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「新人研修の成果」をどう定義する?~変化の時代における研修設計とは~

「新人研修の成果」をどう定義する?~変化の時代における研修設計とは~

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著者

青木 美奈

著者

青木 美奈

株式会社NEWONEに新卒入社。研修をメインとして、人材育成・組織開発のHRパートナーとして従事。新入社員・若手から管理職まで幅広い階層の研修設計を支援。特に女性活躍、ダイバーシティ推進に注力している。社内では、メソッド記事の作成を推進している。

NEWONEでは、あらゆる企業のご希望やお悩みにあわせた
多種多様な研修を取り扱っております。

どんな研修があるか見てみる

社会環境が大きく変化している移行期の今、新人研修の設計にお悩みの企業様も増えているのではないでしょうか。

そこで今回は、新人研修をご担当されている人事様がよくお悩みになる

「新人研修の効果測定をどのように行うか?」
「今年の新人研修を振り返って、来年度に向けて根拠を持ってブラッシュアップ行うには?」

について、来年度の新人研修設計に役立つ情報をご紹介いたします。

(※本内容は、2023年9月29日実施の「「新人研修の成果」をどう定義する?~変化の時代における研修設計とは~」セミナーをまとめたものです)

新人育成を取り巻く環境変化

新人育成の効果測定のための具体的な取り組みはこちら

年々変化していく社会環境の中、新人の傾向も変化してきています。

2023年度の環境は、一言で言えば、コロナをきっかけにした移行期です。リモートワークやハイブリッドワークが主流になるいわゆるニューノーマルの継続と、コロナ前の状態に戻るいわゆるオールドノーマルが入り混じり、何が正解か分からない時代に突入しています。

新人にとっても、誰を基準とし、何を基準として成長していけば良いか分からなくなってしまうことが懸念されます。

また、人材流動化も激化しています。

23年度入社の新入社員が4月時点でとある転職サービスに登録した数が、約10年前と比較して約30倍に増加する等、もはや終身雇用意識は崩壊し、転職を当たり前としたキャリアアンテナをもって入社する新入社員が増えています。

育成のスタンダードが定まっていないからキャリア形成に不安を感じやすい、という傾向変化、人材流動化の時代の中で環境を変えるという選択肢が取りやすい時代背景から、行動力のある人ほど不安を感じたらとりあえず環境を変えてみる選択を取りやすくなっています。その結果、職場で求められる行動力のある優秀層が定着しづらい状況が発生しているのです。

良い育成とは?

時代が大きく変化している現代において、新人育成の設計も時代に合わせて変化させていく必要性が高まっています。

働き方や環境が多様化してきている時代において、何を持って「良い育成」とするのか?

絶対解はありません。

そこで、自社の現状を正しく認識し続け、自社にとっての最適な育成設計を決め直す・再定義する(PDCAを回す)ことが鍵となります。

自社の現状を見つめるための3つの材料

新人育成設計のPDCAを回すために、育成担当者間で現状の育成設計を可視化し、対話を通して認識を合わせることが不可欠です。対話をするための3つの材料をご紹介いたします。

①研修効果の測定(カークパトリックモデル)

研修の効果測定として、カークパトリックモデルを用いて測定する方法があります。

多くの企業様で実施しているアンケート等を通して受講者の反応を確認することは第一段階の「反応」を測定するものです。受講者の満足度や受け取り方を測定できますが、育成設計のPDCAを回すための情報としては不十分です。

本来は、第四段階の「結果」を測定し、育成を受けた新人がその後職場でどのようなパフォーマンスを出せているか、から研修の効果を測定することがベストですが、一気に効果測定を第四段階まで引き上げることは難しいです。

そこで、まずは育成担当者間で、自社の新人研修の設計において、どの段階までの効果測定が現状できているのか、育成担当者間で認識を合わせることが重要です。

②バランスチェックシート

バランスチェックシートを用いて、自社の研修の現状、理想をチェックし、育成担当者間での対話を通して、認識をすり合わせることも重要です。担当者間の理想状態の認識をすり合わせると共に、理想と現状を比較して理想の育成設計に近づけるための論点や方向性を明確にすることができ、今後の改善策の検討につなげることができます。

③エンプロイー・ジャーニー・マップ

採用段階から入社、最終的に退社するまでに従業員が経験することを記載し、それぞれの段階でどのような施策を打っているか、課題は何かについて可視化するエンプロイー・ジャーニー・マップを作成することで育成設計のPDCAを回すことにつながります。

各段階における従業員の期待や心情も想像しながら理想状態、人事施策、課題を書き出してみることで、現状施策を整理し、各段階での課題、施策が不足している段階を見つけることができます。

「良い育成」の絶対解が存在しない変化の時代だからこそ、ご紹介した3つの材料を参考にしながら育成担当、採用担当等新人育成の関係者全員で自社の現状を見つめ、認識を合わせてPDCAを回すことが重要です。

NEWONEでは、エンゲージメント向上をはじめとした
人・組織の課題解決のヒントとなるセミナーを開催しています。

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成果コミット型育成の一歩目

ここまで、自社にとっての「良い育成」を設計するための方法についてご紹介してきましたが、ここからは多くの企業様で悩まれる育成効果の数値化について扱います。

育成設計のPDCAを回すためには、数値化が重要です。数値化ができず主観的にPDCAを回してしまうと、狙いに対して育成設計の改善をすることが難しいです。

そこで、今回はポイントを3つ、段階に分けてお伝えします。

ポイント① Off-JTを高頻度・短時間で設計する

Off-JTの研修等を高頻度・短時間で設計することで、新人と育成担当者の接点を増やし、新人の状況を把握する機会を多く設けることが重要です。

これは、弊社顧問の中原先生が提唱している、トランジッション・サポートモデルと呼ばれるもので、継続的に支援をしていくことで新人の現場配属後の活躍支援にもつながります。

