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現在、多くの企業が組織風土の変革に取り組んでいます。カルチャーは、企業が何を優先し、どのような意思決定を行い、どのような戦略を立てるかを考える際の指針となる羅針盤のような存在です。
会社のトップやリーダーに代わって、目に見えないところで働くカルチャーは、意思決定を統一し、生産性を高めるだけでなく、採用ブランディングにも大きな影響を与えます。ここでは、唐沢俊輔著『カルチャーモデル 最高の組織文化のつくり方』を参考に、カルチャーモデルの棚卸のフレームワークについてご紹介します。
カルチャーモデルは次の7要素で棚卸できます。
- Stance(スタンス):組織としてのあり方
- Shared Value(シェアドバリュー):行動指針
- Structure(ストラクチャー):組織の構造・形態
- System(システム):制度
- Staff(スタッフ):人の採用や育成
- Skill(スキル):組織としてのスキル、強み
- Style(スタイル):組織風土
特にStance(スタンス)は、経営のリーダーシップスタイルによって定義され、自社のカルチャーの方向性を定める重要な要素です。自社のカルチャーを作り、変えていく要素であるこのスタンスは、以下の4つに分類されます。
1.中央集権型で変化を好む、カリスマリーダー経営
- 一人のカリスマが常に変化を起こしながら組織を成長させる
- 個のリーダーの強みを最大化することで成果を上げる
- 強力なトップダウンのため、大胆な意思決定ができる
- カリスマ経営者と言われる創業者が経営する会社に多い
2.中央集権型で安定を好む、チームリーダー経営
- 個人に依存せず、経営陣がチームで意思決定し、全員の力を結集して成長を進める
- 合議で決めるためリスクは取らない傾向にあり、安定した経営を志向する
- 一社で長期的に働くことで、合議のためのすり合わせスキルを高めていく
- いわゆる日本の大手企業に多い
3.分散型で安定を好む、複数リーダー経営
- 子会社別、事業別、地域別などに分散して組織運営し、各責任者に権限を委譲する
- 各責任者のレベルに成果が依存するため、リーダーシップ層の育成が重視される
- 権限委譲しつつもレポーティングを適切に求めることで、一定のガバナンスは効かせながらトータルで安定的に成長していく
- 外資系グローバル企業に多い
4.分散型で変化を好む、全員リーダー経営
- ビジョン・ミッション・バリューで大枠の方向性を規定し、あとは個人に任せる
- 個の多様性の価値を最大化し、違いから変化や化学反応を起こし成長することを期待する
- 社員自身に自律性とリーダーシップが求められる
- IT系の新興企業に多い
カルチャーの変革に臨む際は、まずカルチャーの現状評価を行い、7Sの各要素に基づいて自社のカルチャーを詳細に分析する必要があります。特にスタンスの現状を把握し、どのリーダーシップスタイルが現在の組織に当てはまるかを確認することが重要です。その次に、自社が目指すべき理想のカルチャーを明確にし、各要素においてどのような変化が必要かを具体的に設定します。
目標達成に向けて、各要素に対する具体的なアクションプランを策定します。例えば、スタンスの変革には経営層の交代もあり得るかもしれません。また、シェアドバリューの再定義には全社ワークショップの実施などが考えられます。
これらの取り組みにより、カルチャーが整備されることで、組織全体の意思決定が統一され、迅速に対応できるようになります。さらに、クリアな行動指針と効率的な制度運用により、業務の生産性が向上します。明確なカルチャーは採用ブランディングに寄与し、求職者の魅力を引きつけるだけでなく、従業員のエンゲージメントも高まり、離職率の低下にもつながります。結果として、持続的な成長が可能となり、強い組織カルチャーが構築されるでしょう。
カルチャーを7Sで棚卸し、ビジネスモデルとカルチャーモデルの整合性を取っていくことが、企業の成功につながります。ビジネスモデルを磨くだけではなく、カルチャーモデルも合わせて磨いていくことが企業の成功において重要になっていると考えます。
参考文献: 唐沢俊輔著『カルチャーモデル 最高の組織文化のつくり方』