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【リアルな現場から生解説】1年先の予定が埋まるファシリテーターとはどのようなファシリテーターなのか?

【リアルな現場から生解説】1年先の予定が埋まるファシリテーターとはどのようなファシリテーターなのか?

<a href=葛西 健一郎" width="104" height="104">

大学卒業後、大手印刷広告会社へ入社。最年少で昇格し 2008年、株式会社シェイクに転職。営業統括部長に就任してからは、3年連続目標達成へ導き、その後管理部門長として会社の経営にも携わる。2018年、株式会社NEWONE取締役に就任。営業統括として生産性向上・働き方改革などの支援を行っている。
またファシリテーターチームの責任者も兼任しており、多くのファシリテーターの採用、育成を行っている。自身としても大手専門商社、大手メーカー各社など、業種業界問わず登壇経験があり、内定者から経営層まで幅広く研修やワークショップで登壇をしている。

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多種多様な研修を取り扱っております。

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研修を進行する際に、必要になるファシリテーター。

自社に合うファシリテーターを選定する上でどのようなことを意識されていますか。今回はファシリテーターの役割やファシリテーターに必要になるスキルについて、世の中一般的に出ている抽象論ではなく、リアルな研修を実施している研修会社の目線と、100名を超えるファシリテーターを採用、育成しているプロの目線の両方から「現場のリアル」をご紹介します。「現場のリアル」を大事にしながら記載をさせていただきます。

ファシリテーターの役割と定義合わせ

今回はファシリテーターの選定ポイントを中心にご紹介しますので、役割や定義については簡単に確認します。

ファシリテーターには、伴走者であり支援者、受講者の前向きな学習意欲を引き出し、受講者同士が互いに学びあえる環境を「極力短い時間で」作ることが求められます。定義はこの程度にとどめさせていただきますが、ファシリテーターの背景にある思想や哲学は「受講者の可能性は無限であり、受講者の課題は必ず解決できる力を保有している」というスタンスが持てているかが重要なポイントとなっています。以下に具体的な違いについて記載して参ります。

1年先の予定が埋まる、スーパーファシリテーターと一般的なファシリテーターの違いとは何なのか?

世の中に出回っているファシリテーターの指南書やファシリテーション能力を高めるための研修は「良いファシリテーター」に必要なことや、必要なスキルについてしか書かれておらず、一般的なファシリテーターが、本当はどこに躓いているのかが言語化されていません。ファシリテーションやコミュニケーションスキル全般は、「分かっているものが実践できないこと」が最大のラーニングポイントでなければならず、結局は机上の空論にしかなりません。よって、これ以降はスーパーファシリテーターと一般的なファシリテーターの違いにフォーカスしながら、違いを明確化し、ファシリテーター選定の参考にしていただきたいと思います。

「違い」その1:関係構築能力の差

言葉の意味を知っているかどうか?ではなく、実践できるかが重要です。タイトルを見て、知っている、分かっていると頷く方は多く存在しますが、1対Nの状況で、短時間で受講者のやる気を引き出し、研修の目的やゴールに自ら「到達したい」と思わせるには、この能力が必要になります。一般的なファシリテーターも、もちろんこのことを理解していますが、どのように違いが出るのでしょうか?

一般的なファシリテーターは受講者を承認して、前向きな空気を作ろうと、多くの承認をします。しかし発表した「内容」について承認をしているにとどまる傾向があります。この構図はファシリテーターが上、受講者が下の構図を無意識に作っており、受講者が本質的に前向きな姿勢にはなりません。実は優れたファシリテーターは、受講者の発表した内容ではなく、発表したことそのものを承認しています。なぜそうするのか?それは主体的に学んでいる姿をキャッチして全体に発信し「他の受講者も自分もそうしたい」と思ってもらうためです。

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「違い」その2:内省を促す力の差

研修を実施する目的は、職場で行動を起こすことにあります。よって研修では自身を客観的に内省し、不足感を醸成できるかが「鍵」になります。この内省を促すための問いかけの差がファシリテーターの力量を決めるといっても過言ではありません。「上手に説明する」「わかりやすく話す」などは言ってみれば誰にでもできることで、これらはファシリテーターの役割を全うしてないと理解していただいて構わないと思います。

問いを立てるには一般的に認知的不協和を研修で何回、どれくらい深く起こせるかが何より重要です。

一般的なファシリテーターは認知的不協和を起こそうとしても、意図せず高圧的になってしまったり、受講者にストレスがかかることを恐れ、受講者に踏みこむことができず、浅い問いかけで終えてしまったりします。これらは、よっぽど前向きな人以外は内省が起きません。

優れたファシリテーターの内省へのプロセスは、「違い1」で記載した内容が体現されており、気持ちの良い関係性が築けた状態で、内省を促す問い、を出しています。また「配慮はあるが遠慮はしない」のも特徴の一つです。承認を行ったうえで、率直に他社と比べて不足している点をフィードバックし、そこについて内省を促していきます。人に対峙する力が強いとも言い換えることができると思います。

「違い」その3:「取り組む納得感」と受講者の「取り組みたい」を生むワークガイドの差

本テーマに入る前に、皆様に考えていただきたいことは、人の指示に従い続ける時間を楽しいと思えますか?前向きになれますか?という問いです。

研修では、受講者の皆様にいくつものワークに取り組んでいただきますが、ワークのガイドを出すのもファシリテーターの役割です。このワークガイドも大きな差が出るポイントです。一般的なファシリテーターの特徴は、「丁寧な言葉で指示を出しているだけ」にとどまるので、結果としてやらされ感が徐々に積み重なって、受講者の「研修」や「ファシリテーター」とのエンゲージメントが下がっていく構図になります。「人は自分が決めたことしか、前向きに行動しない」の原則の通りです。

優れたファシリテーターは、ワークガイドのたびに、都度ワークに取り組む受講者にとっての意味、目的を伝えて「つなげて」います。それは受講者本人の意味(キャリアや今の不安を脱却するため)の場合もありますし、組織的な意味(会社の方針やパーパス)と繋げることもあります。受講者のコンテキストに合わせ、一番納得する箇所はどこなのかを常に探っている方々です。

まとめ

優れたファシリテーターは戦略的であり、受講者の皆様をよく観察しています。意図をもってこの違いを起こしている方が優れたファシリテーターと言えると思います。よって、ファシリテーターを見る際、受講者とファシリテーターの関係構築、問いかけの品質、ワークガイドの出し方、などを見ると、良いファシリテーターを選定するヒントになるかもしません。次回は具体的に必要になるスキルについてご紹介します。