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若手離職率7%を実現する新人育成3.0 vol.1

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若手の離職率が高い、イマドキの若手世代とのかかわり方が良く分からない。そんなご相談をよくいただきます。
若手世代の傾向は年々変化しているため、最新の傾向に合わせた育成設計をすることが重要です。

そこで今回は、キャリア自律の観点から見るこれからの時代に求められる新入社員育成のあり方・ポイントをご紹介します。

vol.2では、「新入社員育成の変革ポイント」をテーマに、田中研之輔教授、NEWONEマネージャーとして新入社員育成の研修を数多く手がける小野寺のパネルディスカッションの様子を要約してお伝えします。

※本内容は、2022年10月25日実施セミナーの内容をまとめたものです

キャリア自律の観点から見るこれからの時代に求められる新入社員育成のあり方

これからの時代は、キャリア自律が求められています。新人の離職率を下げるためには、新入社員育成のあり方を変えて、自律型のキャリア育成を推進することが重要です。入社後の早い段階からキャリアオーナーシップを持てるように応援する育成を作るためのポイントを、NG事例集とOK事例集を交えながら見ていきます。

これまでの新入社員育成を、採用からの育成の流れの中で見ていきます。

多くの企業では、一括採用とメンバーシップ型の育成が行われてきました。これは日本で長らく主流であった、画一的な採用と育成方法で、「新人育成1.0」と呼びます。

コロナ禍前になると、新卒通年採用と主に理系の職種向けにジョブ型の育成が主流になりつつありました。例えば、エンジニア職等では新人もプロフェッショナル採用をして、特定の職種での活躍を後押しする流れが生じました。この採用と育成方法を「新人育成2.0」と呼びます。

その後、コロナ禍となり、「新人育成3.0」が誕生しました。これは、ハイブリッド採用と複線型キャリア形成から成り立っています。イマドキの就活生、新人が就職活動の際に見ているのは、福利厚生ではなく副業ができるか否かです。また、転勤の可能性がある総合職ではなくエリア採用、エリア総合職が人気です。自分のキャリア形成を考えて、転勤がある企業を元々受けない学生も多くいます。転勤の有無は働くことの本質と違う、関係ないだろう、と考える人も多くいらっしゃるかもしれませんが、イマドキの若者は副業、転勤の有無といった自分のキャリアを組織主体ではなく自分主体で考えている傾向が強いのです。


新入社員のキャリア観が変化してきつつある時代の中、新入社員育成のあり方も変化してきます。
そこで、新入社員育成のNG事例集をご紹介します。

NG事例集

1. 長時間基礎スキル伝達

基礎的なスキルを新人に教えるための時間が長すぎると、逆効果です。基礎的スキルの研修は動画資料などを活用して新人に視聴させる研修手法をとっている企業も多いですが、新人が動画に集中しているのか、分かりません。長時間の基礎スキル伝達は、新人に画面の前で他の作業をさせる余裕を持たせてしまうため、長すぎるのは逆効果です。

2. 会社方針理解への一方的な伝達

オンラインで一方的に会社方針を伝達するのは注意が必要です。会社の方針に熱い想いを持っていて、新入社員に伝えたい、理解してほしい、という気持ちはあるでしょう。しかし、時間をかけすぎていたり、一方的に伝えていたりしても定着にはつながりにくいです。小学生の頃、夏休み前の全校集会で校長先生の話が長すぎてつまらない、飽きた、という感情を抱いていたのと同じです。できるだけ端的に伝えなければ、飽きっぽい若者は飽きてしまいます。

3. Z世代の情報収集スピードを理解していないプログラム

Z世代は、情報収集のスピードがとても早いです。ゆっくりとしたテンポで丁寧に話すよりも、早く必要な情報だけを抽出して話す方が人は心地よく感じます。もし、ゆっくり丁寧な研修を行いたい場合には、その速度で研修をする意味をしっかりと新入社員に伝えることで、企業・組織に対する疑念を抱かせないことが重要です。

