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目次
1. ラテラルシンキング(水平思考)とは
そもそもラテラル(lateral)とは、英語で「横の」「水平の」を意味します。ラテラルシンキング(水平思考)は、問題を解決する際に、従来の垂直的な思考(論理的に一つの解答に向かって縦に深く掘り下げていく方法)ではなく、様々な視点から広がりを持たせて横に広く考える思考法です。固定観念にとらわれず、自由な発想を重視するため、特にイノベーションや複雑な問題解決の際に効果を発揮します。
2. ラテラルシンキング(水平思考)の定義と意味
ラテラルシンキング(水平思考)は、伝統的な垂直思考(論理的な一貫性を追求する)とは反対の 考え方です。垂直思考が一つの正解に向かって深く掘り下げて考えるのに対し、水平思考は多様なアイデアを探り、色々な角度から問題を解決しようとします。
企業における定義
企業では、ラテラルシンキングは新しいビジネスチャンスやイノベーションを生み出すために不可欠です。従来のやり方が通用しなくなったり、市場が急速に変化する中では、水平思考を用いて多様な解決策を模索することで、より柔軟で創造的な戦略を立てることができます。
人事領域における意味
ラテラルシンキングは、従業員のやる気を引き出すための新しいアプローチにも役立ちます。例えば、従業員のモチベーション向上策として、従来の評価や報酬制度に加えて、個々のニーズや価値観を取り入れた柔軟な制度を導入することが挙げられます。従来の垂直思考では把握できなかった別の視点からアプローチすることができるのです。
3. 注目される背景とメリット
注目される背景
現代の企業では、働き方の多様化や社員エンゲージメントの向上が求められています。そのため、変革のために革新的なアプローチを採用し、課題解決や組織改善を目指す方法として、水平思考の導入が注目されるようになりました。これにより、社員の創造性が促進され、新たな解決策が生まれることが期待されています。
メリット
ラテラルシンキングの主なメリットには以下の点が挙げられます:
- 多角的な視点で問題を解決できる
- 新しい情報やアイデアを得られる
- 従来の発想にとらわれない柔軟性を持ったアプローチができる
- イノベーションを促進し、組織の競争力を高める
社員にラテラルシンキングを浸透させることで、新たな視点による個人や組織の抱える問題の解決や、時代の変化に対する柔軟な対応や順応による職場づくりが促進されます。さらに、発想の転換による新しい商品・サービスの開発も期待されます。他にも、柔軟性や独創性の向上により、チームのコミュニケーションも活発になり、相互理解や共同作業を推進します。これにより、チーム全体の創造力が高まり、革新的なアイデアが生まれやすくなります。
このように、ラテラルシンキングの導入は、会社にとっても大きな良い影響をもたらすのです。
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4. ラテラルシンキングの例題
ラテラルシンキング(水平思考)は、固定観念に囚われず、想像的に問題を解決するための思考法です。では、実際にどのような場面で使えるのでしょうか。
例えば、次のような例題があります。
【問題①】
人気のレストランで長蛇の列ができており、予約は受け付けていません。どうすれば早く席に座れるでしょうか?
一般的なアプローチ:
早くお店に行って列に並んで待つ。
ラテラルシンキングを用いた解答:
レストランのピーク時間を避けるか、事前にテイクアウトのオプションを確認してみる。あるいは、ウェイターに直接聞いて、カウンター席やバー席が空いていれば、そちらに案内してもらう。テーブル席にこだわらなければ、すぐに座れる可能性がある。
【問題②】
オフィスの一部の照明が突然消えてしまいましたが、電球は切れておらず、他の電化製品も正常に動いています。なぜ照明だけが消えたのでしょうか?
一般的なアプローチ:
電球や配線の問題を考え、照明自体や配電盤を確認する。
ラテラルシンキングを用いた解答:
照明のスイッチがどこかで無意識に操作された可能性がある。特に、他の場所にあるマスター・スイッチやタイマー設定が影響している可能性があります。タイマーや動作センサーが原因であることもよくあるため、照明システム全体の設定を見直す。
このように、ラテラルシンキングを用いることで、問題の表面的な情報を違った新しい視点で再解釈することで、従来の発想では思いつかなかった解決策を見つけ出すことができるようになります。
5. ラテラルシンキングの鍛え方・実践方法
では、実際にラテラルシンキングを導入するにはどうしたら良いのでしょうか。ラテラルシンキングを効果的に鍛えるための5つの具体的な方法を紹介いたします。
1. リフレーミング(Reframing)
問題や状況を異なる視点で捉え直すリフレーミングは、柔軟な思考を養うための基本的な方法です。たとえば、問題に直面したときに「もし自分が相手の立場だったらどうするか?」と考えることで、別の答えが見つかるかもしれません。問題を別の立場から見ることで、新しい解決策やアイデアを得ることができるため、ラテラルシンキングの基礎としてとても効果的です。
2. 逆発想の練習
「普通の考え方」とは逆の方向で物事を考えるこの方法は、視点を大きく変えるのに役立ちます。たとえば、「どうすれば売れなくなるか?」を考えることで、通常見逃していた改善点に気づけます。新しい視点を手軽に得られるため、アイデアの行き詰まりを解消する強力な手法です。
3. ブレインストーミング
ブレインストーミングは、アイデアを評価せずに出し続けることで、制約を取り払い創造的な発想を引き出す方法です。最初は無関係に見えるアイデアでも、後で結びついて新しい解決策に発展することが多くあります。個人やグループで実践しやすく、思いついたアイデア同士が刺激し合い、発想の幅を広げられます。
4. 6つの帽子思考法(シックスハット法)
エドワード・デ・ボノによって提唱された、6つの帽子思考法(シックスハット法は、6つの異なる視点から順番に考えることで、バランスの取れた判断ができるようになるという思考法です。それぞれの思考スタイルは、
- 白:事実・データ
- 赤:感情・直感
- 黒:リスク・批判
- 黄:ポジティブな面
- 緑:創造的思考
- 青:全体の管理・調整
の順に、6色の帽子で表されています。
それぞれの帽子(視点)の役割と、それを用いた思考の例は以下の通りです。
①白い帽子(事実とデータ)
役割:情報やデータに基づき客観的に考えます。感情や意見は排除します。
例:今持っているデータや事実は何か?
