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データから見る、OJTトレーナーは若手に任せるべき理由

データから見る、OJTトレーナーは若手に任せるべき理由

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著者

山口 陽輝

著者

山口 陽輝

大学卒業後、株式会社NEWONEに入社。HRパートナーとして、新人・若手から管理職層までの研修設計や新人・若手領域を中心に、ファシリテーターも行う。
社内では、新入社員育成の責任者として社内の育成体系づくり・育成風土醸成を推進する傍ら、Unitのリーダーとしてもメンバー育成を行いながらプレイヤーとして活動している。

NEWONEでは、あらゆる企業のご希望やお悩みにあわせた
多種多様な研修を取り扱っております。

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OJT(On-the-Job Training)は、新入社員を育てる上でとても実践的な学習方法です。これまでは、経験豊富なベテラン社員がOJTトレーナーを担当するのが一般的でしたが、最近では若手社員にその役割を任せる企業が増えています。

今回はデータとともに若手トレーナーを活用することで得られる効果について考えていきます。

1. 若手トレーナーが作る「質問しやすい環境」

新入社員にとって、入社直後の環境に馴染むことはとても大切です。厚生労働省の調査(2023年)によると、大卒新入社員の**3年以内の離職率は31.5%**に達しています。その理由の一つとして、「質問しづらい環境」があります。

リクルートマネジメントソリューションズの調査では、OJTトレーナーが20代の若手社員だった場合、新人の定着率が15%上がることが分かっています。年齢が近いと心理的安全性が高まり、新人が気軽に質問しやすくなるからです。

データで見る効果

  • OJTトレーナーが30代以上 → 新人の1年以内の離職率 20.1%
  • OJTトレーナーが20代前半 → 新人の1年以内の離職率 11.2%(約9%低下)

若手トレーナーがいることで、新人が気軽に相談できる環境が生まれ、結果的に定着率が向上します。

2. 若手が教えることで「理解度が深まる」

「人に教えることが、一番の学習になる」とよく言われますが、OJTでも同じことが言えます。

HR総研の調査(2023年)によると、OJTを経験した若手社員の79%が「業務理解が深まり、成長を実感した」と回答しています。

OJT経験者のスキル向上データ(複数回答)

  • 業務理解が深まった: 79%
  • 説明力が向上: 72%
  • リーダーシップが身についた: 65%
  • チームワーク能力が向上: 68%

新人に教えるためには、自分が内容をしっかり理解し、分かりやすく説明する力が求められます。その結果、OJTを担当した若手社員自身の成長にもつながるのです。

NEWONEでは、エンゲージメント向上をはじめとした
人・組織の課題解決のヒントとなるセミナーを開催しています。

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3. 若手トレーナーがいると組織の活気が増す

若手社員にOJTを任せることは、新人のためだけではありません。組織全体の活気やエンゲージメント向上にも効果があります。

パーソル総合研究所の調査(2022年)では、「他の社員の成長をサポートする機会がある社員」は、そうでない社員よりもエンゲージメントスコアが1.8倍高いという結果が出ています。

OJTトレーナーの経験がエンゲージメント向上に与える影響

  • OJT経験あり → エンゲージメントスコア 75(100点満点中)
  • OJT経験なし → エンゲージメントスコア 42

新人の成長を支援する経験を通じて、若手社員は自分の仕事の意義を再確認し、より前向きに働くようになるのです。

まとめ

OJTトレーナーを若手に任せることで、次のようなメリットがあります。

  1. 新人が質問しやすくなり、定着率が向上する
  2. 若手トレーナー自身の理解度やスキルが向上する
  3. 組織全体の活気が高まる

OJTを単なる「新人育成の場」と考えるのではなく、若手の成長のチャンスとしても活用する視点が重要です。適切なサポート体制を整えながら、若手トレーナー制度を導入することが、組織の成長につながる鍵となるでしょう。