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エンゲージメントが高い組織カルチャーをつくるには?~カルチャーを変える組織開発の難しさと始め方~

エンゲージメントが高い組織カルチャーをつくるには?~カルチャーを変える組織開発の難しさと始め方~

<a href=髙嶋 耕太郎" width="104" height="104">

地方広告代理店、地方公益社団法人での勤務を経て、バックオフィス支援を行う会社に入社。社内コミュニケーション活性施策の営業、新卒合同説明会の制作、総務常駐チームのリーダーを務める。2022年に株式会社NEWONEに入社後は、研修をメインとした人材育成・組織開発のHRパートナー、研修ファシリテーターとして従事。

NEWONEでは、あらゆる企業のご希望やお悩みにあわせた
多種多様な研修を取り扱っております。

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弊社では毎年8月末に、お取引様限定の感謝祭というイベントで、お取引先様と一緒になって1年間の振り返りをさせていただいています。

本年も様々な人材育成・組織開発に関するお声が聞かれましたが、その中でも多くの会社様が、「カルチャー変革の必要性」について言及されていました。

カルチャー変革というと、過去の悪しきカルチャーを一新するような響きがありますが、そうではなく、今までは組織を支えてくれていた良いカルチャーをいかに時代に合わせて塗り替えていくかということに難しさがあります。

「今の状況にフィットしないカルチャーが残っているがゆえにエンゲージメント向上施策がなかなかうまく進まない」というお悩みも伺いました。

そこで本日は、エンゲージメントが高い組織カルチャーをつくることをテーマに考えていきたいと思います。

※本内容は、2023年10月実施の「エンゲージメントが高い組織カルチャーをつくるには?~カルチャーを変える組織開発の難しさと始め方~」セミナーをまとめたものです

エンゲージメントとカルチャーのつながり

エンゲージメントとは、自発的な貢献意欲と言い換えられます。

弊社ではエンゲージメント研究の第一人者である慶應大学の島津先生にも顧問に入っていただき、このエンゲージメントをセンターピンとして事業を展開しています。

エンゲージメントとはどのようにして高まるのか、弊社では「エンゲージメントサイクル」という整理をしております。

  1. 本人が会社や仕事に対して好意的な感情を持つこと
  2. そのうえで、自分で決めて何か行動すること
  3. その結果、感謝・称賛や成長実感・貢献実感等の手ごたえを得ること

このエンゲージメントサイクルを回す主体は、まずはもちろん本人です。そして、上司の皆様やチームの仲間等、周囲のかかわりによって加速します。

そしてもう一点大事な観点として、組織カルチャーがこのサイクルを下支えする要素となります。例えば、誰もがキャリア自立することと、上司がその支援を行うことが当たり前のような状態になっていれば、このサイクルというのは回しやすくなります。

先ほどご紹介した島津先生も、書籍の中で「ある人が仕事にエンゲージしていると、その影響はその人だけにとどまるわけではなく、別の人にも伝染していく」ことに言及しています。つまりは、周りの人がイキイキと仕事をしていると、自分もイキイキと仕事をするようになるということです。

カルチャーの誤解

「エンゲージメントを高めていくためにカルチャーをつくっていきたい」とお声をいただくことがあります。

揚げ足をとるわけではないのですが、「カルチャーをつくる」という表現に少し違和感を感じています。

組織開発の大家であるエドガー・シャインが著書「組織開発とリーダーシップ」の中で言及しているように、基本的にはカルチャーとは新しくつくるものではなく、今この瞬間にも存在し、現在進行中で維持・形成されているものです。

そのため大事なことは、カルチャーを0からつくるのではなく、どのように磨き直していくか、変えていくかという意識で捉えることです。

「今この瞬間もつくられている」ことについてもう少し言及すると、「両利きの経営」著者であるオライリー教授の共同研究者によると「カルチャーとは、Patterns of Behavior」つまり「その会社特有の行動パターン・行動特性」のことを指します。

つまり、カルチャーを変えるためには、行動パターンを変える必要があるということです。

カルチャー変革のポイント

では、「カルチャー(行動パターン)を変えるのは誰なのでしょうか?」

一般的に、日本企業は階層主義かつ合意形成型の傾向が強いです。そのため、多くの日本企業で必要なのは、上位層から変わり、かつ組織内での合意形成を進めていくということです。

弊社がご支援する中で、よく課長の方に自分の管轄の課のエンゲージメントを上げる動きをとってほしいというご要望をいただきます。ところが、いざ課長がエンゲージメントを上げるぞというリーダーシップを発揮するときに、役員クラスの方の理解度によって、成果が左右されることがよくあります。上位層から合意形成していくことで、はじめてカルチャーは変わっていくというのが実情なのかなと実感しています。

