気運を高め、新しいことにチャレンジできる風土をつくり、お客様に新たな価値提供を

TIS株式会社様
会社名
TIS株式会社
業界
情報・通信・ソフト
従業員規模
10,000名以上

写真(左)TIS株式会社 金融第1事業本部 クレジットプラットフォーム事業部エキスパート 曽我 靖司様 (右)NEWONE 取締役 権 海瑩

[会社プロフィール]
1971年創業の独立系トータルSIer(Total System Integrator)。金融、製造、流通、エネルギー、公共など幅広い業界のソリューションを手がけ、それぞれに蓄積した専門ノウハウと卓越した技術力を持つ。長年にわたり培ってきた経験とIT技術は、お客様のビジネスを支え、経営戦略のあらゆる課題を解決につなげている。取引企業は3000社を超え、なかでもクレジット業界を始めとする金融分野での実績は日本有数。

[導入サービス]
・経営幹部候補プログラム
・イノベーション・プログラム

[実施概要]
次期幹部候補を他薦にて選抜し、部長の役割・視座を踏まえ、「事業部変革施策の実行」「自身の成長」を成果発表のテーマとし約5ヶ月間でアウトプットを出す。各自テーマ選定を行い、事業部長、副事業部長、部長との対話を通じコミットして実践。

成果が出た人とそうでない人との違いは?

― 本日はどうぞよろしくお願いします。改めてとなりますが、TISという会社、および金融第1事業本部 クレジットプラットフォーム事業部が、どのようなことを行っているのかお伺いできればと思います。

曽我様: TISとしてもクレジットが一番大きな事業となり、その中で本事業部は、大手クレジットカード会社を担当する事業部となります。規模としても、会社の中で一番大きく、メンバーは460人程になります。さらに、パートナーを入れると、全体で1200人は超えていると思います。業務内容は、アプリケーションの開発がメインとなりますが、100人程は、インフラと呼ばれる基幹の開発を行っています。また、お客様のところに常駐し、お客様の事業を回すような立場のメンバーもいますし、常駐に限らず、お客様の新規企画などを担当しているメンバーもいます。

― 今回、経営幹部候補プログラムやイノベーション・プログラムを実施しようと思った理由や、背景には何があったのでしょうか?

曽我様:弊社は、1980年代から長年開発保守という業務をメインにやってきました。我々は基幹部分を背負っており、お客様にとっても基幹が重要なのは間違いなく、そこにずっと寄り添って行ってきました。しかし、世の中がどんどん変化していく中、お客様が新しいことに踏み出すためのニーズに、我々としてなかなか応えてこられなかったという課題がありました。これだけ、世の中で新しいことが起こっていると、やはり古いものはどんどん捨てられるという運命にもあるわけですから、我々としても危機感を脱却するために、新しい分野に対して事業部全体として取り組んでいく必要があると思いました。
ところが、長年しみついてしまった保守的な考え方が残っており、なかなか新しいことに踏み出す土壌もなければ、それを後押しする全体のフォロー体制もありません。また、現業の人員が満ち足りているわけではないため、現業に人が流れてしまい、それが言い訳となり、結局、頓挫ししぼんでいくということが繰り返し起こっていました。この悪循環を何とか打破するために、そして組織全体の気運を変えるために、数年前から様々な取り組みを行ってきました。人数も多くなり全体の動きが少し鈍ってきたところがあり、もっとシャープに尖らせていくために、今回「次世代マネジメント研修」を立ち上げ、NEWONEさんに幹部候補プログラムとイノベーション・プログラムの実施をお願いしました。

― ありがとうございます。新しい分野に取り組んでいくために足枷となってしまう部分は、組織風土なのか、上位層なのか、それともみんなが持っている当たり前というところなのか、何が要因にあると思われますか?

曽我様:今、おっしゃっていただいたことは全部あると思います。加えて、評価という面もあります。保守でお付き合いしているお客様の課題を乗り越えるのに精いっぱいで、そこに知識がある人がひっぱられてしまう。そういう人こそ、新しい分野にチャレンジしてほしいと思っているのですが、現業で成果を出した方が評価されるということもあります。

― 今回実施した経営幹部候補プログラムとイノベーション・プログラムは、どんな方を対象に実施したのでしょうか。また、選定基準などはありますか?

