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“選び・選ばれる”関係が人と組織を強くするーNECライフキャリアのキャリア支援に学ぶー

“選び・選ばれる”関係が人と組織を強くするーNECライフキャリアのキャリア支援に学ぶー

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変化の激しい今の時代、自律的なキャリア形成の必要性は多くの企業で認識され始めています。一方で実際には、「何から始めるべきかわからない」「現場に根付く価値観から脱却するにはどうすればよいか」といった悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。

本記事では、NECグループ社員2万人への支援実績をもつNECライフキャリア様の取り組みをご紹介し、自律的なキャリア支援を築くうえでのヒントとなる考えを少しでもお伝えできればと思います。

  • 若手・中堅社員のキャリア支援に悩む人事担当者
  • チームメンバーの成長を支援したいマネジャー層の方
  • 社員のエンゲージメント向上に課題を感じている方

(※本内容は、2025年7月8日実施セミナーの内容をまとめたものです)

NECライフキャリアが目指す組織と個人の関係性

NECライフキャリアは、2020年9月にNECグループの人材戦略の一環として設立された会社です。

現在は約80名のスタッフが在籍しており、その多くがキャリアコンサルタントや産業カウンセラーなどの専門資格を保有しています。NECグループの従業員が自律的にキャリアを築き、変化の激しい時代に対応できるよう支援しています。

親会社であるNEC(日本電気株式会社)は127年の歴史を持つ日本のトラディショナル企業です。かつては終身雇用や新卒一括採用を前提とした人材戦略が主流でしたが、グローバル競争やDX、AIといった急速な技術革新の波の中で、従来の価値観では対応が困難になりました。

こうした背景から、NECは「グローバルに戦える個人と組織」を目指し、ジョブ型人材マネジメントへの転換を図ってきました。この新しいマネジメントの核となるのが、「選び・選ばれる関係性」、つまり組織は戦略に応じて最適な人材を求め、社員はキャリアを描いたうえで自らの意志で、やりたいジョブを選択するという双方向の関係性です。

キャリア自立支援とエンゲージメントの関係性モデルの構築

こうした関係性構築を実現するために、NECライフキャリアが注力してきた取り組みの一つが「キャリア自立支援プログラム」です。このプログラムでは世代別に合わせた研修・ワークショップを提供しており、これまでに累計2万人以上のNECグループ社員に提供されています。ワークショップ後には個別面談も行い、参加者の声あるいはアンケートなどを5年間継続的にデータを蓄積してきました。

同社はこの蓄積されたデータをもとに、キャリア自律の醸成とエンゲージメントの関係性について、どういった関係があるかを分析し、モデル化に成功しました。モデルによって導かれた結論としては、エンゲージメントを高めるにはキャリア自律のみに働きかけるだけでは不十分であるということです。

キャリア研修を受けた後、本人がキャリアに対して自分ごととしてとらえる必要があるという気づきを得ていたとしても、それはエンゲージメント向上には大きくつながらないのです。必要になるのは、キャリアに対する意識変化に加えて、職場の中で自ら働きかけ、学び、つながりを築いていくことができる環境づくりと、自ら工夫し、動いて、得意領域を作り出す実績づくりというプロセスです。

このモデルに基づいて、ピープルマネージャー(人と組織に責任を持つ管理職)のサポートと仕事環境づくりを行うことは、メンバーの成長を促進していく職場、上司の支援・仲間からのフィードバックを受けられる職場につながると考えています。

現場マネジャーへの支援とワークショップ

では、実際に職場の中でそのような環境をどう実現していくのでしょうか。取り組みの一つとしてあげられたのが、ピープルマネージャー向け「チームメンバーのキャリアを支援するワークショップ」でした。

このワークショップの目的は、ピープルマネージャー自身がキャリア支援の重要性とそのメリットを理解し、それを日々のマネジメントに活かすための気づきやヒントを得ることにあります。

実際の現場では、マネージャーが「メンバーのキャリアは自分の責任なのか」「若手がすぐ辞めてしまうのはなぜか」「どう支援すべきかわからない」など、多くの戸惑いや悩みを抱えています。

こうした課題に対して、ワークショップでは仕事のアサイン方法に注目し、単に業務を割り当てるのではなく、その仕事が社員個人のキャリアにどのような意味を持つのかを理解し、伝えるアプローチを提案しています。

具体的には、マネージャー自身が仕事に対して自分なりにどんな意味があるかを理解した上で、それに共感できる人材を採用することや、1on1の場では社員に「どこから来て、今何を期待していて、どこに向かおうとしているのか」といった「来歴と将来」を語ってもらうことなどを行うことを推奨しているようです。

