最終更新日:

人的資本経営時代のリーダー育成 人的資本を活かす管理職に必要な7つの力とは? vol.2

人的資本経営時代のリーダー育成 人的資本を活かす管理職に必要な7つの力とは? vol.2

NEWONE事務局

著者

NEWONE事務局

著者

NEWONE事務局

エンゲージメント向上や人材開発・組織開発全般に関するお役立ち情報やメソッドを発信してます!

NEWONEでは、あらゆる企業のご希望やお悩みにあわせた
多種多様な研修を取り扱っております。

どんな研修があるか見てみる

人的資本経営が世間的にも浸透してきましたが、実際にどうしたら人的資本を活かす管理職を育成できるのか?そのポイントは何?という方も多くいらっしゃるでしょう。
vol.1 では、変化したリーダーの役割、人的資本を活かすリーダーになるために必要な7つの力をご紹介しました。

今回は、弊社代表の上林と、アライアンス企業の1つであるUnipos株式会社執行役員の斉藤氏とのトークセッションを要約して、人的資本を最大限活かすリーダーを育成・サポートするためのポイントをさらに深掘りしていきます。
※本内容は、2022年10月6日実施セミナーの内容をまとめたものです

Unipos株式会社とのアライアンスに関する情報はこちら

NEWONEでは、エンゲージメント向上をはじめとした
人・組織の課題解決のヒントとなるセミナーを開催しています。

開催中のセミナーを見てみる

人的資本を最大限活かすリーダーを育成・サポートするためのポイント

ここからは、Uniposの斉藤知明氏とNEWONE代表の上林とのトークセッションの様子を要約してご紹介いたします。

Q 組織の人的資本を強化できる管理職を育成・サポートするために、経営や人事は何をしていけば良いか?

NEWONE上林(以下上林):管理職の育成のために大切なことは2つあります。そもそも管理職を育成するのは大変だという前提に立たなければいけません。
1つは、過去を否定しないことが重要です。今まで(の管理職のあり方)も良かった、ただ、時代が変わってきているからこれからはこういうやり方をしましょう、という風に人事の方も意識すべきだし、経営者の方も意識する。ここを間違えてしまうと、管理職の方も人間なので、感情的に反発してしまうというところがある、ということが1つ大事なことです。
一つひとつの7つの能力がやはりそんなに簡単な話ではないので、ちゃんとトレーニングをしていくことが大事な意識かなと思います。

Unipos斉藤氏(以下斉藤):1つひとつの能力を伸ばしていく、という考え方も必要だと思うのですが、NEWONEでリーダーの研修事業をされている中で、人的資本の活用を最大化する上で(7つの能力の中で)弱い能力はどこだと考えていますか?

上林:全てにニーズはありますが、その中でも2つです。
一つは強み発見力も含めた、キャリア支援力ですね。自分が若い頃に、「弱みを改善しろよ」とばかり言われてきているので、ここが難しい、というのが多くあります。ここを変えるだけでも、だいぶメンバーとの関係性もよくなるので、1つ重要になるかと思います。
もう1つは、チームビルディング力です。中間管理職の方はすごく真面目な方が多くて、しかも正当性が高い方が多いので、公平に平等にしよう、というスタンスがすごく強くて、多様な方をうまく活かして、1+1+1を3以上にしていく、という能力が少し弱くなってきます。チームの中のビジョン浸透や、チームの関係構築をするような組織開発などの能力開発が大事になってくる、と思います。

斉藤:これまでの成功パターンのみを是としてしまうと、どうしても必要な強みやスキルなどが、いわゆる自分のコピーになってしまうと思うのですけれども、「自分たちのチームが成果を出し、変化をしていくために必要な力はこれだ。では、その力って社内やチームで強みを持っている人はいるのかしら」、という話なのかなと思いますね。

上林:人を獲得ってなるとどうしてもスーパースター探しをしてしまいますが、基本的にはいないので。本当にここが大事、という能力がある人を見つけてくるとか、ちゃんと育てることが重要ですよね。

斉藤:「どうやったら現状を打破、改善できるのか、現状維持するという思考ではないところに入って初めて、人的資本を活かさないと勝てない、というゲームに気がついていく」、という順番なのかなと思います。
そう考えるとある意味、今までのリーダーの延長線上でもあるのかなと思います。どうすれば成果を出していけるのか、から、柔軟に人のことを考えて良いよ、と言われているともとらえられますよね。

上林:発想を転換していくことが大事です。

斉藤:実際に上林さんが研修などで触れてきた中で、「この人変わったな」であるとか、「とらえ方が素敵な方だな。」、「新しい啓蒙的なとらえ方をしているな。」、という方と触れ合うことってありますか?

上林:1日で変わることはないですけれども、半年前と比べてだいぶ変わったなという方はいまして。変化する人の共通ポイントは先程も言っていたように良い意味で過去を脱却できるか、という点ですね。過去も良かったけど、これから変えた方が良いよね、と思えるかというのが大事です。もう1つ大事なのは、TMOは人に興味関心を持てるか、というのが大事かなと思います。リーダーから期待されているか、関心を持たれているか、というのは数字化できないですけど感覚はつかめますので。

Q 人的資本を活かす取り組みを進めていくうえで、陥りやすい失敗ポイントはどのようなものがあるか?

