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獲得すべき“自律型”エンプロイアビリティ

獲得すべき“自律型”エンプロイアビリティ

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著者

上林 周平

著者

上林 周平

大阪大学人間科学部卒業。 アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社。2002年、(株)シェイク入社。企業研修事業の立ち上げ、商品開発責任者として、プログラム開発に従事。新人~経営層までファシリテーターを実施。 2015年、代表取締役に就任。2017年9月、株式会社NEWONEを設立。 2022年7月に、「人的資本の活かしかた 組織を変えるリーダーの教科書」を出版。

NEWONEでは、あらゆる企業のご希望やお悩みにあわせた
多種多様な研修を取り扱っております。

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人的資本情報の開示が叫ばれる中、キャリア自律を強化する企業が非常に増えています。

その中でも、キャリア支援を行うマネジャーを育成したいというオーダーは、
弊社にも毎日来ていて、ご支援させていただいています。

時代の変化に伴い、変わるべきマネジメントスタイル。
一方で、若手含めたメンバー側も、”キャリア自律”に対して正しく認識する必要があります。

キャリア自律を勘違いして、成長しきれなかった人もいる中、
社会人初期に獲得すべき能力を整理し、キャリア自律について考えていきたいと思います。

”キャリア自律”とは何なのか

キャリア自律とは、日本の人事部HRペディアでは以下のように定義されています。

「キャリア自律」とは、企業や組織に依存するのではなく、個人が自身のキャリアについて向き合い、主体的にキャリアを開発していくこと

今まで、異動や転勤も会社主導で会社の責任だったところから、
個人のキャリアの責任は、個人にあるというのがキャリア自律の大きなポイントです。

では、以下は”キャリア自律”でしょうか。

「希望通りの配属先ではなかったため、ほどほどに働きながら転職の準備を進める」

「キャリア自律」しているとは言えるけど…
正直、企業側としては、なかなか歓迎しづらいところでもあります。

また、自身が自社の採用責任者だとしたら、以下のような人はどのような印象を持ちますか?

「成長を大事にして、知名度ある環境を選んできました!」
「30歳までに有名企業ばかり9社経験しています!」

多くの企業に採用されるだけの知識や肩書があり、ポテンシャルが高いかもしれません。
一方で、その内容や背景を聞かないと、本当に自社で戦力となりえるのか、採用コストをかけたのにすぐに辞めないか、リスクは解消できないものでもあります。

本人が自分の責任で、自信をもって経験を積んできても、
組織からすると、すんなりと受けいれられないこともあるのが実情です。

そういった中、”キャリア自律”を行う上で、押さえるべき観点は何でしょうか。

NEWONEでは、エンゲージメント向上をはじめとした
人・組織の課題解決のヒントとなるセミナーを開催しています。

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押さえるべき”エンプロイアビリティ”

経団連の「Society 5.0 時代を切り拓く 人材の育成」では、以下のように述べられています。

企業は、働き手から選ばれる立場へと変わってきていることを 認識し、働き手から選ばれる魅力を高める必要がある。人材が育つ組織として自社をアピールできなければ、優れた人材を採用し、定着させることは難しくなる。
他方、働き手には、自身のキャリアビジョンを描き、主体的に社内外における自身の価値
(エンプロイアビリティ)を磨いていく意識と行動力を持つことが求められる

エンプロイアビリティ=被雇用能力
と言われることもありますが、大事な概念です。

そして今の世の中において、このエンプロイアビリティと向き合う上では、2つ”問い”が大事になります。

1つ目の問いは、
・終身雇用時代のエンプロイアビリティ
・人材流動化時代のエンプロイアビリティ
は同じでしょうか。

長い期間、同じ会社に働き続ける上での「被雇用能力」と、
短期的に流動する可能性がある時代の「被雇用能力」は全く同じとは言い切れず、
後者の方が時間軸としては早く結果が求められると思われます。

2つ目の問いは、
・正社員としてのエンプロイアビリティ
・業務委託社員としてのエンプロイアビリティ
は同じでしょうか。

フリーランスや副業と言う働き方も増え、業務委託契約も一般化してきましたが、「正社員」と「業務委託契約」では、契約形態が違います。
後者は仕事内容に紐づく短期的な契約ですが、前者はどちらかというと長期な契約となるため、長期にわたって活躍できる「被雇用能力」が求められます。

今、正社員で働くことを前提したエンプロイアビリティを考える上では、この2つを押さえることが大事です。

エンプロイアビリティと言う言葉が昔からあったために、漠然と捉えている場合が見られます。
より早く成果を出すことができるか、またより長く活躍することができるか、
そういった「被雇用能力」があるかが、これからの時代では大事です。

獲得すべき”自律型”エンプロイアビリティ

では、これからの時代に大事な「被雇用能力」であるエンプロイアビリティとは何がある状態なのでしょうか。

1つの軸としては、
どのような知識やスキル、経験があるか、と言う点です。
使える武器が無いと、早く成果が出せません。

一方で、知識やスキルがあっても、それを成果につなげるかどうかは別です。
TOEICの点数が高くても引っ込み思案では、活躍が限定されることはあります。
また、保有しているスキルや経験で、A社では活躍できたが、B社では活躍できないというような環境に影響を受ける側面もあります。

従って、知識やスキル、経験とは別のもう一つの軸として、主体的行動レベルがあります。

主体的行動レベルを具体化すると、

レベル1:「できるとき」と「できないとき」がある
レベル2:指示があれば、指示通りにできる
レベル3:その状況に合わせて工夫して行動ができる
レベル4:状況を捉えて、自ら仕掛けることができる
レベル5:自分のやり方を言語化して、会社全体の標準にして牽引する

スキルや経験があったとしても、「レベル1」だと失敗することもあります。
「レベル2」だと、丁寧に指示を出さないと期待通りにいかないこともあります。
会社側からすると「レベル3」、”仕事ができる”という観点では「レベル4」のような行動を求めたくなるものです。

すなわち、知識やスキル、経験に加えて、
会社も個人も、主体的行動の「レベル4」を意識できると双方Winになれるのではないでしょうか

若い方が自分の市場価値を考えるにあたり、
知識やスキル、経験と共に、この主体的行動レベルを上げることを意識できているかが、実は大事だったりします。

エンプロイアビリティをただ「被雇用能力」と定義するのではなく、
企業の求めることに受け身的に応えていくのではなく、自ら主体的に行動し、エンゲージメントを高めていくこと
と定義し、自律型エンプロイアビリティと捉えていくことが必要
です。

弊社NEWONEでは、個人にとっても、企業にとっても、価値ある状態になるために、
自律型エンプロイアビリティを意識しながら、これからも支援していきたいと思っております。

今後とも何卒よろしくお願いします。