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共感力と孤独力―管理職が心からの共感を示すために必要なこと

共感力と孤独力―管理職が心からの共感を示すために必要なこと

<a href=髙嶋 耕太郎" width="104" height="104">

地方広告代理店、地方公益社団法人での勤務を経て、バックオフィス支援を行う会社に入社。社内コミュニケーション活性施策の営業、新卒合同説明会の制作、総務常駐チームのリーダーを務める。2022年に株式会社NEWONEに入社後は、研修をメインとした人材育成・組織開発のHRパートナー、研修ファシリテーターとして従事。

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「共感とは、相手が喋っている言葉の背後にある感情に耳を傾けることである」

これはダニエル・ゴールマンが著書『EQ』で述べている一節です。

育成や研修の現場で日々人の話を聴く人事担当者にとって、この言葉は胸に響くのではないでしょうか。

しかし、ここで重要なのは、共感を支える前提条件です。

ゴールマンは続けて「心から共感して相手の話を聞くには、自分自身が生理的に相手の感情を鏡映できるほど平静な状態でなければならない」とも言います。

つまり、共感力は技術だけではなく、自分の心の在り方に根ざしているのです。

では、どうすれば平静な状態を保てるのでしょうか。

ここで参考になるのが、谷川嘉浩さんの『スマホ時代の哲学 「常時接続の世界」で失われた孤独をめぐる冒険』です。

この本では、現代人が「常時接続の世界」にいることで、孤独=自分の内面と向き合う時間を失っていると指摘されています。

SNSやチャット、通知に四六時中囲まれていると、自分の感情や思考が薄く拡散され、落ち着いて自分を見つめる余白がなくなる。肌感覚として「心がせわしない」と感じる人も多いのではないでしょうか。

自分を平静にするとは、すなわち「今の自分が何を感じているのかを理解すること」です。

誰かに共感する前に、自分自身と対話する時間が必要です。

そのためには、あえて「孤独」をつくる工夫が有効です。

スマホを手放し、予定を手放し、情報の洪水から身を離す。

そうすることで、内面に溜まっていた感情や疲労が浮かび上がってきます。気づくこと自体が心を落ち着ける第一歩です。

具体的には、一日の始まりや終わりに紙とペンを用意し、思い浮かんだ感情や考えをすべて書き出す。入浴時は照明を落とし、スマホを持ち込まない。あえて一駅分歩き、ただ街の音に耳を澄ませる。

こうした「一人静かな時間」を意図的に設けてみてください。それは、共感するための準備であり、他者に寄り添う力を深める習慣です。

共感は相手を理解する行為であると同時に、己を理解する行為でもあります。

忙しさに流されそうになったときこそ、自分を平静に保つ「孤独力」を思い出してみてください。きっと、育成の現場での一言や一歩が、より温かいものになるはずです。