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やりっぱなしを防ぐ、効果の高い研修・ワークショップ設計とは?

やりっぱなしを防ぐ、効果の高い研修・ワークショップ設計とは?

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著者

棚橋 彩香

著者

棚橋 彩香

株式会社NEWONEに新卒入社。研修をメインとして、人材育成・組織開発のHRパートナーとして従事。新入社員・若手から管理職まで幅広い階層を支援している。また、組織開発の一環としての社内イベントの企画・運営を行う。

NEWONEでは、あらゆる企業のご希望やお悩みにあわせた
多種多様な研修を取り扱っております。

どんな研修があるか見てみる

昨今、人的資本の情報開示の影響や生産年齢人口の減少によって、今あるリソースを最大限活かすために、社内研修を強化する企業が増えてきました。

一方で、社内研修は増えているものの、現場からは「研修の効果があるのか分からない」、受講者からは「研修を受けても仕事に追われて実践できない」等のリアルな声が、研修直後のアンケートからは見えていない企業が多いのも事実です。

弊社では、様々な企業様とご一緒させていただく中で、研修後に効果が持続し、職場での実践が継続する企業と苦労している企業の違いが見えてきました。

本記事では、こうした悩みを解決し、研修・ワークショップを実際に効果のあるものにするための具体的な手法と戦略をお伝えいたします。

◆こんな方におススメ

  • 研修設計に携わっている人事・研修担当者の方
  • 研修の効果が分かりにくいというお悩みをお持ちの方
  • 研修で学んだことが職場で活かされていないと感じている方

※本内容は、2024年8月21日実施セミナーの内容をまとめたものです

やりっぱなしになってしまう研修の特徴と設計のポイント

 「4:2:4の法則」という概念をご存知でしょうか。これは、「研修効果は4割が研修前、2割が研修内容、4割が研修後によって決まる」というものです。研修内容もさることながら、研修前後の取り組みが重要な鍵となると言えます。研修効果が低いパターンと比較しながら、各段階における設計ポイントをお伝えしていきます。

【研修前】一人ひとりのWhyをつくる

 研修効果を下げてしまう研修前設計のパターンは、「受講者の参加動機が明確でない」ことです。昨今の社員の傾向は、外発的動機ではなく内発的動機がモチベーションの源泉となっており、自分にとっての仕事の意味や良好な人間関係に重きを置く人が増えています。

こうした傾向においては、社員一人ひとりの業務や組織に対するエンゲージメントを高めることが重要であると考えます。

エンゲージメントを高めるには、①好意的な感情②主体的な行動(自己決定感)③行動に対する報酬の3つが必要です。そのため、研修前設計では「いかにこの研修が自分にとってメリットがあるか」を提示し、「研修で得たいこと」を自己決定させることがポイントになっています。

具体的な方法として、例えば「事前課題」があります。課題を通して「研修で何をするのか」「この研修で何を得たいか」を事前に考えることで、明確な目的意識を持って研修に入ることができます。

【研修内容】実践→内省の時間を増やす

 研修効果を下げてしまう研修内容設計のパターンは、「インプットが多く、受講者を受け身にしてしまう」というものです。先ほどエンゲージメントを高める要素の一つに「行動に対する報酬」があるとお伝えしました。

そのため、自分の行動に対する成長や貢献実感を得ることが重要になっています。研修においては、知識を一方的に与えてしまうと成長や貢献実感はなかなか得られません。

受講者の意識を変え、最終的に行動変容に繋げるためには3つの気づきを研修に組み込むことが重要です。

1つ目は、「必要性に対する気づき」です。ストレートに研修目的を伝えたり、自身の役割に求められている期待等を認識することが有効です。

2つ目は「自分ができていないという気づき」で、3つ目は「こうやるのだという気づき」です。

自分に不足していることを客観視することで「もっと学習しよう」と前向きになり、行動イメージをわかせることで職場での実践がしやすくなります。これらの気づきは、ケーススタディやシミュレーションなどの実践演習で醸成することができます。実践演習中の自身の行動を内省し、そこで得た教訓や学びをもとに職場と接続する設計が効果的です。