仕事を通じて選び・選ばれる関係を築いていくうえで、この仕事が組織にとってだけでなく本人にとってもどのような意味を持つかが関係として保たれていることが、一緒に働く意味となります。

その接点をもとにお互いの関係を作り上げる。こうした職場を目指していくことを提言しています。このワークショップは、実際にNECグループの多くのピープルマネージャーが受講しており、高い満足度と実務への活用度が報告されています。「他の人にも勧めたい」という声も多く、非常に実践的かつ効果的な内容として評価されています。

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キャリア形成を支える仕組みと実践のサイクル

自律的なキャリア形成を支える鍵は、新たな仕事に挑むことだけではありません。
その挑戦に至るまでに、まずは仕事を深く理解し、実践経験を通じて「仕事力」を身につけることが重要です。

そして、目の前の仕事で成果を出すことで得られる達成感が、次のステップへと進む原動力になります。
この達成感が「自分はやればできる」という自己効力感を生み出し、それがさらなる挑戦への意欲につながります。

こうした連続的な仕事経験の積み重ねが、個人の成長を加速させていくのです。だからこそ、企業には社員一人ひとりが良質な仕事経験を積めるような仕組みや環境づくりが求められます。制度や職場マネジメントの整備を通じて、挑戦し続けられる職場を用意することが、自律的なキャリア形成を後押しすることにつながります。

そして、仕事力をつけるうえで大切になるのが「経験学習サイクル」という理論です。
まずは自ら体験し、職場の仲間や上司からのフィードバックを受けることで内省する。

これにより自分の体験を客観的に捉え直すことができます。そこから得た気づきを、自分なりの持論へと昇華させ、他の状況でも再現可能な技術へと発展させていく。このサイクルこそが、学びを仕事力へと変えていくプロセスなのです。

NECライフキャリアは、このような実践を通じたキャリア形成の仕組みを大切にし、NECグループの社員の成長を事業の発展につなげていく取り組みに力を注いでいます。

まとめ

NECライフキャリアの取り組みは、単なるキャリア支援にとどまらず、社員一人ひとりの挑戦と成長を、組織全体の力へと昇華させていく仕組みづくりにあります。

自律的なキャリア形成を支えるには、制度や研修だけでなく、日々の仕事経験と、それを活かすマネジメントの力が欠かせません。仕事に意味を見出し、経験を学びに変え、仲間とともに成長する。その循環こそが、個人の可能性を引き出し、変化に強い組織を育てていくのです。

NECライフキャリアは、これからも実践に根ざした支援を通じて、NECグループの社員一人ひとりが“選び・選ばれる”関係性の中で力を発揮し、自律的なキャリアを築いていけるよう、伴走していきます。

セミナーアンケート(一部抜粋)

  • 大きな会社でも、同じ悩みをお持ちで、色々な施策をとられていることが参考になりました。
  • キャリアデザイン研修を取り入れたいと思っていましたが、新入社員以外にどのような内容を伝えればいいか悩んでいました。ヒントにさせていただきます。ありがとうございました。
  • 弊社が抱えている課題に直面した背景がおありで、エビデンスをもとに施策を考え、実行に移されており、沢山のヒントを頂きました。ありがとうございました。
  • キャリア自律によるエンゲージメント向上について、向上を図りたい職員のみに向けての研修だけでは十分な効果が期待できないと考えておりましたが、環境づくりのために主に管理職へ向けて積極的な働きかけを行っていたことが非常に参考になりました。
  • 活力の源泉は自己効力感を高めること、自走する個人と組織において、パワーワードである事を改めて受け止めました。
  • 仕事を渡す瞬間がとても大事だというお話にとても共感いたしました。やはり「人」なので自分のことを考え、動いてくれることに心が動くものだと思いますし、自己決定は近年さらに重要性が増していると感じますので、掛け合わせてサイクルを回すことでキャリア自律へ近づくのだと感じました。

登壇者の声

社名に「ライフキャリア」とつくほどキャリア自律にまっすぐなNECグループさん。データによる裏付けで、より良い組織づくりに取り組まれているのが印象的でした。

その中でも、スキルを学ぶ機会を多く用意する企業はありますが、経験学習サイクルを踏まえて自己効力感を高めることに重きを置くことで、スキルを自発的に獲得・活用する後押しをしている本事例は、私自身もとても参考になりました。

是非、様々な企業の施策に生かしていただければ幸いです。

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