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中途オンボーディングが変える組織の「当たり前」

中途オンボーディングが変える組織の「当たり前」

<a href=髙嶋 耕太郎" width="104" height="104">

地方広告代理店、地方公益社団法人での勤務を経て、バックオフィス支援を行う会社に入社。社内コミュニケーション活性施策の営業、新卒合同説明会の制作、総務常駐チームのリーダーを務める。2022年に株式会社NEWONEに入社後は、研修をメインとした人材育成・組織開発のHRパートナー、研修ファシリテーターとして従事。

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組織には、暗黙のルールや不文律が存在します。これらは組織を円滑に運営するための重要な要素ですが、逆に、その「当たり前」こそが組織を硬直させ、不正や非効率を招く要因にもなり得ます。

では、どうすれば健全な組織を維持できるのでしょうか?

私は、その答えは多様性と心理的安全性にあると考えます。

組織不正に目を向け、実際の事例からその真因を分析する「組織不正はいつも正しい ソーシャル・アバランチを防ぐためには/中原翔(光文社新書)」から考えてみたいと思います。

組織不正はなぜ起こるのか?

実際の事例のディテールは本書に譲りますが、組織不正のメカニズムについての発見についてお伝えしようと思います。これまでの研究では、不正をする人物は周囲にはなじまず孤立して、注意深く、積極的に不正を行うものと思われてきました。

しかし、最近の研究では多くの人は不正に無関心で、そのため積極的に不正をしようとする意思もないというのです。「組織は合理的に失敗する」という言葉にも表される通り、不正は狙って起こしたものではなく、結果的に起こってしまったものであるというパターンもあり得るのです。

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なぜ多様性と心理的安全性が必要なのか?

「不正は結果的に起こる」とはつまり、組織内では合理的な判断をしているが、それを第三者が見た場合に不正であると判断されるということです。上司の○○さんの指示がおかしいと思うが、抵抗することは許されないという雰囲気。なぜやっているのか誰も説明できないが、惰性で続いている業務。決められたルールとは異なるが、安全性や成果には影響を与えないので実行されているワークフロー。

「不正を働こう」という人の気持ちではなく、改善コストと現状維持を天秤にかけたときの合理性をもとに、「結果的に不正になっている」状態が組織には生じえます。

その状況に風穴を空けるのが、多様性と心理的安全性です。

多様なバックグラウンドや価値観を持つ人が集まり、意見を自由に発言できる環境があって初めて、組織内で「当たり前」とされる慣習に疑問が生まれやすくなります。

このとき、ただ多様性があるだけでなく、「異なる意見が歓迎される心理的安全性」が伴うことで、不正や硬直を未然に防ぐ効果が期待できます。多様性と心理的安全性がもたらすのは、常に変化に対応し続ける柔軟な組織体制であり、「このままで良いのか?」と問い直す力です。

どのように実践していくか?

個人のレベルでは、傾聴やアサーションと言ったコミュニケーションスキルを身に着け、お互いの違いを受け入れ合う「対話」の手法を実践することです。

組織のレベルでは、そうした対話が円滑に行われる環境を整えることはもちろんですが、本書では「女性役員を増やす」ことも一案であると言っています。これは、女性役員が多い組織の方が不正が少ないという研究結果からきていますが、私がここから抽出したポイントは、「意図的に属性の異なる人員構成にする」ことです。

性別に限らず、年齢、職能と言ったわかりやすいラベルはもちろんですが、その人固有の考え方の傾向や、モノのとらえ方、これまでの経験など、できる限り異質さを組織内に取り入れることが重要です。

「若者馬鹿者よそ者」が変革を起こす、とはよく言われますが、企業組織も同じです。

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