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【内製研修にも使える】研修会社のハウツー公開 受講者に内省を促す「問いかけ」の方法とは?

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内省の重要性と問いかけの役割

「内省」は、受講者にとって重要な学習プロセスです。 内省とは、自己の思考や感情、経験を客観的に振り返り、自分自身に対する発見や気づきを得ることを指します。できなかったことを「反省」するのではなく、自分自身にはどのような傾向があるのか、どのような物事の考え方をするのか等、内側を顧みて自己理解することを「内省」と呼びます。

研修の目的は何らかの行動変容を起こすことです。そして、NEWONEの研修メソッド 変わりたいと思う場をつくるでも触れたように、私たちは「認知的不協和」⇒「内省」⇒「捉えなおし」というステップを踏むことで行動変容を促します。研修というと、何か新しい知識を得る場・学習する場であると思われがちですが、新たな知識の獲得を通して狙いたい先は、自分自身を内省し、これまで気づいていなかった自分の考え方・捉え方の癖を発見することであり、これまでの見方とは少し違う角度から物事を捉えなおすことで、受講者の中に新しい解釈を生み出すことです。

深い内省をすればするほど、受講者は自己理解を深め、自己成長の機会を得ることができます。反対に、内省が進まず浅いところにとどまってしまうと、研修で学習したことが次の日には忘れ去られ、行動変容につながらなくなってしまいます。そして、受講者に内省を促すキーアクションとなるのが「問いかけ」です。人は問いを投げられると考えざるを得なくなります。つまり、受講者に深い内省を促す問いかけこそが、研修で理想とされる問いかけであると言えます。それでは、どんな問いかけが内省を促す問いかけなのでしょうか。

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問いかけの基本原則

内省を促す問いかけを考える前に、まずは研修で多用される「問いかけ」の外せない基本原則をお伝えします。

1. 問いかけの目的を明確にする

問いかけを行う際には、明確な目的を持つことが重要です。具体的な情報を得たいのか、相手の考え方や感情を探りたいのか、または深い内省を促進したいのかに応じて、問いかけのスタイルや質問の内容を調整する必要があります。目的なく問いかけをすると、受講者が混乱する可能性があります。

2. 具体的にしたいのか、抽象的にしたいのか

特に問いかけの目的を明確にする際は、問いかけによって具体的にしたいのか、抽象的にしたいのかを意図を持って設計することが重要です。

(例)
具体的にする問いかけ:「あなたがチームマネジメントで意識して実施していることは何ですか?」
抽象的にする問いかけ:「チームマネジメントにおいて重要だと思うことを3点にまとめると何ですか?」

同じようなことを聞いているようでも、具体化をさせる問いなのか、抽象的に持論をまとめるための問いなのかによって、答え方や内容が全然変わってくることが想像できると思います。ちなみに、研修において個人で時間を取り、問いに対する自分の考えや意見を明確にする個人ワークでは、具体的な事象で考えてもらうことが多く、グループで意見を対話する際には抽象度が高まりやすくなります。複数人で意見交換をすると、各々の意見の総和を取ろうとするため、どうしても”ふんわり”としたまとめ方になるためです。基本的には、抽象的な事象よりも具体的な事象の方が、受講者からすると生々しく、感情が揺さぶられるため内省に進みやすくなります。

これらは状況に応じて判断し、バランスを取ることが重要です。

3.受講者のレベルに合わせる重要性

問いかけを行う際には、受講者の思考特性や感情を想定し、レベルを合わせてチューニングすることも大切です。相手が具体的な情報を求めている場合に、抽象的な問いかけをすると混乱を招くことがありますし、逆に深い内省を促したい場面であいまいな問いかけをすると内省が深まりきらない場になるかもしれません。内省に慣れていない受講者が多い場合に、繰り返し抽象度の高い問いかけをしても、相手に刺さらず行動変容が起きにくいということがあるので、思考レベルを踏まえた設計をすることが重要です。

それでは、ここからいよいよ内省を促す問いかけを具体的に解説していきたいと思います。

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研修で必要とされる2種類の「問いかけ」

先の図のように、研修内で内省を促すために使われる「問いかけ」には大きく分けて2種類あります。

①認知的不協和を促す問いかけ

1つ目は、受講者の認知に揺さぶりをかけて不協和(ギャップ)を生み出す問いかけです。

例えば「本来あるべき姿」と「実際の自分」の不協和、「自分が思っている自分」と「他者から見た時の自分」の不協和、「できていると思っている自分」と「そうでない自分」の不協和を生み出し、

受講者自身の心にモヤモヤや葛藤を生み出すことで、深い内省へと誘います。

よく使われるのが、以下のような問いかけです。

  • あるべき姿は何ですか?
  • それに対して現状の自分は何点ですか?
  • 加点理由と減点理由は何でしょうか?

