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はじめに
中途入社者のオンボーディングは、多くの企業にとって課題となっています。即戦力として中途で採用した社員に対しては、「これまでの知見やスキルを活かしてほしい」という期待が高い一方で、「前職の経験を活かすことにこだわりすぎて馴染めていない」という受け入れ側の声も少なくありません。
では、実際に中途入社者として「前職の経験にこだわらない」と「前職の経験を活かす」をどのように両立させるべきなのでしょうか。本記事ではその方法について解説していきます。
前職の経験にこだわらないことの重要性
まず、中途入社者には「組織の再適応課題を乗り越える」というオンボーディングにおける重要なプロセスがあります。この課題を乗り越えることは、異なる組織文化や業務スタイルに馴染むために必要です。
特に、過去の成功体験や慣れたやり方を手放す「アンラーニング(学びほぐし)」や、「中途採用者だから」という思い込みや遠慮意識を取り除く「中途意識の排除」は新卒入社者にはない、中途入社者固有の適応課題です。
「前職の経験にこだわる」ことは、この適応を妨げる要因の一つとなります。
前職で効果的だった手法や考え方が新しい職場でもそのまま通用するとは限りません。新しい環境では、前職でのやり方を一旦、脇に置いておいて、転職先の文化や価値観を尊重する姿勢が求められます。
それでは、そういった環境の中で、前職の経験を「活かす」ために、中途入社者にはどのような思考・行動が求められるのでしょうか?
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前職の経験を活かす方法とは?
結論として、前職の経験を活かすには「転職先の職場」を主語とした思考・行動が重要です。多くの場合、「前職の経験にこだわっている」と捉えられてしまう中途入社者は、自分を主語とした思考・行動になってしまっている傾向があります。例えば、以下のようなイメージです。
- 「前職の経験から私はこう感じています」
- 「前職ではこうしたら上手くいきました」
このように「前職の経験にもとづく自分の感想」を主張するだけだと、転職先の職場の課題や状況を無視している印象を与えかねません。結果として「前職のやり方を押し付けている」と思われてしまうことがあります。
一方、「転職先の職場」を主語にした思考・行動に転換することができれば、前職の経験が活かしやすくなります。具体的には、以下のようなイメージです。
- 「この職場では業務生産性向上を目指しているので、その実現に向けて○○の仕組みが有効だと感じています。前職では具体的に△△を行い、効果があったため、試してみても良いでしょうか」
このような発言を行えるようになれば、自分の経験を「あくまでも転職先の職場における、目的達成や課題解決のための手段」として活用している印象を与えることができます。
こういった思考・行動を意識することで、前職の経験を「単なる過去の成功体験」としてではなく、「転職先に価値を提供するための資産」として活かすことができます。
まとめ
中途入社者には、オンボーディングの過程で多くの適応課題が生じます。それに伴い、悩みや葛藤が生じるのは当然のことです。
しかし、その中で「転職先の職場」を主語にした思考・行動を意識することで、早期に成功体験や貢献実感を得やすくなります。
「前職の経験にこだわらない」と「前職の経験を活かす」の両立を目指していくことが、新しい職場において早期に活躍するための鍵となるでしょう。