上林:書籍にもまとめていますが、人的資本経営にありがちな罠は5つくらいあるかなと感じています。

1.経営層だけでやってしまう罠
みんなで参画していく、ということが大事なので、上だけでやりすぎない、ちゃんとTMOを基点としてメンバーを巻き込むということが必要

2.マネージャーに情報開示していない罠
もちろん経営者はデータを見られないと判断できないですが、マネージャーも同様に判断できないので、情報をいかに開示できるかということが大事

3.数値化されるゆえ管理・監視したくなる罠
もちろん数値は指標として大事ですが、1人ひとりの感情面も配慮して能力発揮を支援できるか、ということに注力するかということが大事

4.信頼関係がなくデータを収集できない罠
こういった情報を開示して良いよね、という信頼関係を現場のメンバーと会社や経営層、もしくはTMOと結べるか、ということが大事。信頼関係が構築できずにデータを収集できないという場面もある

5.1人ひとりに注目しすぎる罠
真面目な方ほど1人ひとり丁寧に対応しすぎてしまって結局チームの総和が弱くなるというパターンもある

このあたりが結構注意しなければならない点ですね。

斉藤:基本は信頼と支援なのかなって思います。いかにリーダーが動きやすい状況を作るか、リーダーに託すことができるか、7つのスキルを経営として育成できる環境を作るか、含めて信頼と支援、と言うワードである意味ひとまとめにすることができるのかな、と今日のお話を聞いていて思ったところですね。

上林:まさしくそうです。信頼と支援。管理職とメンバーの信頼と支援が大事ですが、経営と管理職も信頼と支援の関係ができるのか、こっちが大事じゃないかな、と思いますね。

ここからは、セミナー参加者の皆様からいただいた質問への回答をご紹介します。

Q 否定的な社員とどう接していけば良いのか?画一的なことをこれまでやってきた少し年配の方々に対してどのように対応していくのが良いのか?

上林:踏み込んだところのコミュニケーション支援として、Cocolaboというツールがあります。
言いにくいことを言いやすくフラットに言えて、それを否定しない、と言う場を設定して、繰り返し実践する訓練が大事です。とにかく、対話で心理的安全性を確保することが大事ですよね。

Cocolaboに関するセミナーまとめnote記事はこちらから

斉藤:どちらが間違っている、と言う話ではなくて、見え方の問題ですよね。社員からはそこの問題が見えているのを経営層が知らない、理解していないまま発信してしまうと現場のことが見えていないのだな、と感じられてしまいますし。

Q 管理統制型が強すぎて組織変革を自分ごとにできなくなっている状況で、どのようにモチベーションアップにアプローチしていけるか?変革を促していけるか?

上林:いきなりパッとは変わらないのですが、1つはベタですけど、ちゃんと表彰、褒賞していくというところで変わっていく。MVPなどをやってみると、意外と動かなさそうな年配の方とかがモチベートされて、変わったりします。
もう1つは、少し信頼関係ができている前提ですが、いかに参画意識をつけていくかということが大事になってきます。例えば、一個上位の会議に参画してもらうとか。
もう1つ組織変革で大事なことは、組織変革はいきなり変わらないので、もちろんうまくいかないことも多いのですが、ちょっとでも良くなったところを見つけて、ちゃんと発信する役割をリーダーの方、人事の方がやれるかどうかがキーかなと思います。

Q 7つの力、常に全てが均等に必要なのではなく、場面に応じて〇〇力を発揮する必要になる、という理解で良いのか?どのタイミングでそれぞれの力が必要になるのか?

上林:平均的ではなくて、ベース作りとしてはキャリア支援力、強み発見力で、本人が「何のために自分が働くのか」、という意味づけができてくるとポジティブになりますので、最初こういうのをしっかりしていく。そしてチームビルディング力などでベースを作っていく。チームが強くないなと思う時にはこれらが大事かなと思います。
オンボーディングと人材獲得は人をとってくるタイミングで必要になりますので、そこのタイミングで発揮すべきだというのはあるかと思います。

Q 経営の人的資本というと、経営計画と紐づいて実施されると思います。経営計画がない状態から計画ありき、ビジョンありきで考えていくものなのか、数年後のありたい姿等から考えていくべきなのか。それらがなくても今の延長線上で人的資本を考えていく、という考え方もできるものなのか。

上林:会社の制度がなくて人事戦略や人事制度をやるのは難しいことかなと思いますけれども、これからの人事として大事なことっていかに経営戦略、人事戦略を理解できるかっていうことなので。経営がちゃんとやっていないじゃないか!という気持ちを1回抑えて、経営の方と一緒に壁打ちをするという作業が大事なことかなと思います。

斉藤:事業のことを考えられる人事、戦略人事(HRBP)の領域だなと感じました。人事だからこそ人のことを考えていればいい、ではなく、戦略のこと。今後、この会社はこういう経営が起こるはずだから、こういう人材戦略、人的資本戦略でいこう、ということを馳せる必要がある。

上林:より人事がリーダーシップを求められる時代ですので。
変化の時代において、変化って結局後ろを走ると振り回されていくので、できるだけ前を走っていくということがビジネス戦略ですごく大事なことだと思うのです。

今回は、人的資本経営時代におけるリーダーに求められる7つの力を見ていきました。
変化の多い時代において、管理職の方に求められる力、人事・経営層に求められる力は日々変化しています。株式会社NEWONEでは「すべての人が活躍するための、エンゲージメントを」をブランドプロミスとして研修やコンサルティングサービスを通じて様々な企業様とご一緒しております。

管理職向けの研修プログラムのご案内はこちら
管理職向け研修の事例はこちら
お問い合わせはこちら