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成長意欲高い優秀層を強く自社に惹きつけ続ける方法~採用・育成施策の効果を高めるオンボーディング設計・キャリアマップ構築~

成長意欲高い優秀層を強く自社に惹きつけ続ける方法~採用・育成施策の効果を高めるオンボーディング設計・キャリアマップ構築~

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著者

青木 美奈

著者

青木 美奈

株式会社NEWONEに新卒入社。研修をメインとして、人材育成・組織開発のHRパートナーとして従事。新入社員・若手から管理職まで幅広い階層の研修設計を支援。特に女性活躍、ダイバーシティ推進に注力している。社内では、メソッド記事の作成を推進している。

NEWONEでは、あらゆる企業のご希望やお悩みにあわせた
多種多様な研修を取り扱っております。

どんな研修があるか見てみる

近年、労働人口の減少や、人材流動化に伴い、人材を採用しにくく、採用した人材が辞めやすい社会になってきています。そこで、優秀な人材を自社で育成し、定着を促していくために、これまで以上に個人と組織の対等なつながりであるエンゲージメントが重視されるようになってきました。

そこで今回は、成長意欲高い優秀層を強く自社に惹きつけ続けるオンボーディング設計・キャリアマップ構築のポイントを、事例を用いながらご紹介します。

※本内容は、2024年3月15日実施セミナー「成長意欲高い優秀層を強く自社に惹きつけ続ける方法~採用・育成施策の効果を高めるオンボーディング設計・キャリアマップ構築~」の内容をまとめたものです

環境変化と今後求められる推せる職場とは

近年、キャリアについて考える若手も増えてきていますが、ゆるい職場ではエンゲージメントは高まりません。若手社員が離職する本当の理由は、自己成長ややりたいことができないことに対する不安が大きいと言われています。ゆるく、居心地の良い職場が増えてきて、不満はないけれども不安であることから離職をする若手が増えてきているのです。

昔は大きい会社に就職したから安心、安定、という考え方がありましたが、今は安定したキャリアというものは幻想に過ぎません。そのため、企業は不安型退職を防ぐ事が重要です。

不安型離職を防ぐための方法として、推せる職場を作ることがポイントです。

推せる職場とは、働きやすくて働きがいのある職場のことを指します。
推せる職場で働いている人は、自分の職場を他の人に推薦したい、という方も多くなり、魅力的な人材を引き寄せやすくなります。

また、推せる職場で働いている人は転職意向が低い傾向にあります。

このように、優秀層を自社に惹きつけ、また引き寄せる推せる職場づくりが今後さらに注目されていきます。

推せる職場の調査レポートはこちら

優秀人材を惹きつけ定着化するポイント

人的資本の情報開示が注目を集めていますが、人が保有しているスキルや知識である人的資本は、増やしていくことが可能です。そこで、1人ひとりの従業員が持っている能力を把握し、自社に必要な能力を伸ばしていくアプローチが重要となります。

アプローチ方法を考える際に、まずは自社の戦略や風土にフィットし、大活躍する人材(=自社における優秀人材)を定義することがポイントです。

現在の日本社会は労働人口が減少しており、「エースで4番」のような、どこでも活躍できる超優秀人材を獲得することは困難です。そこで、自社の事業で活躍するために必要な人的資本を定義し、ピンポイントに自社にとっての優秀人材の獲得・育成を狙っていく事が重要です。

具体的には、人事の機能を最大限活用して、採用時に必要なスキル、入社後に育成するスキル、補完施策含めてどのように育成をしていくのか、を考えていく事が効果的です。

人事の機能の中でも、各社様の施策例としては様々ありますが、施策を機能させるためのベースとして重要なことは、前述のような推せる職場を作ることと、キャリア自律度を高めていくことにあります。

キャリア自律度向上の効果として、キャリアに対する意識が高い方が離職意向が低くなる傾向があります。そのため、優秀層を惹きつけるためには、キャリア自律を促しながら、キャリアアップできると感じてもらう、つまり、キャリアの安全性を高めることが重要です。

キャリア自律度を高めていく施策として、オンボーディングの仕組みと、成長期待を得る仕組みを採用と育成の間に入れていくことが重要です。

具体的なオンボーディング施策例

そもそも、オンボーディングのゴールとは、「共に前に進める乗組員として自覚がある」状態であり、同じチームのチームメンバーとしてタッグを組めるか、が重要です。

これからは、多様性、強みの違いを活かしていくオンボーディングがより一層求められていきます。その際に重要となるのが、職場全体で新メンバーを受け入れて、統合していく意識です。

