ソフトバンク株式会社様の事例紹介

人生100年時代の働き方 −働き方、キャリアデザインを描く−

ソフトバンク株式会社様
課題IT&ネットワーク統括 IT領域において、若手・中堅社員自身がキャリア開発のニーズがあって、数年前から手上げ式でセミナーを実施。その中で、この年は別の1on1の評判も良かったことにより、一部分の講演依頼が来た。
効果想定よりも手上げの参加者が多く満足頂いた。自身のキャリアについて考えるきっかけとなった。

今回、ソフトバンク株式会社のIT&ネットワーク統括 IT領域(IT本部・IT運用本部・IT戦略本部の3本部)に所属する全社員を対象に、各個人が自分のキャリアを自律的にデザインすること、そしてそれに基づいて成長していくことの大切さに気付くことを目的とした『キャリアデザインプログラム』が実施されました。
NEWONEでは、そのプログラムの一部のパートとして「人生100年時代の働き方 -働き方、キャリアデザインを描く-」と題して、全4回に渡り講演をさせていただきました。今回はその一部を簡単にまとめてご紹介いたします。

■「人生100年、定年は80歳!!」


「人生100年時代」という言葉は、ロンドン・ビジネススクールの教授であるリンダ・グラットン氏(心理学博士)と同校の経済学教授であるアンドリュー・スコットが書いた『LIFE SHIFT』が2017年にベストセラーになったことから、至るところで話題になりました。国会でも「人生100年時代構想会議」が行われ、人生100年時代に向けた取り組みが始まっています。

この本の中で一番に言っていることは、変化の本質は「少子高齢化」ではなく「長寿化」であるということです。「少子高齢化」というのは、世の中を俯瞰し相対的に見た時に出てくるキーワードですが、
「長寿化」というのは、個人にフォーカスしたときに出てくるキーワードです。

仮に定年が80歳となったら、働き方は今と何が大きく変わるのでしょうか?
一つは、これまでの「教育」「仕事」「定年」という3ステージ制から、マルチステージ制に変わると言われています。マルチステージ制とは、大学を卒業して定年までのおよそ60年間を、副業やNPOなど他で活躍する場を持ったり、フリーランスとして起業したり、また大学に入り学び直すなど、複数のステージを歩むキャリアステージです。

ドラッカーは、「人口の変化こそ労働力、市場、社会的圧力、経済的機会にとって基本となる動きである。すでに起こった人口変化は逆転しない。」と言っており、これからの未来を予測する上で人口の変化は見逃せないポイントとなります。

上記の図で見てわかるように、日本の人口は減っています。そうすると、働き手も減り組織から人がいなくなっていきます。これまでは「組織が個人を選ぶ」時代でしたが、これからは「個人が組織を選ぶ」時代に変化すると言われています。組織は、個人に選ばれる組織づくりを、個人は組織を選べる自分づくりをしていくことが必要となっていきます。

■人生100年時代に起こる組織と個人の関係性の変化


では、どんな組織が求められてきて、組織と個人の関係はどのように変わっていくのでしょうか?
産業構造の変化が起こりはじめており、企業への帰属を固定化して人材投資を行っていくメンバーシップ型からジョブ型と言われる特定の職務に対して人を配置していくというスタイルが最適に組み合わさったモデルに変化してきています。

また、組織と個人の関係は対等になっていくと考えらえており、組織は選ばれるために魅力的な環境や仕事を生み出していく必要がありますし、選べる個人になっていくためには、成長し続けていく必要があります。

テクノロジーが急速に進化していく中で、AIによって今ある仕事の55%がなくなると予測されています。時代の進化や変化に合わせて、人にしかできないことを行っていく必要が出てきます。例えば、抽象的な概念を整理・創出するための知識が要求される職業や、他者との協調や、他者の理解・説得、サービス志向性が求められる職業です。
そのためには、学び続けることが必要で、自分を常に再創造していくことが求められてきます。

※参考

■個人のキャリアをどう描けばよいのか?


