NEWONEでは、あらゆる企業のご希望やお悩みにあわせた
多種多様な研修を取り扱っております。
目次
キャリア自律の重要性が強調され、キャリア研修を導入される企業様も増えているのではないでしょうか。そこで今回は、キャリア研修の中で、「Willやありたい姿って本当に扱う必要性あるの?」というよくある人事様のお悩みについて、お答えしていきます。
(※本内容は、2024年4月26日実施セミナー「“キャリアのありたい姿”どう定義する?キャリア研修における「価値観」と「ポジション」の関係性を考える」の内容をまとめたものです)
キャリア研修におけるありたい姿とは
キャリアを考える枠組みとして、Will(自分の意志や価値観)、Can(強みやできること)、Must(自分に対する周囲からの期待や果たさなければならない役割)のフレームワークがあります。
Will、Can、Mustのフレームをベースとしたキャリアの考え方として、キャリアアンカー、キャリアサバイバルの2つがあります。
キャリアアンカーは、本当に大切にしたい能力や欲求、価値を明確にし、自分自身のモチベーションの源泉となるものを探っていく考え方で、Willが比較的強く出ます。
キャリアサバイバルは、変化する環境の中で求められる能力や必要となるスキルや価値観を身につけていく考え方で、Can、Mustが比較的強く出ます。
どちらも、目指す将来のありたい姿に向けて歩み続けるプロセスである点は共通していますが、その歩み方には2通りのパターンがある、ということです。
多くのキャリア研修では過去から現在、未来のありたい姿を考えていく大枠の構成は共通しており、その中でキャリアアンカーを重視するか、キャリアサバイバルを重視するのか、といった強弱の付け方は各社様それぞれかと思います。
キャリアの「ありたい姿」にまつわる罠
ここからは、キャリア研修において、よくある4つの思い込みを取り上げながら、キャリアの「ありたい姿」にまつわる罠について考えていきたいと思います。
①1回のキャリア研修でありたい姿を言語化するのは難しい
近頃、Willハラという言葉が登場する等、ありたい姿について問うことが難しくなってきました。キャリアには、山登り型、川下り型の2つのアプローチがあり、どちらが良い悪いではなく、流動的に自分のキャリアのとらえ方が変わることもあります。特に現代のような変化の激しい環境の中、自分で意志を持って柔軟に環境を活用しながら川下りをしていく人も多くなってきています。
そんな時に、「君はどうなりたい?どうしたい?」と山登り型の聞き方ばかりしてしまうと、聞かれた側は目指す目標を定めておらず、しんどさを感じてしまうことがあります。
とはいえ、ありたい姿や意向を全く持たずに働くことで、自分の目標が見えず、迷子になってしまう可能性もあります。そこで、研修の中では、なんとなく、でありたい姿を仮置きしてみる、複数のキャリアプランを作ってみてもらう、等、山登り型のキャリア設計のトレーニングをすることで、自分の目指したい道しるべを考えるアンテナを立ててみることが効果的です。1回のキャリア研修でありたい姿を決めきる、のではなく、考えるきっかけとしてキャリア研修を位置付けることもオススメです。
②ありたい姿と日常を接続する
イマドキの若手世代は、不満があるのではなく、なんとなく不安だから辞める、という不安型離職が増えています。不安の要因の一つとして、ありたい姿は大きくて華々しいものでなければならない、何者かにならねばならない、という感覚から、ありたい姿を描くハードルが高くなっていることがあります。
そもそも若手層にありたい姿を描かせること自体、難しさがあるという前提に立つことが必要です。
子どもに将来どんな職業につきたいか、と問われても何が自分に向いているか分からないのと同じように、自己理解が深まっていない、自分のキャリアの選択肢の視野が十分に広がっていない段階でありたい姿を問うこと自体不合理性があるため、いいからやってみよう!というのも一理あります。
とはいえ、イマドキの子は 3年持たずに辞めてしまう、という声も聞こえてきます。そこで、自己認知を高め、この仕事から自分が得ているものを自覚させてあげるかかわりが重要です。
具体的には、本人の意向を分解して、仕事とつなげていくことがポイントです。なぜこの仕事をするのか、本人の意向と紐づける一言を追加し、WHYを作って渡してあげることで、目の前の仕事の意味づけがしやすくなり、本人の意向と日常の仕事を接続させることにつながります。
③全ての価値観を満たすことはできない、という前提を持つ
全ての価値観を同時に満たすことはできない、という前提に立ち、自分の価値観を明確にしたうえで、今自分が大切にしている、満たそうとしている価値観を認知することが重要です。