他社様の事例

オンボーディングの施策例として、ITソリューション企業A社様の事例をご紹介します。

A社様では、これまで、キャリア採用者は即戦力であるため、最小限、現場任せのオンボーディングを行っていました。OJTという名の、「仕事をしていく中で自ら状況をキャッチアップして頑張っていくしかない」という状況でした。

そのような状況下で、成果を出すまでに時間がかかる、キャリア入社者をフォローするために余計な工数が発生する、等の難しさがありました。また、思うようにパフォーマンスが上がらないことから早期離職にもつながり、採用コストが無駄になってしまう、といった課題感がありました。

そこで、入社6カ月後のありたい姿を定義し、逆算的に総合的なプログラム作成のご支援をしました。

設計プログラムの内容としては、大きく以下の3項目で設計させていただきました。

  1. 現場でのキャリア入社者支援施策
  2. キャリア入社者本人からの主体的なオンボーディング行動
  3. 人事部門によるキャリア入社者・受け入れ先組織を後ろ支えする場・仕組みの提供

具体的には、オンボーディング成功のための以下の4つの必要要素を、組織・個人双方からの主体的な行動を促しながらオンボーディングプロセスの中に入れた設計を進めていきました。

まずは、部署内外の関係構築を促し、自業務や自職場のことを知っていただくような施策を実施し、新規入職者に合わせた目標を設定する。そのうえで、本人が自身の強み、経験を発揮し、短期的な成果を出すことで手ごたえを獲得するところまで設計し、その先の中長期のありたい姿を描くところまで設計することが重要となります。

NEWONEでは、エンゲージメント向上をはじめとした
人・組織の課題解決のヒントとなるセミナーを開催しています。

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成長期待を得る仕組み キャリアパス構築とは

自分にとってのWHY(行動する動機)を作ることが、オンボーディングにおいても重要です。そのWHYを作る施策例の1つとして、キャリアパス構築があります。

キャリア支援施策を成功させるためには、

スキルマップやキャリアマップを用いた動機づけ→実情に応じた育成施策を実行することによる行動促進→振り返りをすることでの効果実感

このポイントが大切です。

育成施策を設計する際には、作成したキャリアップを用いて、育成プロセスの設計につなげたり、人材マネジメントのPDCAサイクルを回していくことが重要です。

セミナーアンケート(一部抜粋)

・現場任せのオンボーディングではダメだと痛感いたしました
・特に最近はキャリア採用の方も増え、新たな取り組みが必要だと実感した
・中途採用者は、即戦力という考えが根強いため、オンボーディングが上手くいかないのだと感じました
・IT企業の事例など弊社にも当てはまる部分が多く、キャリア入社者のオンボーディング施策設計の参考にさせていただきたいと思いました
・自社に残留するためのフックとなるキャリア安全性を、どのように社員に実感してもらうか考えるきっかけになった。

登壇者の声

働きやすい職場が増えてきたことは良いことですが、社員が未来(自身のキャリア)に不安を感じることは非常に勿体ないことです。自社で活躍する人材の定着化のためにも、採用や育成に投資するのと同様かそれ以上に、キャリアがイメージできる仕組みを作る。それが企業の強さになってくると予想されるので、まずは一歩踏み出していただければと思います。

オンボーディング施策の検討においては、受け入れ職場の主体的な協力が不可欠になります。ただでさえ忙しい中でオンボード施策による負担増加となり現場サイドから難色を示されることもあると思います。人事部門側で活用ツールや進め方のガイドラインを提供するなど、現場負担を軽減していくことがキーポイントとなります。

また、社員の自律的キャリア形成を支援する出発点としてキャリアパスを設定することは有効です。社員の方自身で進むべき方向を見定めることができる道しるべを提供していきましょう。

まとめ

近年、キャリア研修を導入される会社様も増えておりますが、社内で公募制等の制度設計が十分に整備されてないことによって、離職が増えているケースもあります。

研修のソフト面だけでなく、制度のハード面も合わせて整えていくことで、キャリア自律、エンゲージメントの向上につながる自己決定理論に基づき、自分で決めている感をしっかり持つことが重要です。

人口減少、人材流動化の現代日本社会において、自社で活躍する優秀な人材を採用することは難しくなってきています。入社した人の定着を促し、活躍の後押しができるかどうかが重要となってくるため、今働いている方々のエンゲージメントを高める意識が重要です。