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現代の転職市場が活発になる中、離職率の上昇は多くの企業にとって深刻な問題となっています。
離職者に対する理解が難しく、その背後にある課題や原因が不透明であることは、人事担当者にとって日常的な悩みとなっています。
本コラムでは、転職を検討する社員が転職意向を固めるまでのプロセスを解説し、特に「不満の変わらなさ」が転職に繋がるメカニズムに焦点を当て、対処法について考えます。
転職の意向を固めるプロセスとは?
転職意向の背後にあるプロセスを考える上で、中原淳氏の『転職学』に基づき、多くの転職希望者が直面する不満要因を明らかにします。
代表的な不満要因としては、上司からのハラスメントや態度の高圧性、組織全体の雰囲気の悪さなどが挙げられますが、これらの不満が転職に直結するわけではありません。不満の中には改善可能なものとそうでないものがあり、多くの社員は「アクションを起こしても不満が変わらない」と感じていると、不満による転職につながります。
これは、人が抵抗や回避できないストレスに直面すると、「何をやっても無意味」だと感じる「学習性無力感」に陥る傾向があるためです。転職意向を固める要因は、「将来的にも不満が解消されない」という認識に基づいています。
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“不満の変わらなさ”を解消するには?
それでは、なぜ「不満が変わりそうにない」と感じてしまうのでしょうか。
今回は人間関係に焦点を当てていきます。
先述した「転職に繋がりやすい不満」の上位10位のうち実は7つは人間関係であることからも、転職の要因として人間関係の問題は大きいと考えられます。特に「上司の変わらなさ」は、転職を考えるうえで大きな要因となっており、上司に変化を望んでも「言っても無駄」と感じることが多いようです。
この感覚を醸成しているのは、「生存者バイアス」であり、これが部下にとっての「不満の変わらなさ」の感覚を助長しています。「生存者バイアス」とは、「自分はこう育ってきたからこれが正しい」という、長年働き続けて経験やノウハウを蓄積してきたからこそ生まれてしまう上司の固定概念であり、このバイアスによって「自分が正しい」という前提に立ったマネジメントが発生します。
このようなバイアスに基づく、正当性の根拠のない上下関係やマネジメントにより、部下は改善の試みが無駄であると感じやすくなります。当たり前に感じている組織文化や習慣が、社員の「不満の変わらなさ」を助長していないかを検討すべきです。
まずは自社の不満を「解消される不満」と「解消されない不満」に分類し、上司と部下の関係性やマネジメントにおいて「不満は変わらない」と感じさせていないかを確認することが重要です。
今後はますます転職が一般的な選択となっていく中で、組織に対する諦めから起こる転職を減らすことが求められるのではないでしょうか。転職市場の拡大とともに、企業は社員の不満に対して積極的なアクションを起こすことが不可欠です。上司の変化や組織文化の見直しは、不満の変わらなさを解消する大きな手段となります。
企業は転職を防ぐために、従業員の声に真摯に耳を傾け、持続的な改善を行うことで、組織全体の健康状態を向上させることができるでしょう。