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エンゲージメントとモチベーションの違い

エンゲージメントとモチベーションの違い

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著者

上林 周平

著者

上林 周平

大阪大学人間科学部卒業。 アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社。2002年、(株)シェイク入社。企業研修事業の立ち上げ、商品開発責任者として、プログラム開発に従事。新人~経営層までファシリテーターを実施。 2015年、代表取締役に就任。2017年9月、株式会社NEWONEを設立。 2022年7月に、「人的資本の活かしかた 組織を変えるリーダーの教科書」を出版。

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※本記事は、弊社から発行した「この1冊でエンゲージメントが分かるエンゲージメント読本 〜働きがいのある組織のつくりかた〜」の内容の一部を抜粋しています。

今回は、「エンゲージメントと、モチベーション/ロイヤリティ/コミットメント /従業員満足度」の違いについてお伝えします。

「エンゲージメント」についてのお話をすると、必ずといっていいほど「エンゲージメントとモチベーションとは違うのですか?」といった質問を受けます。

他にも、エンゲージメントと混同されやすい概念として、ロイヤリティやコミットメント、従業金満足度(ES)があります。

そこで、これらの違いをわかりやすくご説明します。

モチベーションとエンゲージメントの違い

モチベーションとは、基本的に行動を起こすための個人的な動機にあたるものです。
お正月に箱根駅伝のテレビ中継を見て、「よし、今日から走るぞ」という気持ちになるのが、モチベーションです。

一方、エンゲージメントとは、自発的な貢献意欲を持って、主体的に仕事に取り組んでいる状態であり、これは何かに取り組んでいる最中、あるいは、その取り組みを終えた状態に対しての表現です。

つまり、事前の話か、最中〜事後の話かという点が、モチベーションとエンゲージメントとの違いです。

モチベーションの場合は、「走りたい」と思ったけれど走らなかった、といったことが起こり得る一方、エンゲージメントの場合は、動機に関係なく、走っていることに意味を感じながら夢中になっている状態です。ランニングの例に置き換えると既に走り始めている状態であり、走り切る可能性は高いのです。

したがって、エンゲージメントとモチベーションを比較したとき、よりパフォーマンスに影響しやすいのは、後者だと言えます。

ロイヤリティ、コミットメントとエンゲージメントの違い

ロイヤリティは忠誠、忠実、忠節や義理などの言葉で表されるように、対象となる組織や仕事に対して、義理を果たす、尽くす、といった意味合いを持ちます。ベクトルが個人から組織や仕事に対して一方的に向けられているニュアンスがある言葉です。

コミットメントは約束、公約、契約といった言葉に訳されるように、責任という意味が強い言葉です。
組織から「頼みましたよ」と委ねられた仕事に、責任を持ってしっかり関わる、といったものですが、それはあくまでも組織から個人に求められているものであり、個人が自分の意志で「やろう」というものではありません。

他方、エンゲージメントリングが夫婦対等の立場で交わされるように、エンゲージメントには、お互いがお互いの意思で対等につながろうという意味が込められています。ベクトルが双方に向いているニュアンスを含んでいるところに大きな違いがあります。組織と対等につながっているからこそ、自発的に行動を起こすものであり、その点が他3つの言葉と異なっているのです。

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従業員満足度とエンゲージメントの違い

最後に、従業員満足度とは、どれだけ従業員が会社に満足しているかを表したものであり、以前からES(Employee Satisfaction)と呼ばれて測定されてきました。

これは、会社が提供する職場環境や給与、福利厚生、人間関係によって従業員自身が満足しているかどうかを評価するものです。

ただ、これだけでは、「組織から向けられたベクトルに対してどれだけ満足し、平静や安定を得ているか」というところまでしか分からず、「自発的に仕事に取り組んでいる」といった、本人からの能動的なベクトルがあるかまではわかりません。

従業員満足度が高いからといって、エンゲージメントも高い組織であるとは限らないのです。

比較まとめ

モチベーション:行動を起こすための個人的な目標、動機、きっかけ。(非継続的)

ロイヤリティ:個人が組織/仕事に対してどれだけ尽くしているか。(一方的)

コミットメント:組織から求められて、責任を持って働くこと。(一方的/受動的)

従業員満足度:従業員が会社から提供された環境に対して、どれだけ満足しているか。(一方的/受動的)

エンゲージメント:自発的な貢献意欲を持って、主体的に仕事に取り組んでいる状態。(継続的/双方的/能動的)

モチベーションロイヤリティコミットメント従業員満足度エンゲージメント
持続性×
双方向性××××
自発性××

エンゲージメントが高い状態とは、従業員が単に提供された環境に満足するだけでなく、主体的に組織に貢献しようとする意欲を持ち続けることを指します。個々人のエンゲージメントが高まることで、結果的に組織全体の成果やパフォーマンス向上にも繋がるのです。

つまり、エンゲージメントとは?

さて、ここまで、混同されやすい言葉「モチベーション」「ロイヤリティ」「コミットメント」「従業員満足度」との比較を通して「エンゲージメント」の説明をしてきました。

NEWONEでは、この「エンゲージメント」を「組織や職務との関係性に基づく自主的貢献意欲」と定義しており、趣味やスポーツにのめり込むのと同じように、職場でも前向きに仕事にのめり込む状態を目指しています。

  1. 人や仕事に対するポジティブな感情
  2. やらされるのではなく自発的な自己決定感
  3. 自分の行動に対する成長実感や貢献実感

これらの感情を循環させていくことで、前向きな状態をキープできると考えています。

参考:NEWONEが考えるエンゲージメントとは

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エンゲージメントを高めるには、特効薬こそないものの、組織としての取り組みが重要です。社員一人ひとりが「自分にとってこの仕事には意味がある」と感じられる環境を整えることで、それぞれのやりがいに繋がってくるのです。人によって、やりがいを感じる瞬間は異なります。社会貢献が自分のやりがいになる人、相手からの感謝の言葉がやりがいになる人など.、様々です.。私たちは、個人が「自分のこの仕事には意味がある」と感じるポイントは大きく4つに分けられると考えています。あなたの仕事に意味を感じるポイントはどれに当てはまるでしょうか?

  1. “ならでは”能力の発揮
  2. 良き仲間との一体感
  3. 価値創出への没頭 
  4. 今後への成長期待

参考:エンゲージメントが高まる4つのパターン

これらを従業員が感じられる状況を提供することこそが、組織にとって、エンゲージメント向上のために最も効果的な施策なのです。

目に見えないエンゲージメントですが、従業員が仕事に対してどの程度意欲的に取り組んでいるか、また企業の目標達成にどの程度貢献しているかを表す指標としてエンプロイーエンゲージメントがあります。

また、従業員が自分の職場にどの程度情熱を持ち、献身的に働いているかを測定するツールとしてエンゲージメントサーベイの活用もおすすめです。

以上、エンゲージメントという言葉について、比較や定義などをお伝えしてきましたが、いかがだったでしょうか?

皆様の、エンゲージメントに関する疑問が解消されていたら幸いです。

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