最終更新日:

エンジョイ・ベースボールに見た新人・若手育成

エンジョイ・ベースボールに見た新人・若手育成

NEWONEでは、あらゆる企業のご希望やお悩みにあわせた
多種多様な研修を取り扱っております。

どんな研修があるか見てみる

8月23日に慶應義塾高等学校野球部が夏の甲子園で107年ぶりの優勝を遂げました。
プロ・アマ問わず野球観戦が大好きな私としては、とても印象的でした。

坊主頭ではなく、「エンジョイ・ベースボール」を掲げる方針がマスコミを通じて急速に広がりましたが、
2006年には「エンジョイ・ベースボール: 慶應義塾高校野球部の挑戦」
2020年には「Thinking Baseball ――慶應義塾高校が目指す”野球を通じて引き出す価値”
が出版されており、ポッとでのアイデアではなく、時代の変化を踏まえた試みの結果でもあります。

今回は、昨今の若者の特徴を踏まえ、新人・若手育成にどのように向き合っていくべきか、まとめてみたいと思います。

今の若者は人間関係軽視なのか?

「新入社員意識調査2023」(リクルートマネジメントソリューションズ社)を発表されました。
https://www.recruit-ms.co.jp/press/pressrelease/detail/0000000409/

その中で、働きたい職場の特徴は、
・「お互いに助け合う」(66.4%)がトップ(昨年が過去最高)
・「お互いに個性を尊重する」(50.7%)が10年前と比較し21.8ポイントUPし過去最高
・「遠慮せずに意見を言い合える」(39.7%)は10年前から2.8ポイントUPで3位に

一方で、
・「アットホーム」(37.3%)は過去最低
となっております。

良い人間関係を好みそうな新入社員の「アットホーム」が下がったので、人間関係軽視かと思いましたが、上位3つはより良い関係性の項目でもあります。

その上位に来た項目は、「お互いに」というような対等感を感じさせるものであり、
単純に「アットホームな雰囲気を与えてもらいたい」という受け身ではなく、互いの個性を尊重しながら対等にかかわりあうスタンスが見て取れます。

すなわち、今も昔も「良い関係性」は求められますが、
「良い関係性」というものが、「(与えられる)アットホームや活気」から「(加わった後の)対等な相互かかわりの関係」に変わったということです。

慶應義塾高校野球部の書籍や記事を見ても、「監督と選手の間に上下関係はない」という言葉が多く見られますが、ひとりひとりを尊重し、上下関係なく対等であるスタンスがキーポイントだと感じます。

NEWONEでは、エンゲージメント向上をはじめとした
人・組織の課題解決のヒントとなるセミナーを開催しています。

開催中のセミナーを見てみる

「置かれた場所で咲きなさい」は正しいのか?

「置かれた場所で咲きなさい」
(私含めた)昔の世代が言われてきたとして使われる言葉であり、配属先の場で自分なりに模索したら意味や価値がそのうち見えてくるよという意味で使われます。

一方で、多数の情報の中で、情報を選んで進んできている今の若手社員は、
「(合わなさそうならば)よりマッチする違う環境を探そう」
という発想になることが多いとも言われます。

それぞれは、モノや情報(選択肢)が少なかった時代と多かった時代であり、
それぞれ時代背景が違うので当然ではありますが、この2つはどちらかが良いというような二項対立なのものなのでしょうか。
第三の案は無いのでしょうか。

「昔は、置かれた環境でハードワークをしてきたおかげで成長してきた」
というような言葉は正しくはありますが、嚙み砕くと、”答えのわからない想定外で非合理な環境で試行錯誤したことで、自分なりの持論が身に付いた”というようなニュアンスの場合が多いです。
そこから言えることとしては、「置かれた環境」「ハードワーク」はあくまで手段であって、結果として「成長」や「自信」を得たということだと思います。

となると、「成長」や「自信」を得るには、「置かれた環境」「ハードワーク」が必須なのでしょうか。

慶應高校野球部「エンジョイ・ベースボール」の件でも、「長時間練習なし」という言葉が取り上げられていましたが、スポーツの世界でも、成長するために時間をただ投下するのではなく、最先端の手法を取り入れ、効率的に成長を促すことが重視されつつあると感じます。そこには”気楽に手を抜く”ようなニュアンスではなく、成長に対してストイックに取り組んでいる人も多いと感じます。

では、ビジネスに置き換えてみると、効率的に”成長”を促すためには何が大事でしょうか。

1つは、自ら考えること、特に意図を持つことです。

ただ言われた通りだけだと、成果にも成長にもつながらないアクションをしている場合もありますし、また、自ら意図をもって取り組まないと工夫が生まれなかったり、次につながらなかったりします。

前述の慶應義塾高校監督の書籍のタイトルも「Thinking Baseball」であり、中身でも、
・画一的な全体練習ではなく、課題に合わせたオーダーメード
・すべてのプレーに意図を持つ
・勉強と野球は「二択」ではなく、「二刀流」
・意図を聞く、目的を常に意識する

等、自ら考える機会について徹底して述べられています。

もう1つは、目的を捉えた上で、進め方に提案することです。

何を目指しているのか、何のために行っているのかを捉えた上で、自ら考え、より良い方法を提案することも成長の上で大事です。なぜならば、その過程で、高い視座での目的を意識しますし、自分の行うことに当事者意識をもって、工夫等ができるからです。

前述の慶應義塾高校のエピソードでも「監督、この練習は必要ないと思います」という形で取り上げられています。https://number.bunshun.jp/articles/-/858527

こういったプロセスを通じて、結果を出すことに向けて自ら主体的に取り組んでみる。
ちなみに、こういった行動を弊社では”エンゲージメントが高い”と表現しています。

「置かれた場所で咲きなさい」「よりマッチする違う環境を探そう」とは別の、
「(目的を捉え、自ら考え)より良い場になるように提案してみる」ことができる環境づくりが大事であると思います。

あたらしい、個人と組織の関係を

「エンジョイ・ベースボール」
言葉だけ聞くと、やさしくぬるい印象になるかもしれませんが、
実際は、「勝利を追求する」「より高いレベルの野球を楽しもう」であり、「慶應が優勝したら世の中が相当変わる」ということを目指しているとも言われています。

高い目的を皆で作りながら、対等な関係で、個性(強み)を活かし、自ら考えて主体的に取り組む

これらのプロセスは、これからの企業組織の中でも大事になってくるのではないでしょうか。

NEWONEは、これからの新人・若手社員の活躍を作るためにも
・新人や受け入れ側(先輩や上司)のマインドセット変革
・各オンボーディングプロセス時のデータや本音を収集した効果検証

といったサービスを展開しております。

本日は一部のみとなりましたが、
各種セミナーでも詳しく情報提供をしておりますので、これからの新しい新人・若手育成を作り上げる一助になればと思っております。