ここでの「問いかけ」のポイントは、視点を変えて徹底的に自己客観視をさせるということです。

内省というのは、自分自身をメタ認知し自分の思考プロセスそのものを振り返ることであると言えるので、視点を変えて俯瞰をさせることが重要です。

メタ認知…自分が物事を認知している状態を客観的に認知している状態。現在自分自身が行っている行動や思考そのものを認知の対象として、自分自身を客観的に認識する能力をメタ認知能力と呼ぶ。
引用:https://www.ashita-team.com/jinji-online/business/8761

そのため、以下のように視点を切り替える問いかけを活用していくことが有効です。

  • このままの状態が続くと、将来どうなりますか?(「未来」への視点の切り替え)
  • 部下がこの議論を見ていたら、どう思うと思いますか?(「主語」の視点の切り替え)
  • 理想の自分と、現状の自分の違いは何ですか?(「理想」への視点の切り替え)

また、問いかけは重ねていくことでより不協和を生み出しやすくなります。

例えば研修の冒頭に、受講者の方にいくつか問いかけをし、教室内の立ち位置で自分自身の回答を
表明する「スタンディングアンケート」というワークがあります。OJT研修であれば、

「あなたは新人育成に対するモチベーションが高いか?」「育成をすることに自信があるか?」といった問いかけを重ねていきます。その際、最初は答えやすい(葛藤が生じにくい)問いかけをしていき、だんだんと内省を促す(回答するのに葛藤が生じる)問いかけを重ねていくことがポイントです。

(例)

①新人育成に対するモチベーションが高い (やる気はそれなりにあるかな)
②新人を育てることに自信がある (聞かれると困るけど、なんとなくイメージはあるなぁ)
③新人は、自分が新人の時よりも成長している(えっ、自分が新人の時と比べて?そもそも考えてなかったな)
④新人は、あなたがOJTトレーナーで嬉しく思っている(うーん、答えづらい、自信ないかも)

②捉えなおしを促す問いかけ

2つ目の問いかけは、捉えなおしを促す問いかけです。捉えなおしとは、これまでの見方とは少し違う角度から物事を見つめ直させることで、受講者の中に新しい解釈を生み出すことです。深い内省をすると、受講者としてはモヤモヤ状態に包まれます。そのモヤモヤ状態を、どう現実の実生活に活かしていくのか、言葉にならない気づきや感情の揺れを、どう処理して自分のものにしていくのかを支える問いかけと言えます。NEWONEの研修メソッド 変わりたいと思う場をつくるでお伝えした通り、
捉えなおしには①手ごたえ、②メリット、③心理的ブレーキの3パターンがあります。

①手ごたえ

学んだことで自分自身にとってどんな成長実感や変化が感じられたか?

それをどう職場での行動に活かせそうか? を問う

②メリット

学んだことが自分自身にとって、どんな意義(意味)やメリットがありそうか?を問う

③心理的ブレーキ

新しい行動を起こそうとするうえでの障壁になりそうなものは何か?

その障壁をどうやったら取り除けるか?を問う

これらの問いかけを、行動計画を立てる前の段階に入れることで、受講者自身が本当に納得し、腹落ちして行動実践に踏み出すことができるようにします。

この「認知的不協和」を促す問いかけと、「捉えなおし」を促す問いかけを組み合わせることで、

受講者に深い内省を促し、かつそれを次の行動実践へとつなげることができます。

私たちはつい受講者に正解を教えたくなってしまいますが、”教える”のではなく”気づかせる”ためには、問いかけを行い、最後は受講者自身が解を導くことにゆだねることが重要です。

結局 良い「問いかけ」とは何なのか?

結局、良い「問いかけ」とは何なのでしょうか?それは「違い」を生み出す問いかけです。深い内省は、一人で行うことは難しい場合があります。他の人との対話や他者の考え方の違いを通じて、自己理解を深めることができます。そのため、他者との違いをより明確にする問いかけが、深い内省を促す質の高い問いかけと言えるのです。

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