曽我様:今回の対象は、主査と呼ばれる一般的には課長クラスで、いわゆる幹部候補になります。新しい事業の立案から最後まで、責任を持ってやり遂げられる人材を選びました。年齢は、だいたい30代後半から40代前半になり、人数は12名です。

― どれくらいの期間でどんなことを実施されたのでしょうか。また、実施する中で、難しいと感じるところや、受講者が苦労したなと感じることはありましたか?

曽我様:期間は、実質5ヶ月間です。まずは、個々人の課題を整理し、事業部において自分としてやらねばならない課題やテーマを選定し、それを事業部長、副事業部長にコミットした上で、実際のワークに取り組んでもらいました。そして、それを月次でNEWONEさんにお手伝いいただきながら振り返りを行い、前に進めていくというかたちで進めました。
難しさは2つありました。1つ目はテーマの選定です。新しいことにチャレンジするためのテーマ選定ではなく、現業に近いところでテーマを選ぶ人もいて、本来狙っている効果というか意図に沿わないケースもありました。事業部長、副事業部長にコミットする過程で、現業からなるべく離したテーマ選定にすることや、コミットするまでの意識づけが難しかったです。2つ目は、どうしても忙しい現業にひっぱられてしまうことです。コミットしたとしても、その後の実際の取り組みにどれだけ時間をさくかも、人によってかなり差が出てきていたことも事実としてありました。

― なるほど。みなさん現業が忙しい中、スムーズに進む人と、現業にひっぱられなかなか進まない人と2つのタイプがあったということですが、その差はどんなことから出てしまうと感じましたか?

曽我様:そうですね、個々人の力量が均一だとしたら、部門長という幹部になるということが、どういう立場になるのかをイメージできた人は、モチベーション高く時間を使っていた気がします。一方、現業が忙し過ぎて、自分が上に立った状態をあまり明確にイメージできなかった人は、結局今回の研修課題を後回しにしてしまっていたような気がします。別の言い方をすると、視座が高い人は、現業が忙しくとも幹部候補としての自覚を持ち、今後このような仕事を自分がやっていくんだと思って踏ん張れたけれど、その意識を持てなかった人は、どうしても目の前の現業にひっぱられてしまったという感じですね。

変革を加速させるために必要なこと

― 実際、事業部長や副事業部長とお話をする中で、どんなテーマが出てきたのでしょうか?

曽我様:大きく2つあって、1つは今までのノウハウを使って、どう新規ビジネスに取り組んでいくのかを具体化するテーマ。もう1つは、生産性向上や、業務の見直しといったこれまでやってきたことのプロセス改善に関するテーマです。

― 5ヶ月を終えてみて、どのような手ごたえや、成果がありましたか?

曽我様:研修を運営する私の立場で見ると、一番よかったことは、今回の選抜メンバーが事業部長、副事業部長に幹部候補として認知されたということです。また、事業部長、副事業部長に認知されているということが彼らにも伝わって、さらにモチベーションがあがったのを見れたことです。
成果というところでは、こういう機会がないとなかなか出来ないことに大きく踏みだした人もいて、組織を変えるくらいの動きで今、実際に取り組んでいることです。また、部長と主査の距離もぐっと縮まり、幹部候補として視座がだいぶあがったことです。

― 我々から見ると、今回トップの方がコミットしたということも大きいかなと思っています。事業部長や、副事業部長の方々が、このプロジェクトに対して一緒になって走ってきたからこその成果もあったように感じますが、その点はいかがでしょうか。

曽我様:そうですね。やはり、後ろ盾がないとなかなか前には進めないですからね。そういう意味では、事業部長や副事業部長が一緒にコミットして進められたことは大きかったと思います。

― 冒頭でお話いただいた気運や、組織風土の面で何か変化はありましたか。また今回は、幹部候補に対して実施させていただきましたが、その下のメンバーへの影響は何かありましたか。

曽我様:風土面でいくと、色々な施策の相乗効果でもあると思うのですが、研修でコミットしたテーマを実践することで組織を動かしたということが、周りに与えた影響は大きいと思います。 本当にやったんだということがわかりますからね。自分たちが将来そこにかかわるという意識が出てきていると思うので、だいぶ意識面での変化や影響はあったと思います。下のメンバーに対しては、何か具体的な事象が起こっているという訳ではありませんが、このような動きに対しては、部門の中での反応も変わってきているように感じています。
また、今回、副次的にすごくよかったなと思ったのが、次世代を担う人材が発掘できたことです。事業部長もその人材を財産と思っていると思いますし、私としてもそういう人が、どんどん他の場面でも活躍しているのを見ると、他の部員のいいロールモデルになっているという気がします。