ただ一方で、経営層だけがカルチャーのすべてを決めているわけではありません。

ピーター・センゲは著書「学習する組織」の中で、7つの学習障害を掲げていますが、経営にも現場にも、双方にカルチャー変革の主導権があります。

HR部門の我々は、このバランス感覚を持って多方面とかかわりながら、カルチャー変革を目指す必要があります。

カルチャーを変革していく上では、まずカルチャーの重要性や課題を共通認識にし、変革のビジョンを掲げ、小さい成功体験を積むというステップが必要になります。

このカルチャーの重要性や課題を共通認識にしていく上で大事になってくるのが、組織の見える化です。立教大学の中原先生がよく発信されている「見える化・ガチ対話・未来づくり」のサイクルに組み込まれています。

経営層へのインタビューやサーベイ結果等から、まずは見える化することが重要だということです。

ただ、見える化するだけでは、低い数値・良くないポイントにだけ目が行きがちで、モグラたたきで本質的ではない解決手段をとってしまうので、そうならないために課題を考える前に理想的な状態を考えるということです。つまり、変革のビジョンを描くということです。

そして、カルチャー変革のビジョンを掲げたうえで、KSF(キーサクセスファクター:重要成功要因)として「業務プロセスの何を変えるのか」を決めて行動することによって、カルチャー変革の成果を生む一歩目とすることができます。

NEWONEでは、エンゲージメント向上をはじめとした
人・組織の課題解決のヒントとなるセミナーを開催しています。

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対話によってカルチャーを変える

ダニエル・キム教授の提唱した成功循環モデルによると、組織の成功は「関係の質」を高めることから始まっています。そのためカルチャー変革についても、いかに多様な縦と横の関係性を高めていくかが重要になります。

しかしこの難しさは、それぞれの立場によって、同じ事象でも見えている側面が異なることにあります。若手社員の仕事を引き受けた管理職に対して、「困っているところを助けた」という見方もできれば、「メンバーを信頼できていない」という見方もできるように、人の主観によってズレが生じます。

組織開発とは、このような「ズレ」をなくすことであると言えます。そしてこの「ズレ」をなくすための手法が「対話」です。

妥協点を見出し合意形成をはかるものではなくて、お互いの認識の違いを尊重し合うのが対話です。

対話することの価値としては、大きく2つあります。

1つは、新しい解釈の枠組みをつくるということです。営業が売れるものを創れと思っていて、開発は良いものを創っているというズレが生じているときに、対話を通じて「そもそも自分たちは何が良いものなのかを話してこなかった」という気づき、つまり解釈の枠組みを新設できるということです。

もう1つは、本人にとっての文脈を更新するということです。自分は人から好かれないタイプだと思っていたが、様々な人との対話を通じて、自分は深い付き合いを大事にするタイプだと解釈し直すような感覚です。

こうして、対話によって違いを理解することで、文脈を発見することに組織開発上の大きな価値があります。

セミナーアンケート(一部抜粋)

・上司、部下のズレの解消がカルチャー変革にとって重要要素であるということがよく理解できました。ありがとうございました。
・カルチャーの変革は一朝一夕で実現せず、対話に基づいて組織の行動特性を変えていくことは非常に骨の折れる取組とは思いますが、基本的な考え方を理解でき、良かったです。ありがとうございました。
・まさに組織カルチャーを変えようとエンゲージメントサーベイを導入して取り組んでいるため、理論的な背景も整理されて分かりやすかったです。
・学術的な知見を踏まえたお話で説得力がありました。読んだことがない書籍もありましたので、さらに学びを深めてみたいと思いました。
・同僚にも聞いてもらいたいと思って聞いてました。

登壇者の声

組織のカルチャーとは0からつくりあげるものではなく、既につくられているものであり、それは「Patterns of Behavior」つまり行動の集積であるとお伝えしました。

つまりカルチャー変革とは、耳障りの良いパーパスをつくることでも、人事制度を豊かにしてマスコミにアピールすることでも、経営陣と現場の親睦の機会を設けることでもなく、「行動パターンを変えていく」ことに他なりません。

そしてそのためには、「対話によるズレの解消と、文脈のとらえ直し」が必要になります。

社内外の力をうまく活用しながら、正解と終わりのないカルチャー変革に挑む皆様に対して、我々も精一杯お力になりたいと考えています。

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