自分には様々な価値観があり、この価値観を満たすことが正解、というものはありません。
キャリア自律をするうえで、自分で決めている感覚(自己決定感)を持つことが心理的成功につながります。
「今」「この時間で」「この経験で」何を満たしているのか、何を満たしていきたいのか、を自分で考え、自己決定することが大切です。
④ポジションの解像度を高める
「この部署に行きたい!なので、希望が叶わなかったら辞めます!」
こういった発言は、各社様で起こりうることかと思います。
このような発言に、どのように対応したら良いでしょうか。
キャリア、キャリアの意向という言葉には、キャリアビジョン型、キャリアアンカー型どちらの意味も含まれている場合があります。どちらのキャリア意向の持ち方でも良いのですが、意外とキャリアビジョン型の中にもキャリアアンカーが隠れていることもあります。
なぜそのポジションにつきたいのか?を解釈して、本人と上司等で対話をすることによって、〇〇のポジションに行ってみたい、という想いのベースにあることの解像度を高めていくことが重要です。本人の意向の解像度を高めることで、上司は本人のキャリア意向と仕事を結び付けやすくなります。本人にとっても、自分が何を満たしたいか分からないまま希望のポジションについても、自分が求めているポイントを自認できず、満足度が上がりにくくなってしまいます。そのため、意向がある人に対しては、その解像度を高めていくことが効果的です。
とはいえ、意向を出してもしょうがない、安定を求めて働いている、今さら昇進とかもないし…等々、価値観や意志、意向を問われても、出てこない人に対してはどのようにアプローチするのが良いのでしょうか。
意向がなかなか出てこない部下とは、以下のように接する方法があります。
①まずは、相手から出てくることを「待つ」こと 言語化が苦手な人もいる。特に面談での沈黙は怖いけれど、まずは待つ ②出てこなかったら、面談の場自体を仕切りなおす 時間を与えて「次また話そう」と再設定する ③面談前に、普段から、「意向」について聞いておくこと そのタイミングで聞くから出てこない。普段から、思考の種をつくる ④ひょっとしたら、本人にも見えてないだけかも? お手本になりそうな人物や要素を示し、モデルから少し浮き彫りにさせる ⑤それでも出ない人は…しょうがない。そういう人もいる ないものを強要せず、本人の強みを生かし、 エンゲージメントを高めさせたり、CanやMustにつなげさせる |
意向が出やすい人には解像度を高めるかかわりを、意向が出にくい人には、本人が意向を考えやすい環境を整える等の工夫をしながらかかわることが重要です。
NEWONEでは、エンゲージメント向上をはじめとした
人・組織の課題解決のヒントとなるセミナーを開催しています。
セミナーアンケート(一部抜粋)
・キャリアデザイン研修を検討する上で、非常に勉強になりました。やりたいこと・ありたい姿からキャリアをデザインする研修の行き止まり感(そのあとどうするねん感)を感じていたので、課題解決に繋がりそうです。
・「キャリア研修をやっても変わらないんじゃないの?」というこれまでの他社の事例を出していただき参考になりました。チャットでリアルタイムで回答いただけ双方向のやり取りができるセミナーで能動的に参加ができました。
・捉え方を変えさせるとか、どうしてそれがやりたいのか掘り下げることが大事であることが再認識できた。また、普段接している上司がどう対話できるかが極めて重要と感じた。
・キャリア研修のモヤモヤが随分晴れた気がします。ありがとうございました。
・Willハラ。川下り・川登りのバランス。定期的な内省の重要性。
登壇者の声
キャリア研修における「ありたい姿」を扱う機会は数多くありましたが、実態としてそれ通りにキャリアを歩めた人はごくわずかであること、また希望通りだったとして前向きに働いているとは限らない、という経験から、「ありたい姿の必要性」について考えてきました。改めて思うこととしては、ありたい姿の明確さや、想いの強さによってエンゲージメントが高まりますし、ありたい姿を描くことで日々の仕事の意味づけにもつながるため、やはり描く方が良いが、その「描き方」にコツがいる、ということ。ありたい姿を描くハードルを下げて、まずは描いてみること。そのうえで、自分の状況に合わせてありたい姿を柔軟に描き直してみる、そしてそれを支援するためにキャリア研修や上司との1on1等の機会を活用すること。それがキャリア開発の鍵となると考えています。
まとめ
キャリアについて考えようと思うと、自分の「ありたい姿」を探すことが多くあるかと思います。「ありたい姿」に対する思い込みを解きながら、自分なりの「ありたい姿」を見つけるために、キャリア研修等の機会を用いて、一歩立ち止まって考えてみることが必要です。
キャリア開発の他社事例はこちら