― 今回実施させていただいたような研修を外部にお願いするメリットや価値は、どんなところにあると感じますか。

曽我様:まず、私がやるとしたら、あまりにも井の中の蛙というか、同じような立場ですからね。どうしても甘えや、現業にひっぱられるところが出てきます。“外から見た自分たち”という客観視もなかなかしにくいですし、外から見た我々の評価もある程度してもらいたいという思いもありました。第三者から見て、感じることを率直に伝えてもらえることや、他社の同年代の事例や状況の提供も、それを刺激に前に進めるので、大変ありがたかったです。

― ありがとうございます。今回、ご一緒させていただいた内容を、他の人にお勧めするとしたら、どんな企業、組織にお勧めしたいですか?

曽我様:そうですね、我々のように今メインの現業があって、その現業が先細りになっていくであろう将来が待ち受けている中、どう変わっていこうかと考えている企業や組織ですかね。まるっきり新しいフィールドに出て行こうとしているところより、例えば、請負一辺道だったところから、サービス型に変えるとか、ちょっと自分の会社の立ち位置を変えていこうとしているところですかね。

組織をさらに一歩前進させるためには?

― 今後、我々NEWONEは、新しい価値を生み出すとか、イノベーションを起こすということにより注力していきたいと思っているのですが、イノベーションを起こすのは、何が難しいと思われますか。

曽我様:我々の場合、イノベーションと言っても、何でもいいよという訳ではなく、あくまでもお客様のマーケットの中で、お客様と一緒に新しいものを生み出していくことが大前提になります。決済業界の中では、極端な話、クレジットカード会社自体がなくなる可能性もありますよね。なくならないにしても、どんどん業態が変わっていくかもしれません。そういうことを見据えた上で、お客様にこんなことを取り組んでいきませんかと提案していかなければなりません。ブロックチェーンなどの新しい技術出現により、ビジネスの仮説やアイディアは出てくるのですが、どれが正しいのかを見極める力や、業界の流れを牽引していく力など、そこに何が必要なのかを見極めることが難しいなと思います。

― 世の中が大きく変化していく中で、いかにその変化を先読みし対応するのか、様々な仮説やキーワードがある中で、どこが今後のニーズとシーズなのかを掴む力。また、掴むだけではなくすぐに実行するフットワークの軽さも重要だなと思います。今の話を伺うと、御社のみならず、今後必要になってくることかなと感じました。

― 会社や事業部全体に対して、こういうことをやっていきたいなど、今後の展望について教えていただけますでしょうか。

曽我様:気運が高まってきているところなので、もう少し成果に結びつくことをやっていけたらと考えています。部門があることで非効率になっている一面もあるので、事業部の中で部門を超えたプロジェクト型にして色んなテーマに取り組めたら機能的だと思っています。組織や体制にこだわりすぎないことが、何か一つ新しいものを生み出すきっかけになるのかと思うので、部員が所属する部門のメイン業務をやりながら、あるテーマでは部門を超えて動くということができればと思います。そういったプロジェクトをどんどん起こしていきたいですね。それが、下のメンバーにも伝わって大きい流れができたら、組織としてさらに活性化しますし、もっと大きなこともできるのではないかなと思っています。

― 事業部、および会社が、さらに一歩前に進むためには、何が鍵となってくると思われますか。

曽我様:やはり、我々の事業部は、全社の中でも業務量が多いので、そこに手を打たないといけないと思っています。どうしても現業に縛られて、新しいことに人を投資できない。気持ちよく人を送り出すような風土には、まだ至っていません。生産性を向上し、時間を作らない限りは、なかなか新しいことには手が回らないため、今はちょっとずつ生産性向上を意識して、取り組んでいるという段階です。また、新しいことに取り組むにあたり、個人の想いとリンクできると、もっと改革が進むと感じています。

― 生産性向上することでイノベーションが起きやすい環境をつくっていく。さらに、個人の想いとリンクすることで、働きがいのある組織をつくる。どれか一つという話ではありませんが、これからも貴社の発展に微力ですが貢献できればと思っております。これからもどうぞよろしくお願いいたします。本日は、貴重なお話をありがとうございました。

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