【研修後】フォローアップ研修を導入する

 研修内で行動目標を決めたとしても、職場で実践に移すことは簡単なことではありません。

職場での実践を妨げる要因として、例えば「一方的なインプット研修で記憶に残らない」「上司や職場の支援がなく実践ハードルが高い」などがあります。

実際、職場で研修の学習内容や行動目標を実践している人は13.5%に留まり、実践者の半数以上は上司からの支援を受けているというデータがあります(リ・カレント株式会社調査結果)。

そこで、導入研修後はフォローアップ研修を置くことで、半強制的に実践する機会をつくることが重要なポイントになっています。

例えば、導入研修後1.5〜2か月を上司を巻き込んだ実践期間とし、フォローアップ研修で自身の行動を振り返るような設計です。振り返りを行うことで、研修をやりっぱなしにせず、職場での行動変容を実現できます。

効果が高い研修設計を行っている企業事例

 弊社がご一緒している企業様の研修設計事例を階層別にご紹介します。前提として、組織開発をするにあたっては特定の階層にとどまらずあらゆる階層を連動させたり、研修以外の実践期間や研修診断を取り入れることが非常に重要なポイントになっています。

 

新入社員~若手研修

 とあるメーカー企業様では新入社員向けの長期プログラムでご一緒してます。一般的には、4月から配属前まで研修を実施し、残りは配属先に任せるような設計もよく見られますが、本事例では4月の研修終了後も配属先での悩みや課題にフォーカスして、適切なタイミングで研修を導入し職場での行動実践を促しています。

NEWONEでは、エンゲージメント向上をはじめとした
人・組織の課題解決のヒントとなるセミナーを開催しています。

開催中のセミナーを見てみる

中堅層向け研修

 製造メーカー企業様では、中堅層向けキャリアプログラムをご一緒しています。半年間で今後10年間のキャリアプランを描く設計となっており、身内からのインタビューや上司・先輩との1on1を通じて自己理解を深め、フォローアップ研修で実践期間中の変化を振り返ります。

1日でキャリアの理論を伝えることも可能ですが、長期的な設計によって自身の成長を実感することができ研修効果が高まります。

管理職向け研修

 通信メーカーの企業様では管理職向けサーベイ活用ワークショップをご一緒しています。

具体的には、3時間×2回のワークショップで、各ワークショップ後に3か月のアクション期間を組み込んでいます。1回目のワークショップでは、部長・課長レイヤーの方々が自分たちのエンゲージメントスコアを見て、自身の部署にどのような打ち手が望ましいかを考えて職場でのアクションプランを立てていきます。

2回目では、部署ごとに行った施策とそれによって得られた効果、今後実施していきたい施策をプレゼン資料で共有します。ワークショップ内では、部署をまたいで対話することで他部署を代理体験することができ、受講者の方の気づきを最大化する設計になっています。

セミナーアンケート(一部抜粋)

  • 研修を充実したものにするために、研修内容を充実したものにしていくことはもちろん、手間は掛かれど研修前後に受講者が主体的に研修に臨み、かつ業務の中で実践しようとするイメージをもつことができるようにするための丁寧な設計が必要だと感じた。
  • 今までなんとなく実施していた部分があったが、論理的にノウハウを知れてよかった。
  • 必要なタイミングで必要な研修を行うことができると効果が高くなると感じました。
  • 受講者の自身での気づきが重要、また研修に際して上司などにいかにフォローアップしてもらうかが重要と感じました。
  • やりっぱなしにしない研修の為の研修前後の仕組み(4:2:4)
  • 目的意識を持たせ自発的行動を元に研修に参加いただくことの重要性を改めて知ることができました。ありがとうございました。

登壇者の声

私自身、ありがたいことに人材育成や組織開発に想いのあるクライアントの皆様とご一緒する機会が多く、一緒につくりあげた研修を「他の社員にも伝えたい」と受講者の方に言っていただくことが増えてきました。一方で、まだまだ研修に対して「めんどくさい」という感情を抱く方が多いのも事実です。働く1人ひとりに取って、組織にとって、研修自体が面白く、意味のあるものにするために、本セミナーを開催させていただきました。今後は、私もさらに勉強し、人事の皆様と共に、良い研修設計を模索し、世の中に発信していきます。

まとめ

 研修を「やりっぱなし」で終わらせずに実施効果を高めるためには、「4:2:4(研修前:研修内容:研修後)の法則」をもとに、研修内外からアプローチしていく必要があります。研修内容そのものにとどまらず、研修前後の設計や職場を巻き込んだ実践環境にも目を向けることが重要です。

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