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人材枯渇時代に向けた対処法 組織開発×人材採用による新たな人材戦略 ~推せる職場作りとリファラル採用の循環モデルとは~

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近年、働き方改革の進展や労働市場の変化により、「働きやすさ」だけでなく「働きがい」を感じられる職場作りを行う企業が増えています。しかし、法規制の強化や人材不足が背景にある現在の職場環境では、いわゆる「優しすぎる職場」が増え、若手社員のキャリアへの不安が高まるケースも増えています。では、どうすれば従業員のエンゲージメントを高め、企業が持続的に成長する職場を築けるのでしょうか?

本記事では、MyReferを中心にリファラル採用をリードしてきたTalentXと「働きやすさ」だけでなく「働きがい」があり、かつ人に推奨したくなる職場を「推せる職場」と定義し、「推せる職場」作りの組織開発支援を行っているNEWONEで、これからの時代の人材戦略について語っていきたいと思います。

※本内容は、2024年9月10日実施セミナーの内容をまとめたものです

「推せる職場の作り方」

「推せる職場」とは、従業員が職場に対する心理的所有感を持ち、「この職場をもっと良くしたい」と思える環境のことを指します。

NEWONEでは、この「推せる職場」の実現をエンゲージメント向上のカギとしています。では、どうすれば「推せる職場」を作れるのでしょうか?

ポイントは以下の3つです。

1. 自己決定感の重視

働きがいを高めるには、従業員が目標設定に意見を反映したり、チームの方針に提案できる場を提供することが重要です。社員が自分の考えや意見を持ち、それが職場で尊重されることで、自己決定感が生まれます。

2. 心理的所有感の育成 

「推せる職場」では、社員が職場に対して心理的所有感を持つことが重要です。これは、自分の力で職場に影響を与え、貢献することで高まります。いわゆる「推し活」にも通じるこの心理は、未完成のものを支えたいという気持ちから生まれ、職場をより良くする原動力になります。

3. 従業員全員で磨くポイントの共有

職場の良い点を全員で共有し、それをみんなで磨き上げていく文化を作ることも大切です。これにより、新しく入ってくるメンバーへのオンボーディングがスムーズになり、心理的所有感が醸成されます。

「働きやすさ」だけでなく「働きがい」があり、かつ人に推奨したくなる職場「推せる職場」をつくっていきましょう。

戦わない採用「リファラル採用」のすべて

リファラル採用とは、優秀な人材をミスマッチなく獲得でき、社員エンゲージメントが高まる効果的な採用手法のことです。

リファラル採用の進化:1.0から3.0へ

– リファラル採用1.0:社長や経営幹部のコネクションによる採用で、選考プロセスがあまりない手法。

– リファラル採用2.0:社員をリクルーター化し、インセンティブを用いて強制的に動かす方法。

– リファラル採用3.0: 無理に動かすのではなく、社員が自発的に「この会社をおすすめしたい」と思えるような関係づくりから始まる方法。

「推せる職場」では、従業員が自発的に推奨するため、リファラル採用3.0の実現に最適です。社員が職場に対する当事者意識を持つことで、リファラル活動が自然に拡大し、より質の高い人材の採用につながります。

エンゲージメントとリファラル採用の相関関係

リファラル採用とエンゲージメントは深い関係があります。研究によれば、リファラル採用がエンゲージメントの「動機付け要因」と強い相関を持つことが確認されています。特に注目すべきは以下の2点です。

1. 組織市民行動の促進

組織市民行動とは、職場に貢献するための役割外行動のことです。リファラル採用に関与することで、社員が自発的に職場に貢献する行動が増え、会社全体のパフォーマンスが向上します。

2. 愛着の高い組織文化を創ることができる

「ザイアンスの法則」によれば、人は知れば知るほどその対象を好きになる傾向があります。リファラル採用を通じて自社の情報を知り、それを他者に伝える機会が増えることで、社員の愛着心が高まり、企業文化の強化につながります。

