10年越しに夢が叶った話

先月、自宅に一通の封筒が届いた。2020年から3年間、中央アジアのブータンという国で、教育と地域活性化に関わる事業をご一緒することになった国際協力関係機関からのもので、出張に関わる書類などが入っていた。

本土から船で3時間もかかる小さな離島に暮らし、この2年間仕事をしてきた先に、グローバルな仕事に関わるご縁があるなんて、移住前には想像もしていなかったけれど、この2年間積み重ねてきたことを生かせる予感もあり、個人的にはけっこう楽しみにしている仕事だ。(コロナの影響で、若干先行きが見えなくなりつつありますが)
そして、これは今の私にとっては偶然のお仕事の縁である一方、10年前、当時18歳の自分にとっては叶えたい夢だったわけであるから、これまた不思議な気持ちになる。

というのも、私は京都の立命館大学国際関係学部に入学した18歳のころ、アジア・アフリカで国際協力開発に携わりたいという夢をもっていた。そして、今回私の家に封筒を届けてくれた国際協力機関は、当時就職したいと思っていた候補の1つでもあった。

希望に燃える大学生の山野青年は、19歳の時にノルウェーに留学し、インドやバングラデシュにも足を運んだりもするが、国際社会の問題が大きすぎることに挫折したのか、飽きっぽい性格で色んなことに興味を持ったからなのか、大学の授業より飲み会を優先した結果なのか、徐々に国際協力開発というフィールドからは足が遠のいた。

大学時代の後半戦は、身近なこと、日本国内のことへの関心がむしろ高くなり、大阪の西成に通ってみたり、教育関係のNPOでの活動に関わったりもした。そう言えば、ビジネスや、事業をつくることにも関心が湧きはじめたのも、この頃だったと思う。

そこからファーストキャリアとして人事の仕事につながり、東京で働くことになった。ぼんくらな新人だった私に、たくさんの人が厳しさと愛情を持って関わってくれたおかげで、仕事のおもしろさ、しんどさ、楽しさ、くやしさ、それをすべてひっくるめた仕事の醍醐味のようなものを覚えたし、東京の自由な空気感が好きだった。

そこから、より近い距離感と長い目線で人や組織を追いかけたいという気持ちと、根拠のない直観を持って、約2年前に島根県の海士町に移住をし、今は前職の経験も糧にしながら、地域で教育に携わる仕事をしている。
だから大きな声では言えないが、18歳のころに山野青年が抱いた大志はもうない。人の育ちや、創発が生まれる場づくり、チームづくりには興味があるが、国際協力開発への情熱的なモチベーションが、烈火のごとく溢れ出しているわけではない。

けれど、ブータンでのこれからの事業推進はとても楽しみだ。現地に赴くのはおそらく年4回ほどだが、これまでブータンで関わってきた人たちと何ができるか、どんな場やコンテンツを生み出せるかに関心があるし、所属組織の垣根を超えてプロジェクトチームをつくり、目標を追いかける挑戦にも、おもしろさと、やりがいを感じている。

というわけで、18歳のころの私の夢は思いもよらぬ形で叶った。夢を全力で追いかけて叶えたわけではないから、爽快な気持ちや、こみ上げる達成感なんてものはないし、そもそも夢が叶った、なんていうのが反則かもしれない。
でも小さな嬉しさはたしかにあるし、これまで積み重ねてきた点がつながった手応えもあるから、やっぱり夢が叶ったことにしておこうかなと思っている。

 


■ライタープロフィール
山野 靖暁(yasuaki yamano)
1991年生まれ/大阪府出身
株式会社シェイクに新卒で入社後、研修開発やコンサルティング営業に従事、
多くの企業の人材育成、組織開発に携わり、株式会社NEWONEの創業期にも関わる。
シェイク退職後、イギリスの大学院シューマッハカレッジへの短期留学を経て、
2018年3月より島根県の隠岐郡海士町に、暮らしと仕事の拠点を移す。
地域や、海外をフィールドにした課題解決型学習のコーディネートなど、
高校、地域、行政、民間企業等と連携しながら教育の魅力化に取り組んでいる。
最近のテーマは「他者との関わりの中で、その人らしさが生まれる学びの場」

 

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