②赤い帽子(感情と直感)
役割:感情や直感に基づいて、感じたことを率直に表現します。
例:直感的にどう感じるか?
③黒い帽子(リスクと批判)
役割:リスクや問題点、弱点を指摘し、慎重に考えます。
例:このアイデアにはどんな欠点があるか?
④黄色い帽子(楽観と利益)
役割:良い面や利益に焦点を当て、ポジティブな視点で考えます。
例:このアイデアの利点は何か?
⑤緑の帽子(創造とアイデア)
役割:創造的な考えや、新しいアイデアを出すために使います。
例:どうすればもっと革新的な解決策が出せるか?
⑥青い帽子(全体の管理)
役割:議論の進行を管理し、次にどの帽子を使うか決めたり、最終的なまとめをします。
例:どの順番で考えるべきか?
例えば、新しいプロジェクトのアイデアを考える時、まず白い帽子でデータを確認し、次に赤い帽子で直感的な感想を話します。その後、黒い帽子でリスクを洗い出し、黄色い帽子でポジティブな面を強調し、緑の帽子で新しいアイデアを出します。最後に青い帽子で議論をまとめ、次のアクションを決める、といった形で活用できます。
この思考プロセスは、バランスの取れた問題解決やアイデア創出の際に非常に役立ちます。多面的な思考を自然に引き出せるため、幅広い場面で応用可能です。
5. SCAMPER法
SCAMPER法は、
- Substitute(代用)
- Combine(結合)
- Adapt(応用)
- Modify(修正)
- Put to other uses(他の用途)
- Eliminate(排除)
- Reverse/Rearrange(逆転/並び替え)
の7つの視点からアイデアを変化させる方法で、クリエイティブな発想を効果的に引き出します。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
①Substitute(代用)
他のものに置き換えることで、アイデアがどう変わるかを考えます。例えば「素材」「人」「プロセス」などを別のものに置き換えてみる。
例:プラスチック製品を紙素材に代用することで、環境に優しい製品に変える。
②Combine(結合する)
他のアイデア、製品、プロセスと組み合わせることで、新しい価値を創出します。
例:スマートフォンにカメラ機能を組み合わせることで、多機能なデバイスを作る。
③Adapt(応用する)
別の分野や状況から学び、それを応用して新しい発想を生み出します。
例:スポーツで使用されるクールダウン技術をデスクワークの休憩方法に応用する。
④Modify(修正する)
現在のものを拡大、縮小、強化、弱化するなど、形や機能を変更してみます。
例:小型化されたコンピュータ(ラップトップ)や、大型化されたスマートフォン(タブレット)。
⑤Put to other uses(他の用途に使う)
元々の用途とは異なる使い道を考え、新たな機能や価値を見出します。
例:本来はキッチン用のアイテムを、アウトドア用品として利用する。
⑥Eliminate(取り除く)
不必要な要素や部分を取り除くことで、シンプルさや新たな価値を見つけます。
例:製品の余分な機能を削除し、シンプルで直感的なデザインにする。
⑦Reverse(逆転する)/ Rearrange(並び替える)
物事を逆にしたり、順序を入れ替えることで、新しいアイデアを探ります。
例:オンライン学習を反転させ、学生が自宅で講義を受け、教室で問題解決に集中する「反転授業」モデル。
CAMPER法は、シンプルなチェックリスト形式で適用しやすく、アイデアを広げるための万能ツールです。
ラテラルシンキングを鍛えるためには、異なる視点や方法を活用して柔軟な思考を促すことが大切です。リフレーミングや逆発想、ブレインストーミングなどの基本的な手法を通じて、物事を新しい視点で捉え、思考の幅を広げることができます。また、6つの帽子思考法やSCAMPER法といった具体的なフレームワークを使うことで、バランスの取れたアイデア創出が可能になり、革新性のある解決策が見つかりやすくなります。これらの方法を実践することで、ラテラルシンキングを日常やビジネスの場で効果的に活用できるでしょう。
まとめ
ラテラルシンキング(水平思考)は、従来の垂直思考(論理的なアプローチ)とは異なり、柔軟な視点や発想を用いて問題を解決するための重要な思考法です。従来の方法では行き詰まるような場面でも、新しいアイデアや解決策を発見できる可能性があります。
この記事では、ラテラルシンキングの例題や、この思考法を鍛えるための5つの方法を紹介しました。ご紹介したような方法を組み合わせて実践することで、日常生活やビジネスの場において、より柔軟で創造的な思考を取り入れることができます。
特にイノベーションが求められる現代のビジネス環境では、ラテラルシンキングが新しいビジネスチャンスや解決策を生み出す力になるでしょう。この習得は、一朝一夕にはできませんが、日々の中で意識的に取り入れることで、自然と発想力が鍛えられていきます。ぜひ、様々な場面で実践してみてください。それが、次なる革新や成功への一歩となるでしょう。
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