リファラル採用を成功させる4つのフレームワーク

リファラル採用を効果的に進めるためには、人事は会社の中で最も自社のファンであり、おすすめしたい会社を創るディレクターとして、以下の4つのステップを進めることを推奨します。

1. 「認知」

社員にリファラル採用の情報を定期的にマーケティングし、忘れられないようにする。例えば、リファラル採用で入社した社員のインタビューを社内で共有することで、安心感を醸成する。

2.「共感」

リファラル採用を推進する背景やストーリーを伝え、社員の共感を得る。企業の事業計画やビジョンに基づき、なぜリファラル採用が必要なのかをしっかりと伝える。

3. 「行動」 

社員が気軽に参加できるイベントを企画し、紹介のハードルを下げる。イベント参加型の採用活動など、気軽に友人を誘える仕組みを用意する

4. 「ファン化」 

リファラル活動に参加した社員にフィードバックを行い、良い体験で終わらせる。紹介した友人が不採用になった場合でも、その理由を丁寧に伝えることで、次回も紹介したくなる環境を作る。

「推せる職場」への転換が職場改善のカギ

「優しすぎる職場」から「推せる職場」への転換こそが、エンゲージメントの向上と効果的なリファラル採用の成功につながります。職場の良い点を全員で共有し、新しいメンバーを迎え入れる際にはオンボーディングを徹底することで、社員の心理的所有感を育むことが重要です。

リファラル採用を通じて社員のエンゲージメントを高め、組織全体のパフォーマンスを向上させることこそ、人事担当者が今後目指すべき職場づくりの一つの形です。企業の持続的な成長のために、ぜひ「推せる職場」への転換を図っていきましょう。

NEWONEでは、エンゲージメント向上をはじめとした
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「推せる職場作りとリファラル採用の循環モデルとは」

Q:今、日本の企業ではリファラル採用2.0と3.0の割合は、だいたいどれくらいなんでしょうか?

鈴木氏:2.0と3.0の違いって、外から見ると測りづらい部分もありますが、2018年ごろからリファラル採用が普及し始めて、最初はインセンティブ重視の2.0が主流でした。ただ、2019年あたりからだいぶトレンドが変わってきましたね。今、特に私たちがサポートしている企業の多くは、3.0の考え方を取り入れていることが多いです。

Q:リファラル採用を進めている企業の中で、うまくいかないケースってどんなところでつまずくんでしょうか?

鈴木氏:リファラル採用を推進する際に、「認知」「共感」「行動」「ファン化」の各ステップで課題が生じることが多いです。例えば、認知の部分で言うと、制度設計で満足し、月に1回求人情報を送るだけという企業もあります。これでは、社員が共感して行動に移す仕組みにはなりません。また、透明性のある情報が不足していると、当事者意識が湧かないんです。

上林:たしかに、目標設定に関与できたかどうかって自己決定感に関わりますよね。短期的な目標に走りすぎると、強制力が働いて2.0のようになってしまう、という特徴もありそうです。

鈴木氏:そうなんです。例えば、3カ月で10名採用といった短期的な目標設定に固執すると、どうしても強制的になりがちです。

Q:リファラル採用の比率は、日本の大企業だと、どのくらいが平均なんでしょうか?

鈴木氏:企業によってかなりばらつきがありますが、製造業などでは初年度にリファラル比率を5%に設定し、2年目には10%、3年目には15%と段階的に増やすケースが多いですね。最初から30%を目指すのは難しいことが多いので、まずは5%から始めるのが一般的です。

Q:紹介料はどのくらいに設定するのが多いのでしょうか?

鈴木氏:前提として紹介料は各企業の判断で設定されていますが、金額は採用職種の単価によって異なりますね。例えば、法人営業職だと10万円が一般的です。エンジニアやコンサルタントの場合は30万円、飲食業のアルバイトスタッフだと5,000円といった具合です。

Q:不合格になった場合、紹介者との関係が気まずくなるのでは?

