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キャリア入社者が定着し、即戦力化する!キャリア入社者向けオンボーディング戦略

キャリア入社者が定着し、即戦力化する!キャリア入社者向けオンボーディング戦略

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著者

今西 睦

著者

今西 睦

株式会社NEWONEに新卒入社。研修をメインとして、人材育成・組織開発のHRパートナーとして従事。新入社員・若手から管理職まで幅広い階層を支援している。また、組織開発の一環としての社内イベントの企画・運営を行う。

NEWONEでは、あらゆる企業のご希望やお悩みにあわせた
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近年、企業のキャリア入社者採用が強化されていますが、現場の受け入れ体制が追いつかず、オンボーディングが円滑に進まない企業が増加しています。優秀な人材でも、現場の負荷や環境の違いで早期離職やパフォーマンス低下を招くことがあります。

本セミナーでは、キャリア入社者が自分らしく活躍できる環境作りのためのオンボーディング戦略を、実践的な事例を交え、負担を最小限にしつつエンプロイーエクスペリエンスを高める方法を紹介します。

(※本内容は、2024年12月10日実施セミナーの内容をまとめたものです)

1. キャリア入社者向けオンボーディングが必要とされる背景

近年、企業がキャリア入社者を迎え入れる背景には、大きく三つの要因があります。

①労働力不足

日本では生産年齢人口が年々減少しており、2035年には約384万人もの労働力が不足すると予測されています。人手不足の解消には、新たな採用戦略としてキャリア入社者を増やすことが必須です。しかし、採用だけではなく、定着を促進するためのオンボーディングが重要です。

②人材流動化

人生100年時代が到来し、終身雇用の考え方が薄れつつあります。転職を前提としたキャリア形成が主流となり、企業はキャリア入社者を迎える準備が必要です。企業によっては、従来のプロパー採用を主力としてきましたが、時代の変化に応じてキャリア入社者の採用比率を増やしているところもあります。

③ 売り手優位の中途採用市場

求人倍率が高まり、中途採用市場は売り手市場となっています。特にIT業界などでは転職の求人倍率が6倍を超えるなど、転職活動が活発化しています。企業は採用活動に注力している一方で、採用後の定着支援を強化しないと、短期間での離職を招きかねません。

2. キャリア入社者向けのオンボーディングに必要な要素

「重要性は理解ができるが、実際にどうしたら良いか分からない」という声もよく伺います。オンボーディングプログラムを成功させるためには、いくつかの重要な要素があります。甲南大学の尾形教授によれば、キャリア入社者に必要なオンボーディングの要素は以下の4つです。

①人間関係の構築

新しい職場での人間関係は、キャリア入社者の定着に大きく影響します。特に配属されるチーム以外の部署や、オフィス外での人間関係が希薄であると感じるキャリア入社者も多いため、これらのネットワーク構築を支援することが大切です。

②職場環境理解

業務プロセスや会社のルール、さらに目に見えづらい企業カルチャーの理解も重要です。新しい職場での早期適応には、職場環境をいかに理解し、慣れていくかが鍵となります。

③ポジションの設定

即戦力としての貢献を期待する場合、キャリア入社者に対して短期間で成果を上げるためのポジションを設定することが重要です。自身の強みを周囲に自己開示してもらい、それに基づいた役割を与えることで、早期に貢献できる環境を整えます。

④短期的な成果

キャリア入社者が自分の強みを活かし、短期的に成果を出せるような目標を設定することも効果的です。これにより、自己肯定感を高めるとともに、早期に組織に馴染んでいくことができます。

3.キャリア入社者向けのオンボーディングにおける課題とその対応策

キャリア入社者がオンボーディングするためには、
人間関係構築・職場環境理解・ポジションの設定・短期的な成果の達成が重要であると記述しましたが、現場での管理職の理解不足や業務負荷の増加など、さまざまな壁にあたり、実際は推進することが難しい現実があります。

壁1:組織とキャリア入社者の関係性の変化

従来、組織はキャリア入社者に対して「会社のやり方に合わせるべきだ」と求めてきました。しかし、現在ではキャリア入社者が「合わなければ辞める」という意識を持つことが一般的となり、企業側も自ら選ばれるために、対等な関係を築かなければならないというプレッシャーに直面しています。このため、キャリア入社者に対するオンボーディングは、組織側の一方的な押し付けではなく、彼らの強みやキャリア成長を考慮したアプローチが必要です。

従来型のオンボーディングが「やり方を覚えろ」「合わせろ」という形で進められていた場合、キャリア入社者は自分の強みを活かせず、結果としてエンゲージメントの低下や短期離職を引き起こす可能性があります。一方、過度にサポートを与えることも逆効果となり、キャリア入社者が自ら動くことなく依存的になってしまうことがあるため、バランスが重要です。

壁2: 現場の上司や先輩の理解不足

現場の上司や先輩がキャリア入社者向けのオンボーディングに対してピンと来ていない場合、その理解不足がオンボーディングの成否に大きく影響します。例えば、長年同じ組織で働いてきた上司が、「新しく入ってきた社員は自分でなんとかするべきだ」と考えると、キャリア入社者は十分なサポートを得られず、ストレスや不安を抱えることになります。この場合、キャリア入社者は「歓迎されていないのではないか」と感じ、早期離職のリスクが高まります。

