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被評価者研修の必要性が近年叫ばれているワケ

被評価者研修の必要性が近年叫ばれているワケ

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著者

近藤 悠生

著者

近藤 悠生

大学院卒業後、中小企業の組織開発コンサルティングに従事したのち、M&Aの仲介事業で老舗企業を支援。2019年にNEWONEに参画し、組織開発・人材育成のためのワークショップ開発や育成体系の構築支援に従事。近年は従業員の主体的・自律的キャリア形成と、組織内でのキャリア形成の両立を中心テーマとして支援している。

NEWONEでは、あらゆる企業のご希望やお悩みにあわせた
多種多様な研修を取り扱っております。

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近年、多くの企業でジョブ型の人事制度への移行が進む中で、評価制度の見直しが進んでいます。それに伴い、評価される側である「被評価者」の理解と役割がますます重要視されています。従来、評価制度の成功は主に評価者のスキルに依存していましたが、最近では「被評価者の理解が不足していると、評価制度が機能しにくい」という課題が浮上しています。

評価される側の理解不足は、組織全体の評価の透明性や公正性に悪影響を与えるだけでなく、従業員の成長やモチベーションにもネガティブな影響を及ぼす可能性があります。

特に、ジョブ型雇用に移行する企業が増える中で、評価基準が年功序列型から成果主義型、さらには行動評価型(コンピテンシーやジョブディスクリプションに基づく評価)に移行しています。従業員もこの新しい評価基準を理解する必要がありますが、変化に適応するのはそう容易な話ではないと感じています。

あるお客様とこの半年間取り組んできた管理職主導型の組織開発ワークショップでは、「管理職の負担が増加している一方で、メンバー側にも何らかの人事的施策を導入すべきではないか」という建設的な意見が出されました。

従業員が評価制度に積極的に関与し、目標設定や成長を自ら考えることが求められている現状を、実務者として強く感じています。

現代の職場において、評価者が従業員一人ひとりに対して詳細に目標設定をサポートする時代は終わりつつあります。今では、従業員自身が事業や部署の使命、目標を理解し、その達成に向けた計画を自ら考え、評価者と一緒に方向性を確認することが重要です。

また、適切な評価を受けるためには、評価基準を理解し、論理的な思考力を養うことが不可欠です。これらのスキルは、従業員の成長に直結し、結果的に企業全体のパフォーマンス向上にも寄与します。

少しスポーツの世界の話になりますが、メジャーリーガーの大谷翔平選手が高校時代に作成した「マンダラチャート」は、目標達成に必要な要素や行動を整理し、可視化する優れた手法として注目されました。このチャートでは、目標を中心に据え、その達成に必要な具体的な行動や姿勢を周囲に記載することで、目標達成の基準を明確にし、自己成長のプロセスを可視化しました。このような自己管理の姿勢が、コーチや周囲とのコミュニケーションをスムーズにし、支援を得やすくしました。

同様に、評価者と被評価者の関係も、単なる評価・被評価の関係を超えたパートナーシップが求められます。目標達成や成長は一人では成し得ないため、評価者が適切な支援を提供し、被評価者がその支援を効果的に活用することで、双方にとって有益な関係を築くことができます。

このような背景から、被評価者に対する教育や研修の重要性がますます高まっていると感じています。

評価制度における被評価者の役割を正しく理解し、適切に行動できるようになることで、組織全体の一体感が高まり、評価者と被評価者の信頼関係も強化されます。

その中で特に注目されるのが「被評価者研修」です。

一般的なロジカルシンキング研修や目標設定研修だけでは、被評価者が自らの成長や評価に責任を持つ意識を十分に育むことが難しい場合があります。

しかし、「被評価者研修」として明確に位置づけることで、従業員が自己評価能力を高め、評価制度をより深く理解する機会を提供することができます。

これらの思考プロセスを通じて、従業員は評価される側としての役割を理解し、適切な目標設定やフィードバックを通じて自己成長を促す仕組みを構築できます。

企業にとっても、被評価者の意識改革と周囲への働きかけは、チームや部署、ひいては会社全体の生産性向上に大きく寄与する要素となるでしょう。