※トランジッション・サポートモデルについて詳しくは以下です

トランジッション・サポートモデルの効果は主に3つあります。

①接点数を増やすことにより、新人の情報・状態を育成担当者が把握しやすくなる
②育成担当者から新人にかかわる機会を増やすことで、新人の成長を促すメッセージを伝える機会が増える
③育成担当者と新人の関係性向上によるフラットな情報連携の結果、新人のエンゲージメント向上と情報収集につながる

これまで単発的に設計していた研修を、合計回数は変えずに継続支援をする設計に変えることで、新人との接点が増え、育成設計のPDCAを回す検討材料も増加します。

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ポイント② 既存のプログラムにアウトプット回収、データ分析の仕組みを入れる

現在実施している施策から取得する「データ量を増やす」だけでも成果コミット型育成に一歩近づくことができます。

具体的な工夫を3つご紹介します。

①自由回答→選択式回答

悩みや自己課題を自由記述で内省する形式から、悩みや自己課題を複数項目から選択する形式にすることで新人が具体的に何に困っているのか、把握しやすくなります。

②現状整理を事前課題にする

受講者の状態をキャッチすることが研修設計においては非常に重要です。

弊社の設計も事前課題を入れる等、受講者の状態にあわせてカスタマイズしております。

③職場実践ツールを活用する

職場実践の行動を可視化し、新人の職場での取り組み状況を可視化することで配属後の新人の状態を育成担当者の方も把握しやすくなります。

ポイント③ 研修中のみではなく研修前後の状態を数値化する

フォローアップの機会を作ったとしても、事前の状態把握が大きくズレてしまっていると研修効果を十分に発揮しづらい状況になってしまいます。

・研修前の「今の新人の状況はどう?」
・研修後の「結局、施策効果はあったの?」

というお悩みを抱える新人育成ご担当者の方も多いのではないでしょうか。

そこで、育成施策全体の効果検証を実施し、根拠を持って最適な採用、育成、配属を実施することが人的資本を最大化する観点からも最適なプロセスであると言えます。

弊社でご支援させていただいている事例として、「オンボーディングサーベイ」を活用した育成設計があります。

これは、研修施策の実施前後でサーベイを実施し、新人の状態を定点観測していくものです。

オンボーディング・サーベイでは、

育成効果の定義・計測 × 違いを生む要因候補

によるサーベイ、分析を実施することで、新人の状態把握、研修効果の可視化をすることが可能です。

項目は各企業様の目的に合わせてカスタマイズさせていただきます。

年間でサーベイを実施し、ハイパフォーマー分析や職場行動のギャップ分析等を含めた年間レポートを作成し、次年度の育成施策設計の最適化に活用していただくことが可能です。

※オンボーディング・サーベイの詳細は以下です

セミナーアンケートコメント(一部抜粋)

・育成には正解がない時代。だからこそ正しく現状を把握し、自社に有効な打ち手が必要だと改めて感じました
・大変勉強になりました。本当にその研修が効果があったのか?数値化することの重要性を学びました。
・課題に感じている今後の研修の運営方法や、研修の効果、分析などについてお話を伺うことが出来て勉強になりました。
・とても参考になりました。特に「主観ではなく、数値化して根拠を持ってPDCAを回す」という部分は全くできていなかった点で、ためになりました。
・他社の課題感もチャットで共有されていて参考になりました。また担当者間での理想の共有が当社ではできていないように感じていたので、バランスチェックシートなど活用してみようと思います。
・研修と研修の間を繋ぐ、アンケートや面談など点では線で設計し振り返ることの大切さを改めて感じました。

登壇者の声

24年度の新人育成に向けたご意見交換をさせて頂く中で、「今年の新入社員育成はどうでしたか?」とお伺いすると「まぁ良い感じだったと思います」というような曖昧な反応を頂くことがあります。

私たちも研修を企画する側としてこれまで解決できていなかった「研修のやりっぱなしを脱するための効果測定」について、いよいよ向き合うべきだと思い、今回のセミナーを企画させて頂きました。

当日のチャットやアンケートでのコメントからも同じ問題意識や想いを持っている担当者様が多くいることがわかり、純粋に嬉しかったです。

また、「一歩目」というハードル低く取り組める手法にフォーカスしてお話させて頂いたことで「まずはこれから取り組んでみたいと思います」といポジティブな声を頂いた方も多く、引き続きこのテーマについては探求し続けるべきだなと実感できました。

まとめ

変化の時代の今、新人の育成も絶対解はありません。だからこそ各社様の状況に合わせた「良い育成」を設計するために、現状の可視化、育成の成果を可視化することを通してPDCAを回すことが重要です。

一気に全てを変えることは難しいです。まずはできることから少しずつ変えてみてはいかがでしょうか。

株式会社NEWONEでは「すべての人が活躍するための、エンゲージメントを」をブランドプロミスとして研修やコンサルティングサービスを通じて様々な企業様とご一緒しております。

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