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【6月出版】従業員体験がエンゲージメント向上のキー

【6月出版】従業員体験がエンゲージメント向上のキー

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著者

上林 周平

著者

上林 周平

大阪大学人間科学部卒業。 アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社。2002年、(株)シェイク入社。企業研修事業の立ち上げ、商品開発責任者として、プログラム開発に従事。新人~経営層までファシリテーターを実施。 2015年、代表取締役に就任。2017年9月、株式会社NEWONEを設立。 2022年7月に、「人的資本の活かしかた 組織を変えるリーダーの教科書」を出版。

NEWONEでは、あらゆる企業のご希望やお悩みにあわせた
多種多様な研修を取り扱っております。

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2024年6月22日に英治出版より、
組織の未来は「従業員体験」で変わる
人手不足の時代にエンゲージメントを高める方法

を出版させていただきました。

¥1,650 (2024/06/25 16:25時点 | Amazon調べ)

また、7月24日には、六本木 蔦屋書店にて、
出版記念トークイベントを実施させていただきました。

個人と組織の関係性であり、相互貢献であるエンゲージメント。
弊社は、創業以来エンゲージメント向上支援を多数行っておりました。

ただ、エンゲージメントはあくまで”結果”としての関係性。
そのより良い結果を作るために何を行うかについて、まとめてみたいと思います。

エンゲージメント向上のポイントとは

人材枯渇時代ともいわれる中、
企業は人を惹きつけ、力を発揮してもらうためにも、エンゲージメント向上が非常に重要になっています。

このエンゲージメントですが、個人と組織が相互貢献する関係性であり、
個人側からの組織に対する自発的なベクトルである貢献意欲が大事になってきます。

自発的な意欲や自分の力を最大限発揮する状態を作るために何が大事かというと、
これらは”感情”を除いては難しいという点があります。

・皆と一緒に成し遂げたいなというワクワクした気持ち
・まだ見ぬ自分に成長できるかもと言うような期待
・社会に対して新たな価値を提供したいという貢献感
・周りから評価されて、自らもっと良いチームを作ってみたいという憧れ
・誰かを喜ばせたいという純粋な想い

そういった感情があるからこそ、自発性が生まれるものであり、
「会社全体の目標をブレイクダウンすると自分の目標は論理的にこうであり、だからやる必要がある」というような論理だけだと、自発的な意欲が湧き出るのは難しいものです。

過去、高度経済成長期から続くマネジメントは、製造業を中心に作られた制度が多く、
感情のブレを防ぎ一定の安定感を作るのが大事だったのは事実です

一方で、ビジネスモデルが変わり、エンゲージメント向上が求められる中で、
この”感情”を上手く捉えることが重要になってきます。

従業員体験の本質とは

マーケティングの世界では、
より顧客を惹きつけ、顧客リピートやクロスセリングを強化するために”体験価値”の重要性が謳われています。

それと同様のことは、人材マネジメントの領域でも重要性が増しており
それが「従業員体験」という言葉です。

従業員体験とは、
企業や組織に所属する従業員が、仕事において得る経験や感情のこと

と定義されることが多いですが、大事なことは、“体験”自体は、あくまで手段であり、
その”体験”を通じて、本人がどのような”感情”を持ったかがポイントになります。

例えば、表彰制度で表彰されるという”体験”があったとします。
その体験を経験しても、本人が”会社が仕方なくやっていて見世物にさせられていて嫌だな”という感情を持つと、前向きな意欲は出ません。
一方で、同じ体験でも、”会社だけでなく、周りのメンバーからも期待されていて、これからの未来ももっと自分から挑戦したい!”という高揚感があれば、その後の意欲は変わってきます。

