問う必要があります。何のために研修をやったのか、離職率を減らす、売上を上げるなどゴールを明確にして実施していかなければならないと思っています。

また、人の成長は、経験:薫陶:研修=70:20:10といわれています。経験が70%と言われる中で、研修を起点に考えるのではなく、職場でどのような経験をさせるか、経験を起点として、企業研修を設計する必要があるのかなと。そうすることで、企業で行われている研修も生産性を上げることができるのではないかと思っています。

また、我々研修を提供する側は、研修後、職場に戻って経験を積むところのサポートができればと思っています。研修をやって終わりではなく、実際現場に戻って不明点が出て来た時に、具体的なフィードバックができれば、研修の生産性は上がるのではないかと考えています。

「働き方改革」が叫ばれている中、いろんな企業が様々な取り組みを行っています。その先には、一人ひとりが自ら価値を生み出せるかどうかが問われる時代がくると思っています。今後、ますます働き方に格差が生まれてくると感じる中で、私は、この格差をなくしていきたいと思っています。

自分の人生の主体者となる人を増やし、一人ひとりが自分らしい生き方、自律的なキャリアを選択できる世の中をつくりたいと思います。WORK(仕事)とLIFE(人生)が別々ではなく一つになる世界をつくることにこだわり、探求していきたいと思っています。また、世の中や組織の課題に対して、微力ではありますが、何かしら寄与できればと思っています。
本日は、最後までご清聴いただきありがとうございました。

※講演のご依頼や、お問合せはこちらからお願いいたします
※関連サービスはこちら

NEWONEでは、あらゆる企業のご希望やお悩みにあわせた
多種多様な研修を取り扱っております。

お問い合わせはこちら