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これから求められるキャリア自律

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NEWONE事務局

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(株)NEWONEの上林です。
6月22日(火)にエンゲージメント・サミット2021を開催させていただき、1000名を超える方に申し込みいただきました。
チャット含め活気ある場となり、ご参加いただいた方、誠にありがとうございました。

その中で、エンゲージメントをテーマにしたパネルディスカッションの議論で、“キャリア自律”の大切さについても話にあがったことが印象的でした。

人材流動化が激しくなり、生涯自社で働くことを前提としない新入社員が入社してくることが当たり前になり、また、企業側でも、生涯自社で働くことを前提としないキャリア支援を行っている企業も増えています。

そういった中でのキャリ自律について考えてみたいと思います。

山登り型と川下り型、実態は?

ある会社で、1000名以上の管理職の方に、1on1研修を実施したのですが、そのセッションの中で、印象的なことがありました。

キャリアの考え方として、数年先・数十年先のキャリア目標を明確化して、そこから逆算して考えていく「山登り型」と、働く上で大切にしたい価値観を大事に目の前の仕事を1つひとつ一生懸命取り組んでいく「川下り型」の説明をした上で、管理職自身に対して「ご自身はどちらのタイプですか?」と質問しました。

すると、経験豊富な管理職の結果は、山登り型:川下り型が2:8くらいでした。

そして、そこからの議論で出た言葉として、
「自分自身が川下り型にもかかわらず、部下には数年先はどうなりたい?と山登り型を強要していました。部下が前向きに話さないのも当然ですね…」と。

外部環境の変化が激しい昨今、各企業においても10年後の戦略をデザインすることは難しくなっています。
加えて、“働く”という環境においては、多くの仕事がAIやロボットに代替されるとも言われる昨今、想像することは難しいです。

そのような中、キャリア支援という文脈で、先の未来を強制的に描かせるのは、若手社員にとっても雲をつかむような作業であり、手応えを感じにくいものでもあります。

また、環境変化に伴い様々な可能性も生まれる中で、キャリア面で何か一つのみに定めることは、自分自身の可能性を狭めるように感じることもあり、未来に向けて前向きになりにくい人もいます。

にもかかわらず、キャリア開発とは、数年先の未来を明確にデザインすることだと捉えている人が多くいるのも実態であり、その意識を変えていくことが大事です。

そもそもキャリア自律は何のためにする必要があるのか?

数年先の未来を明確にデザインすることが難しい中で、
では、キャリア自律のために何をすべきなのでしょうか。

キャリア自律という言葉がどんどん広がる中、すべきことの前に、そもそも何のためにキャリア自律が必要なのかについて考えてみると、大きくは二つあるかと思います。

1つは、中長期的な側面として、
環境変化が激しく、10年後どのような仕事があるのかも簡単には予想できない中で、未来の自分が仕事で付加価値を発揮できるようになるために、自分の武器を作っておくことが必要だという観点です。

もう1つは、短期的な側面として、
自分のキャリアや人生と、今の仕事に何らかのつながりが見えると、今の仕事に対する意義が高まるという観点です。

企業側主催のキャリア支援においては、両方の目的がありつつも、後者のウエイトが大きいこともよく見られます。

NEWONEでは、エンゲージメント向上をはじめとした
人・組織の課題解決のヒントとなるセミナーを開催しています。

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キャリア自律を進める上で大事な3つのポイント

では、前述の2つの目的のために、
未来を明確に描くこと以外で、具体的にどのような行動が大事なのでしょうか。

1つ目は、自己決定感を増やすことです。
“自律”という言葉を使っている通り、誰かから受け身的に与えられるものではなく、自分から主体的に動くことです。
この”主体性”という言葉ですが、辞書では「自分の意志・判断で行動しようとする態度」と書かれているように、「自分の意志・判断」が大事なポイントです。