イマドキの若手は、端的に効率よく研修をこなし、早く現場に出たい、と思っているのです。最近は学生のうちから企業で長期インターンを経験している新入社員の方も多く、全員一律に基礎スキルの伝達をされると、「この企業じゃなかったな」、「物足りないな」、と感じさせてしまいます。最初のミスコミュニケーションが長期的な定着から遠ざかる要因となるので、注意が必要です。

では、新人の離職率低下のためには、何が求められているのでしょうか。

新人育成のポイントは、キャリア論の理解とキャリア開発のサポート、この2点です。

NEWONEでは、エンゲージメント向上をはじめとした
人・組織の課題解決のヒントとなるセミナーを開催しています。

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最新のキャリア論とは

近年、変化が激しく先が読めないVUCAの時代と呼ばれるようになり、「自律型キャリア」という考え方が注目されています。

自律的なキャリア形成とは、プロティアン(=変幻自在)なキャリアでもあります。これは、変化に適合しながら、自ら主体的にキャリアを創るという考え方です。これまでの経験を生かしてどんな形にでもなれるよ、組織を活用していくことだよ、と新人に伝えること、「みんなが主人公」、というメッセージがイマドキの若手に刺さります。
よって、新入社員には、「まずは覚えてね」、と接するよりは、「どんどんやってみよう!」と挑戦を応援することが成長支援につながります。

キャリア開発のサポートとは

新人のプロティアンなキャリア開発をサポートするために、育成の継続とキャリアオーナーシップの推進が重要です。

育成の継続は、採用後も育成を継続するということで、キャリアのロールモデルを3年後、5年後と新人に見せていくことが効果的です。ここでは、「二毛作モデル」が重要で、採用の段階では、無限定社員として様々な仕事から自分の「強み」を発見し、その後は、見つけた強みを自社で生かしてもらうために目標を組織内で共有する、などが効果的です。

キャリアオーナーシップの推進は、キャリア資本の可視化と、それを生かす可能性を示すことが重要です。新人の定着を促すために、まずは3年間、プロフェッショナルスキルを磨くとともに、組織の中での関係性も育ていくことがポイントです。

入社後、新人は組織から求められる自律と自分たちの現実とのギャップに苦しみます。そのタイミングで、「自律することによって、キャリアがこんなに豊かになる!」と伝えることが効果的です。働きながら生きていく、より良い生き方のために働く、という考え方がZ世代には刺さります。

新人育成のポイントをここまで見てきました。ポイントは分かったけどどうやって新人育成すれば良いの?という方に必見、新人育成のOK事例集をご紹介します。

OK事例集

1. 短時間実践スキル伝達

これはNG事例集の1つ目の反対です。
短時間で実践的なスキルを教えることが、早く現場で活躍したい、という若手のニーズに合っています。

2. 組織内のキャリア形成の具体的な伝達

キャリア資本の可視化の一環として、ここから何ヶ月、何年でどこまで成長できるのか、上手くいくのか、をしっかりと伝えることで、キャリア形成に意味づけをしていくことが重要です。

3. イマドキ若手の情報収集スピードを信じた、「任せる」プレゼン方式

イマドキ世代の若手の情報収集スピードは早いので、教えるよりもやらせてみる研修も効果的です。

何かを教える、伝える際は、イマドキの若手の情報伝達スピードに合わせることで、飽きさせない、他人事にさせない、他のことをする余裕を与えないことが重要です。その上で、新人だからできない、とやらせる前から決めつけるのではなく、「任せる」プレゼンを組み込むことも効果的です。

これまで見てきた通り、これからの新人育成は、組織内キャリア型では継続できない段階に入ってきています。組織内キャリアから自律的なキャリアへ方向転換をすることが重要です。時代変化に合わせて、今、新入社員育成を変えていくことが重要です。新人が求めているプログラム開発をする、作り上げるという意識で、新入社員育成を考えてみてはいかがでしょうか。

vol.2に続く