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メンタリングを取り入れた、1on1のポイントとは? ~女性社員の「経験したことなくて不安」と向き合う~

メンタリングを取り入れた、1on1のポイントとは? ~女性社員の「経験したことなくて不安」と向き合う~

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著者

青木 美奈

著者

青木 美奈

株式会社NEWONEに新卒入社。研修をメインとして、人材育成・組織開発のHRパートナーとして従事。新入社員・若手から管理職まで幅広い階層の研修設計を支援。特に女性活躍、ダイバーシティ推進に注力している。社内では、メソッド記事の作成を推進している。

NEWONEでは、あらゆる企業のご希望やお悩みにあわせた
多種多様な研修を取り扱っております。

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近年、上司や斜めの関係性のメンターとの1on1を導入・活用している会社様も増えてきているのではないでしょうか。そんな中でも特に、女性活躍を推進するために、女性社員の方を対象にしたキャリア支援をテーマにした1on1に注力している会社様も増えてきているかと思います。

そこで今回は、女性部下や後輩をもつ人のための1on1の教科書を参考に、特に未経験な事に対する悩みを持っている女性社員に対して効果的な、1on1でのかかわりについてご紹介します。

1on1とは

1on1とは、1対1で、対話をする時間のことを指し、1on1で話す内容に決まりはありません。近年では、人生そのものである「キャリア」について1on1の時間で話すことも増えてきています。その背景には、わざわざ話さないとキャリアについて話す機会が少なくなってきた社会変化があります。

これまでの日本の労働市場で大多数を占めてきた男性は、飲み会、休日のゴルフ等、仕事外の時間でのコミュニケーションの中で、自然とキャリアの話題について話すことが出来ていました。先輩社員が上手く人脈作りや関係者を紹介してくれて、自然とメンター・メンティーのようなキャリアを後押しする関係性を築くことにつながっていたのです。

しかし、時代が変わり、働く人が多様になってきた現代において、全ての人が業務外の時間でキャリアについて話す機会を得られているとは限らず、会社の中で1on1等の時間を用いてキャリアについて話す必要性が高まってきています。

未経験なことは本人の中に答えはない

「1on1は部下のための時間だから、アドバイスをするのではなく、本人の意向や意志を引き出すコーチングが重要」と言われることも多いと思います。もちろん、部下本人のこれまで経験したことがある内容や、過去の経験を踏まえて行動が起こせそうなテーマについては、問いかけを通して本人の目標達成の支援をするコーチングの手法が効果的です。しかしながら、本人が経験したことのない仕事や状況に対して、コーチング的なかかわりをしすぎてしまうと、「どうしたら良いか分からないのに、困ってしまう」ことも多く発生します。

例えば、出産後復帰した女性が、育児と仕事をどう両立したら良いか分からない、という悩みに対して、「両立するためにどうしたら良いと思う?」等の問いかけをするかかわりは、かえって効果がありません。なぜならば、経験したことがなく、どのような生活になるのか全く想像がつかない不安な状況で、「どうしたいか」と問われても、その答えは本人の中にはないからです。

そんな、未経験なことに対する悩みには、メンタリングのかかわりが効果的になってきます。

女性部下や後輩をもつ人のための1on1の教科書によると、メンタリングとは、「メンター」と呼ばれる人生やキャリアにおいて少し先を行く人との双方向の対話を通じて、自己理解を助けたり、キャリアを形成していく上で生じる課題を解決したり、相手の成長をサポートしたりする人材育成方法の1つ、と定義されています。

未経験なことは分からないからこそ、近しい立場のメンターから、「こういう考え方もあるんじゃない?」「こういう方法もあるんじゃない?」と一緒に考えたり、課題を解決していくことがメンタリングなのです。

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メンタリングとは?

1on1を受ける方にとって意味ある時間にするためのかかわり方であるメンタリングには、3つポイントがあります。

①ディープカンバセーション

ディープカンバセーションとは、相手と信頼関係を構築し、相手の本当の課題に気づくための対話術のことで、

信頼関係構築→傾聴→深掘り の流れで対話を進めることがポイントです。

●信頼関係構築

相手が心を開いて本音を話してくれる関係性を作ることが、1on1の基本です。信頼関係を構築するためには、以下の5つが重要です。

・否定をしない:相手の話を否定するのではなく、まずは「受け止める」姿勢
・相手に与えるイメージ:見た目の清潔感や、姿勢等、信頼感を得やすいように、見え方を意識する
・話し方:相手の言葉に合わせたり、無意識の偏見から生じる決めつけた言い方に注意する
・自己開示をする:自分のことを開示すると、相手も同じくらい自己開示をしてくれる、「自己開示の返報性」という理論があります。相手のことをグイグイと聞くだけでなく、自分の情報も適宜開示することで、相手が本音を話ししやすい空気感を作る
・守秘義務を守る:1on1の場で話した内容は、守秘義務を守る

●傾聴

傾聴をする際には、相手の言葉の奥にある「想い」に触れることを意識することが大切です。相手から愚痴っぽい話が出てきた際には、同調するのではなく、気持ちに寄り添う「共感」の反応をすることが大切です。

●深掘り

傾聴をした上で、相手が本音を話すのをサポートする意識で、深掘りをすることがポイントです。相手が感じているモヤモヤや、課題の本質を明確にするための深掘りにつなげるよう、「相手から話したい」と思わせる問いかけが効果的です。

②アドバイス

ディープカンバセーションを通じて、関係性が深まり、相手の課題が明確になってきたら、相手が求めている場合はアドバイスを伝えることが効果的です。

アドバイスをする際のポイントは、3つあります。

・アドバイスをする前に相手に断りを入れる

いきなりアドバイスをしてしまうと、相手の受け入れる姿勢が整っておらず、上手く伝わらない可能性があります。相手が心の準備をできるよう、一言「私の経験をシェアしても良い?」等の断りを入れておくことがポイントです。

・提案型で伝え、取り入れるか否かは相手に委ねる

アドバイスを伝えた後に、必ず相手がどう感じたか、反応を確認することが大切です。意見の押し付けではなく、提案し、取り入れるかどうかの判断は相手に委ねることが重要です。

・アドバイスをする内容

アドバイスで伝える内容は、自分自身の経験、理論、他の視点から見た時の見え方等がオススメです。特に、自分自身の経験について伝える場合は、相手が全く同じ状況にいるわけではない、という前提に立ち、自分の過去の経験から持論化をしておくことが重要です。

経験から持論化をする、経験学習サイクルについてはこちら

③クロージング

1on1では、終わり方も重要です。今日話した内容を簡単にまとめて、相手に気づきをたずねたり、相手の良かったポイント等を伝えて鼓舞することが効果的です。

まとめ

1on1のスタイルに正解はありません。しかし、特に相手が未経験なことに対して悩んでいる、コーチングのかかわりをしても中々上手く相手から言葉が出てこない時は、問いかけのスタイルや方法を省みるだけでなく、相手・状況に合わせてメンタリングの手法も取り入れながら実践すると、良い時間にすることができるのではないでしょうか。