組織に入ってすぐは自分の意志で判断できないことが多く、繰り返していると、どんどん受け身になってしまう人も多くみられます。
それを打破するためには、小さなことでも良いので、自分の意志で決めている「自己決定感」を増やしていくことが大事です。

キャリアという文脈においても、数年後の未来を描くことではなくても、例えば「この分野に興味が少し湧いたので、まずは1冊本を読んでみよう」と意志を持って自己決定をし、行動することです。そして、この自己決定経験を増やしていくことが大事です。

2つ目は、経験学習サイクルを習慣化することです。
経験学習サイクルとは、コルブが提唱した理論で、実践→経験→内省→持論化→(実践)とあらわされるものです。

例えば、二人の新入社員が入ってきて同じ仕事を行っているのに、ぐんぐん成長するAさんと、全然成長しないBさんに分かれたことはないでしょうか。
この二人の分岐点は、才能という面もあると思いますが、それ以上に、この経験学習サイクルを回せているかどうか、特に、行った経験に対して、内省・持論化を行い、新しい持論で応用実践をしているかどうかが大事なります。

上司と部下が対話する1on1の導入目的を、経験学習サイクルを回す支援をすることと定義する企業もあるくらい、オンライン含めたニューノーマルな環境における人材育成ではとても大事な概念です。

このサイクル、特に経験に対しての内省・持論化を自分で回すことができれば、自律的な成長につながるため、先を見据えた武器づくりの観点からも押さえるべき点です。

3つ目は、視野を広げる意識を持つことです。
終身雇用が前提だった時代においては、社員はローテーションで様々な経験を積むことを強制されることも多かったです。
そうすると、新しいことを覚える上で別のスキルや知識が付くというメリットがありましたが、それに加えて、同じ業務でも違う部署からだと違うように見えるように、視野が広がる効果もあったと思います。

一方で、キャリア自律が推進され、自分で決定していく要素が増えると、経験できる仕事幅が本人のスタンスに依存していくことが予想されます。
そうすると、自分の視野が広がらない状況になったり、多面的に物事を捉えにくくなったりして、成長を鈍化させる可能性があります。

キャリア自律の時代において、
例えば、「自ら会社の中期経営計画を読み込み、視座を高める」「社外のネットワークを広げ、自社にない考えを吸収する」というような、自ら視野を広げる行動を行うことは非常に大事な要素です。

デザインではなく、習慣化

環境変化が激しく、数年先をデザインするのが難しい中で、
・自己決定感を増やす
・経験学習サイクルを習慣化する
・視野を広げる意識を持つ
という行動を起こすことが大事です。

そして、これらの行動を注視すると、これらは特別な能力が必要なことではなく、日々の習慣的行動であるということです。

すなわち、これからの時代のキャリア自律においては、キャリアのデザインではなく、習慣化
それこそが一人ひとりが行うべきことであり、支援すべきことではないでしょうか。

NEWONEでは、これからも
“あたらしい、個人と組織の関係を”
見据えて、持論やサービスを展開していきます。

キャリア自律に関しても、これから様々なサービスをリリースしていきますので、引き続き応援のほど、何卒よろしくお願いします。


■プロフィール
上林 周平(kambayashi shuhei)

大阪大学人間科学部卒業。
アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社。
官公庁向けのBPRコンサルティング、独立行政法人の民営化戦略立案、大規模システム開発・導入プロジェクトなどに従事。
2002年、株式会社シェイク入社。企業研修事業の立ち上げを実施。その後、商品開発責任者として、新入社員〜管理職までの研修プログラム開発に従事。
2003年より、新入社員〜経営層に対するファシリテーターや人事・組織面のコンサルティングを実施。
2015年より、株式会社シェイク代表取締役に就任。前年含め3年連続過去最高売上・最高益を達成。
2016年、若手からのリーダーシップを研究するLeadership Readiness Lab設立し、代表に就任。
2017年9月、これからの働き方をリードすることを目的に、エンゲージメントを高める支援を行う株式会社NEWONEを設立。
米国CCE.Inc.認定 キャリアカウンセラー