また、キャリア入社者自身も過去の経験から自力で解決しようとすることが多く、相談しづらい環境が生まれやすいです。これにより、キャリア入社者が会社に対して感じるエンゲージメントが低下し、パフォーマンスにも悪影響を与えかねません。

壁3:管理職の業務負荷と新たな施策への抵抗感

現在、多くの企業では管理職の業務負荷が増しており、これが新たな施策に対する抵抗感を生んでいます。特にキャリア入社者のオンボーディングに関しては、「新たなテーマが増えること」へのネガティブな反応が見られることがあります。管理職はすでに多くの責任を抱えており、オンボーディングに十分なリソースを割けないことが多いです。このような状況では、キャリア入社者向けのサポートが手薄になり、結果的にオンボーディングの効果が薄れてしまう可能性があります。

NEWONEでは、エンゲージメント向上をはじめとした
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4.オンボーディングプログラムの設計と実施

これらの壁を乗り越えて、キャリア入社者のオンボーディングプログラムを設計する際は、

エンゲージメントを重視することが不可欠です。エンゲージメントとは、企業と社員、特にキャリア入社者との間に築かれる強い繋がりを指します。この繋がりが強いほど、キャリア入社者は企業に対して愛着を持ち、エンゲージメントが高まります。逆に、繋がりが弱ければ、キャリア入社者は自己成長を求めて他の機会を探し始めることがあり、短期離職のリスクが高まります。

では、キャリア入社者のエンゲージメントをどのように高めれば良いのでしょうか。

ここでポイントになるのは従業員体験(Employee Experience)という考え方です。従業員が仕事を通じて得る経験や感情を指し、最近では「Employee Experience」や「EX」という言葉が注目されています。この概念に基づき、従業員体験を意識した施策設計が重要であり、特にオンボーディングにおいてはその設計が成功の鍵を握ります。

従業員体験を設計する際、施策を時系列で並べるのではなく、従業員が抱く感情を起点に逆算することが大切です。例えば、入社初日に不安な気持ちを抱えた社員に対して、安心感やウェルカム感を感じてもらえるような施策を考えます。これにより、従業員は企業に対する信頼感やモチベーションを高め、より主体的に組織に貢献したいという気持ちを持つようになります。また、従業員が持っている期待を理解し、それに応える感情を引き起こすことが施策設計のポイントになります。

最後に、現場の状況を考慮しつつ、施策を無理なく実行できるように設計することも大切です。特に管理職が忙しい中での施策実行には、現場の負担を軽減しつつ効果的な施策を検討する姿勢が求められます。そのためには、人事側で0ベースで施策を検討していくのではなく、現場にヒアリングを行い、どのような取り組みを行っているか拾い上げ、それを他部署でも展開できるよう汎用化していくことが良いと考えます。結果的に、企画側・現場側の負担も減らすことができます。

実際に、ご支援させて頂いた大手IT企業では、キャリア入社者向けのオンボーディングプログラムを強化するため、現場の情報や先行事例をインタビューさせていただき、PANAIキャリアを参考にしながら、最適なプログラムを設計しました。

プログラムは、キャリア入社者がどのような感情や状態で成長すべきかを明確にした上で、段階的な目標設定を行い、その達成に向けての支援体制を整備しました。最終的には、トライアルを実施し、フィードバックを受けてプログラムを改良した結果、ポジティブな反響が得られ、さらに全社展開へと進んでいます。

キャリア入社者向けのオンボーディングには、従来の手法とは異なるアプローチが求められます。組織とキャリア入社者の関係性が変わる中で、エンゲージメントを高めるための施策が不可欠です。実際に、従業員体験を中心に施策を設計し、組織全体のエンゲージメント向上につなげるために現場にヒアリングを行い、それを他部署でも展開できるよう汎用化していくご支援も行っておりますので、ご興味があればお声がけください。

セミナーアンケートコメント(一部抜粋)

  • まさにオンボーディング施策の検討段階にある中で、感じている課題や現状を言語化していただけて非常にためになった。
  • キャリア入社の方の感情に寄り添うことの重要性や、現場の好事例を活かすことの大事さに気が付きました。
  • 入社日に行っているガイダンスが会社目線であることに気づかされました。入社者にとって「この会社を選んでよかった」と初日に実感してもらえる仕組みを考えたいと思います。
  • 他社事例で他社は丁寧にオンボーディングを実施していて、弊社でも強化が必須だと改めて考えました。
  • 当社もキャリア採用が急増しており、改めてオンボーディングの必要性を認識することができました。

登壇者の声

キャリア入社者に対するオンボーディング強化に取り組むことは、キャリア入社者の即戦力化やエンゲージメント向上はもちろん、取り組みを通して受け入れ先組織の組織開発や組織活性化にも繋がります。今回のセミナー内容が、現場メンバーを巻き込んだオンボーディング強化へのヒントになっている様であれば嬉しいです。

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