表彰制度で表彰されるという”体験”だけ見るのではなく、
その後の”感情”がより良くなるようにプロデュースすることが大事です。

NEWONEでは、エンゲージメント向上をはじめとした
人・組織の課題解決のヒントとなるセミナーを開催しています。

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感情を意識すると施策は変わってくる

表彰制度は一つの例でしたが、
企業内の施策は行っていく中で、体験だけが独り歩きし、感情が置き去りになることがあります。

例えば、1on1制度も導入時は、
「(対話を通じて)”成長実感”を得てもらいたい」
「上司との関係性が強化されることで”安心感”を得てもらいたい」
というような感情面も意識して企画されることが多いです。

一方で、月日が経つと、1on1を行うことが目的となり、
「雑談ばかりで行う意味があるのかな」
「上司がたくさん指導して、やらされ感から嫌な気持ちになる」
というような感情を持ってしまうことがあります。

それはもちろん1on1だけでなく、公募制度やフォローアップ研修、入社歓迎会などすべての体験で可能性があり、今一度自社の施策はどうなっているのかを振り返ることが大事です。

また、感情に着目すると、お金がない企業や部署でも工夫することが出来ます。

例えば、他社が行っているような盛大な入社式&歓迎会は予算的にできないとしましょう。
この体験で得てもらいたい感情は何かというと、入社した”高揚感”だったり、周りから”必要とされている感”だとすることが多いです。

この感情が理解できると、予算をかけた盛大な入社式でなくても、受け入れ社員一人ひとりからのビデオメッセージや所属トップから個人一人ひとりへ直々に期待を伝えるなどの方法でも、同じ感情は得られるものです。

このように、体験を通じた感情に着目することで、施策は変わってきます。

どのような感情が大事なのか

“働く人の感情が大事だ”という言葉だけを見ると、
怒りに任せた行動をされたら困る、心地よい感情を求めて生温くなる、といった意見も出てきます。

企業にとっては、
エンゲージメントが向上し、業績を上げていくことが重要な中で、どのような感情を意識すべきかがポイントです。

NEWONEは、2024年7月に、働きやすさ×働きがい×推奨度のある職場を「推せる職場」と定義し、
その職場の作り方を分析・具体化する「推せる職場ラボ」を設立しました。

そこで、エンゲージメントに近い概念である「働きがい」を高める上で相関するものは何かを分析しました。

42要素と相関分析した結果は、

①仕事をする中で達成感を得ている
②自社が実現したいことを自身も達成したい
③自職場は自身の成長を支援してくれる
④今の仕事は自身の成長につながっていると思う
⑤自職場の提供価値は意味あるものだと感じている
⑥自身の強みを活かせていると思う

であり、特に達成感の相関が非常に強かったです。

この達成感は、力半分で取り組んでも得られにくい感情であり、また周りに貢献できていないと(周りに求められていないと)得られにくいものでもあります。

すなわち、職場の目指す方向に向けた取り組みでもあり、職場業績にもプラスの影響をもたらすものです。

そして、その達成感との相関が強いのが、

・今の仕事は自身の成長につながっていると思う(相関係数0.67)
・自職場は自身の成長を支援してくれる(相関係数0.66)
・自身のキャリア意向と合う仕事内容である(相関係数0.65)
・自身の強みを活かせていると思う(相関係数0.64)

であり、強みを活用して意向にあった仕事を担い、かつ職場の成長支援もあって成長実感がある、というのが重要なポイントであると見て取れます。

こういったところから見ると、従業員体験設計をする際に、
何でも良いので感情的になることが大事だという訳ではなく達成感や、それをもたらす成長実感・強みを発揮した貢献実感などが得られる体験が多いかが、エンゲージメント向上につながると言えます。

行うべきことが多数見えてくる従業員体験設計

「エンゲージメント向上といっても何をやって良いかわからない」
という声もよく聞きます。

一方で、従業員体験設計として、一つ一つの感情を意識して見ると、やるべきことや改善すべきことが多く見られます。
なので、そういった観点から見て、実行施策に移していただければ幸いです。

今回一部ご紹介しましたが、
さらに具体的な内容は書籍にてまとめておりますので、興味ある方はご覧ください。

日本中により良い職場を増やしたい。
その想いにまっすぐとこれからも進んでいきたいと思います。
引き続き、何卒よろしくお願いします。