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ダイバーシティマネジメントとは?必要性と実践のポイント

ダイバーシティマネジメントとは?必要性と実践のポイント

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著者

青木 美奈

著者

青木 美奈

株式会社NEWONEに新卒入社。研修をメインとして、人材育成・組織開発のHRパートナーとして従事。新入社員・若手から管理職まで幅広い階層の研修設計を支援。特に女性活躍、ダイバーシティ推進に注力している。社内では、メソッド記事の作成を推進している。

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多種多様な研修を取り扱っております。

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近年、コロナ禍を契機に社会環境が急激に変化し、柔軟で多様な働き方が主流となりました。この変革に伴い、働く人々の多様性が増す中、効果的なマネジメントがより重要となっています。ここで注目されるのは、ダイバーシティマネジメントの概念です。

本記事では、ダイバーシティマネジメントがなぜ必要なのか、そしてその成功に向けた実践のポイントを、西村直哉氏著、「成果・イノベーションを創出するダイバーシティマネジメント大全」からご紹介いたします。

ダイバーシティマネジメントが着目されるようになった社会的背景

コロナ禍をきっかけに、リモートワークを導入する企業が増えるなど、人々の働き方は加速度的に変化しています。それに伴い、組織・マネジメントのあり方も変化してきています。

ダイバーシティマネジメント大全によると、『組織は「 均一的 な社員が同じ時間に同じ場所で働く組織」から「さまざまな 垣根を超えた人材が集まり、それぞれの強みを発揮して働く組織」に変わっていく』と言われています。

同じオフィスで勤務し、9時から17時の同じ時間に同じ空間で働く働き方から、時間や場所の拘束がない自由な働き方が選択できるようになってきたため、これまで以上に多様な属性の人々が働けるようになりました。例えば、育児・介護と両立する社員、グローバル社員、シニア社員、傷病治療との両立をする社員等、働く人の中に多様性が生まれてきました。

一緒に働くメンバーがますます多様化していくことが予測される中、ダイバーシティマネジメントがこれまで以上に着目されています。

NEWONEでは、エンゲージメント向上をはじめとした
人・組織の課題解決のヒントとなるセミナーを開催しています。

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多様な人材を活かす必要性

1. 人材確保の面

働く人の属性や働き方が多様化してきた現代において、これまでと同様の「同じ空間・時間で働く、同質性の高い人材」を前提とした画一的なマネジメントでは、労働人口の減少に対応することが困難になっていきます。人材、働き方が多様化してきていることを念頭に置き、これまでのマネジメントを見直す必要性が大きくなってきています。

これまでなかなか活躍の場が少なかった多様な人材の力を引き出すマネジメントをすることで、組織全体の生産性向上につながります。

例えば、9時から17時の固定の時間で勤務することに難しさを感じていた介護中の方が、柔軟な働き方ができるようになり、その方が働ける最大限の時間とエネルギーを引き出すことにつながり、自職場の人手不足解消につながります。

2. イノベーションを起こす面

新しいアイデアや視点は、多様性から生まれます。イノベーションとは、従来から存在していたものを、新しいアイデアを用いて組み合わせたり、これまでと異なる視点から見ることによって生まれます。そこで、異なるバックグラウンドや経験を持つ人材が組織内で活躍することで、イノベーションが促進されます。

例えば、あるマンション設計の現場で、これまで男性社員が中心となってマンションを設計していたところに、女性社員の視点が入ると、「靴箱の高さを変更できる仕様に変更したらどうか」というアイデアが生まれました。これはロングブーツ等、高さがある種類の靴を履くことがある女性ならではの視点であり、男性社員中心で設計をしている際には、なかなか気が付くことが難しく、新しいアイデアの誕生だと言えます。

ダイバーシティマネジメントのポイント

ダイバーシティマネジメントの重要性をここまで見てきた通り、ダイバーシティマネジメントに転換していくことが社会的背景等から求められています。そこで、実践する際のポイントを2つご紹介します。

1. 成果で評価する

働いた時間に対してではなく、成果に焦点を当て、成果に基づいた公正な評価を行うことが重要です。

これまでのマネジメントでは、遅い時間まで会社に残る等、組織に貢献する時間が長く、労力が大きければ大きいほど、その人の頑張りが見えやすく、評価されやすい傾向にありました。しかし、今後見ていくべきは、時間あたりに出した成果の大きさです。働き方、働く場所、時間が多様化してきている現在、メンバーが業務時間に「どれほど頑張っているか」を直接見て、評価することは難しくなってきています。

また、仕事の価値は、そこに投下された時間や労力ではなく、アウトプットである成果で本来測られるべきです。時間あたりの成果で評価されるようになれば、時間的に制約があり、残業ができない、短時間で働く人も、成果を出していればしっかりと評価されるようになり、1人ひとりが生産性高く働くことを目指すきっかけにもなるのです。

2. 違いに着目する

多様性を考える際、ついつい「〇〇さんは女性だから感情的である」「〇〇さんはシニアだから、重労働は任せられない」「〇〇さんは日本以外にバックグラウンドを持つから、日本文化はわからない」等、その人の属性を見て、その人らしさをラベリングしてしまいます。しかし、その人が持つ属性で判断するのではなく、1人ひとりの個性や違いに着目し、その人らしさを活かしていくことが重要です。

誰ひとりとして同じ人間はおらず、1人ひとりの個性や違いといった多様性を持っています。その違いに着目し、違いを最大限活かすことがダイバーシティマネジメントなのです。

違いに着目する方法として、対話があります。対話は、お互いの違いを活かすために、相互理解を深める手段の1つとして効果的です。

ついつい業務連絡のみのコミュニケーションになってしまっていたり、相互理解の時間をわざわざ取ることが難しかったりする組織も少なくないかもしれません。しかし、多様な人々が働く組織においては、対話を通して自分と相手の違いを認め合うことが重要です。違いを排除するのではなく、受容し、活かしあう意識を持ち、対話の機会を増やしてみることがダイバーシティマネジメントの第一歩です。

ダイバーシティマネジメントは、変化する社会環境に適応するための重要な手段と言えます。時間あたりの成果に基づいた公正な評価や、1人ひとりの違いを活かしたマネジメントを実現することで、自組織で働く人のエンゲージメントを高めていくことにつながります。