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はじめに
現代社会は、VUCAと呼ばれる不確実性の高い時代と言われています。
こうした状況下において、企業は個々のキャリア自律を推進し、自律し、変化に柔軟に対応できる人材育成が求められています。
一方、将来のキャリアプランを描くことに困難を感じている若手が多いという声も良く耳にする話です。
そこで、ここでは、若手がキャリアプランを描きやすくするための問いかけの工夫をご提案いたします。
※参考文献:小林さとる著. (2023). キャリア迷子-自分らしく働けない人のための「生き方提案」.
目標設定の難しさ
従来、キャリアプランを描く際には、「5年後どうなりたいか」という目標設定が重視されてきました。
これは、一つの組織の中でいかに昇格していくかがキャリアの成功であった時代背景から生まれた問いであったと考えます。決まったポジションに向かって、長期的に目標設定を行い、達成を目指すことが豊かなキャリアを描く成功パターンだったのかもしれません。
しかし、VUCA時代において、将来の職業や社会環境を正確に予測することは困難であり、一生懸命時間を費やし目指したことが、達成目前でなくなってしまう、ということもあり得ます。そんな中、「なりたい姿」を明確に設定することは、ある意味ギャンブルのような要素も孕み、不安を伴うものです。
長期的な目標設定と、それに向かって逆算的に達成していくことはとても理想的ではありますが、誰にでもできるものでもありません。
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価値観を言語化する
「どうなりたいか」という目標設定の仕方に代わるものとして、ここでは「どうありたいか」という問いかけを提案します。これは、将来の具体的な目標よりも、自分が大切にしたい価値観に基づいて、どのような人になりたいかを問いかけるものです。
価値観とは、個々人が物事に対する判断基準であり、何が好きで何が嫌いか、どんなことに興味を持ち、興味を持たないかを決定しています。人はそれぞれの価値観に基づいて行動していますが、自身の価値観を明確に認識している人は多くありません。
自身の価値観を明確にするためには、過去の経験を振り返ることが有効です。自分がどのような場面で喜びや充実感を感じたのか、どのようなことに憤りを感じたのかを分析することで、自身の価値観が見えてきます。
以下は、価値観を整理するための質問例です。
・これまでの人生で、最も誇らしいと感じたことは?
・これまでの人生で、最も後悔していることは?
・自分が最も集中できる瞬間は?
・自分が最もイライラする瞬間は?
・誰といる時、自分らしさを発揮できる?
これらの質問に対する答えをじっくりと考えることで、自身の価値観を言語化することができます。
「どうありたいか」から「どうなりたいか」を考える
自身の価値観が明確になれば、「どうなりたいか」という目標設定も容易になります。
例えば、「人の役に立つ仕事がしたい」という価値観を持つ人であれば、社会貢献性の高い仕事や、人の成長を支援する仕事などが考えられます。
このように、「どうありたいか」という問いかけは、「どうなりたいか」という目標設定の土台となります。
まとめ
VUCA時代において、若手のキャリア自律を促進するには、「どうなりたいか」ではなく、「どうありたいか」という問いかけが有効と考えます。
若手のキャリア自律を推進したい企業にとって、「どうなりたいか」ではなく、まずは「どうありたいか」を問いかけ、若手社員が自身の価値観を明確化し、自分らしいキャリアプランを描けるよう支援することが重要と考えます。