上林:弊社では、例えば、不合格の場合は紹介者と候補者が一緒に食事に行く費用を企業が負担するなど、フィードバックをしっかり行うことを大切にしています。

鈴木氏:そうですね。また、リファラルだからといって特別扱いするわけではなく、通常の選考プロセスを経るという共通認識を持つことも重要です。

Q:リファラル採用を進めるには、やはりマネージャーの意識改革も欠かせないのでは?現場のマネージャーの意識が採用に積極的かどうかが、成功の鍵になる気がします。

鈴木氏:その通りです。私たちの調査でも、リファラル採用がうまくいく企業の共通点は、マネジメント層や経営層が協力的であることです。現場の管理職が当事者意識を持つことで、リファラル採用が社内文化として根付くんですよ。

実際に、富士通さんの事例をご紹介しますね。富士通さんは、従業員数12万人を巻き込んでスモールスタートからリファラル採用を始めました。人事トップがリファラル採用の重要性を社内に発信し、情報を提供するためのサイトを活用しました。また、部門ごとの説明会も実施しました。結果、累計400名の採用に成功しています。

上林:400名の採用はすごいですね。リファラル採用の可能性を実感します。

Q:御社のリファラル採用サービスについても簡単にご紹介いただけますか?

鈴木氏:もちろんです。弊社のリファラル採用サービス「MyRefer」は、社員がいつでも自社の求人情報を持ち歩き、SNSで気軽にシェアできるようにするサービスです。例えば、社員がプライベートで友人と話しているときに、会社の求人情報をすぐに確認できるようにしています。また、紹介後も候補者の進捗をトラッキングし、適切なフィードバックを行える仕組みも提供しています。

上林:ありがとうございます。私たちもエンゲージメント向上の支援を行っていますが、管理職の意識改革や職場の関係性を変える長期的な取り組みが重要だと感じています。リファラル採用を始める前に、「推せる職場」を作るためのサポートをしているんです。

最後のメッセージ

鈴木氏:最後に、リファラル採用を推進すること自体がエンゲージメントを高めるきっかけになると思います。最初の一歩は難しく感じるかもしれませんが、社員が自社を知り、語る機会が増えることで、自然とエンゲージメントが高まっていきます。

上林:そうですね。リファラル採用はリスクの少ない挑戦だと思います。自分たちの職場を良くし、風土を育てるために、まずはリファラル採用をきっかけに組織を強くしていくことが大切だと思います。

鈴木氏:そういった活動が職場の文化を育てる一歩になると思います。ぜひ、今日の内容を参考に、皆さんも取り組んでみてください!

上林:本日はありがとうございました。皆さんの企業がエンゲージメントを高め、リファラル採用を成功させる一助になれば幸いです。

アンケートコメント(一部抜粋)

  • エンゲージメントとリファラル採用の相関があることが理解でき、今後リファラル採用を進めるうえで参考になりました。
  • 友人に自社を紹介する際に、自社のことを気軽に知れる仕組みがあると活性化するだろうなと思いました。
  • なかなかリファラル採用の推進についてのセミナーがないので、勉強になりました。
  • 今の組織ではこれまで実現してこなかった手法、発想でした。
  • ファン化をいかに文化的に持っていけるかが大事だと思った

登壇者の声

人材枯渇時代と呼ばれる昨今、採用力は会社の重要なファクターです。

そういった背景の中で、リファラル採用は注目されていますが、縁故の「リファラル採用1.0」から、社員をリクルーター化し、インセンティブを用いて強制的に動かす方法である「リファラル採用2.0」でとどまっている企業も多く見られます。自発的なリファラルでないと入社後に上手くいかないことも多い中で、いかに魅力的な”推せる職場”を作るかが本当に大事なポイントです。

弊社では、そういった推せる職場の作り方や実施実績を多く持っておりますので、ご興味ある方いらっしゃれば、お声がけ下さいませ。

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