時代の変化に伴い、キャリアの描き方も変わってきています。以前は、向かうべき方向が明確で、がむしゃらにやっていれば結果が出やすい状況でしたが、現在は向かうべき方向から考える必要があり、都度立ち止まり内外を見て調整していくことが必要となってきます。

組織で働く場合「ありたい姿」を描くステップは2つあり、1つ目のステップは、自身の価値観、どうありたいのか、何をしたいのかを考えることと、組織がどこを目指しているのか、自分は何ができるのかを考えることです。この2つの観点(個人と組織)から考えて、明確にすることが必要となってきます。
2つ目のステップは、組織で働く以上、自分のやりたいことだけやれるわけでなないので、「個人の価値観」と「組織の目指すべき姿」と“つなげていく”ことが重要になります。

また、働く上で自分が大事にしている価値観、自分なりの意味(動機)を明確にすることも重要です。そして、一緒に働く人たちが何を大事にしているのか、周りの人は自分とは違う価値観を持っていることを知り理解することも必要です。

一昔前は、競合他社に勝ち一番になることを目指したり、目標を達成することに価値を置く人が多く、比較的似たような価値観で働いていました。しかし、現代では価値観も多様化しており、特に若手の方は「意味合い」や「没頭」「良好な人間関係」に価値を置く傾向が強まっていると言われています。

このように価値観も多様化し、変化の激しい現代では、今ここでしかできない経験を最大限に生かしていくことが必要です。日々の仕事の中で、どうしても自分のありたい姿や価値観とつながらないような仕事もあるかもしれません。しかし、一見自分にとって意味がないと思える経験も、後から見ると必要な経験だったと思えることがあると思います。目の前のことに、どのように取り組み、価値ある経験にしていけるのかが重要となってきます。

自律的キャリアを描くにあたり、自分が今どんなところに立っているのかを考えることも大事です。段階として、次の3つがあると考えています。

最初の「環境依存」の段階では、自分が今いる環境が良ければ成長できるけれど、そうでない場合に会社のせいにしたり、自分のキャリアや成長を他責にしてしまいがちな段階です。次の段階は「環境適応」で、置かれた環境がイマイチであっても、今後につながることはないか、この経験は後々活かせそうだと考えることで、そこでの経験を意味あるものにすることができます。そして、最後の「環境創出」の段階では、自分のやりたいことや、環境がないなら自ら環境や仕事を創っていける段階です。もし、自分にどうしてもこれがやりたいという仕事があるなら、それがどうやったらできるのかを考え、実行しているような段階です。
どんな環境であっても活躍できる人というのは、「環境創出」の段階にいることが多いです。今すぐにでも「環境創出」の段階にならないといけないということではなく、自分は今どの段階にいるのかなと見つめ直すことが大切かなと思います。

これからの時代は、これまでの肩書や経歴よりも、自分が何をしたいのか、自分には何ができるのか、どんなことに価値を感じ没頭できるのかが益々問われていきます。ある種、やりたいことをやれる自由な時代になってきていると感じます。

NEWONEでは、多くの人に仕事を楽しんで欲しい、自分の仕事にやりがいや誇りを持って欲しいと思っています。自分の可能性を自分で信じ、自分の道を自分で決めて一歩踏み出す人を増やしていきたいと思っています。

【講演者プロフィール】


株式会社NEWONE 取締役
権 海瑩 (ごん へいよん)

大学卒業後、ソフトバンク株式会社に入社。
IT製品の流通営業を大手Sier向けに行い、3年目には営業トップの売上をあげる。
その後、新規事業の立ち上げメンバーとして、商品企画/販売にも携わる。
2012年 人材育成・組織開発企業である株式会社シェイクに入社。
新入社員育成から組織風土改革まで幅広くソリューション企画・提案に携わる傍ら、
ファシリテーターとして新人〜管理職層向けの研修に登壇。

2017年7月に和の大学 株式会社を立ち上げ、取締役に就任。
「和のエッセンスを日常に。」をコンセプトにした人材育成を探求している。

2017年9月、人生100年時代の働き方をリードすることを目的に、
生産性向上やイノベーションなどを支援する株式会社NEWONEを設立。
現在は、「60歳を超えても働きたいように働ける世の中にしたい!」という想いのもと、
シニア層(50代)向け『人生100年キャリア開発プログラム Corekara』を開発、2019年7月にリリース。

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