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エンゲージメント向上の落とし穴とカルチャー創り

エンゲージメント向上の落とし穴とカルチャー創り

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(株)NEWONEの上林です。
数年前より“エンゲージメント”という言葉が注目され、それに加えてコロナ禍によるテレワークの浸透で、人事・組織領域ではかなり一般的になってきました。

そういった中、エンゲージメントとは何か、自社のエンゲージメントはどうなのか、という点に対して向き合ってきた企業が多くある中で、昨今では、エンゲージメントをどう高めていくか、という点を意識されている企業も多くあります。

改めて、エンゲージメント向上への落とし穴とは何か、効果的な高め方は何なのかについてまとめてみたいと思います。

エンゲージメント向上の落とし穴

そもそも「エンゲージメントとは何か」について、よく例えさせていただくのが、婚約指輪のことをエンゲージメント・リングというように、婚約のイメージが近いです。二人の男女が対等に前向きにつながっている状態であり、どちらかが後ろ向きになっていることも、どちらかが偉くてコミットメントしているわけでもない状態です。
個人と組織が、個人と仕事が、対等に前向きにつながっている状態だからこそ、婚約の時と同じように、仕事に対して自主的に貢献していこうとしている状態です。

そういった状態が理想だと思い、各社が様々な施策を行うのですが、ご一緒する中で感じる落とし穴をいくつかご紹介したいと思います。

エンゲージメント向上の落とし穴 (1) 

1つ目は、エンゲージメント向上のために、従業員にたくさん与えようとする意識が強い点です。
綺麗なオフィス、充実したインセンティブ、多数の教育やキャリアパス制度など、すべて従業員にとっては良いものですが、「与えないと」という思考が強く進められることが多いです。
一方的に貢ぎ続けて、婚約できるかというと、必ずしてもYesとは言えないように、「与えてもらえる」という意識から、逆に受け身的なスタンスになってしまうこともよく見られます。
これらは、個人と組織が終身雇用のような縦の関係で「従業員満足」のために、与えるという意識に近い印象があります。

エンゲージメント向上の落とし穴 (2) 

2つ目は、婚約という関係において、個人(従業員)と組織(会社)、個人(従業員)と仕事自体が混ざってしまう点です。
前者は、会社自体に対する愛着であり、会社が掲げているミッション・ビジョンへの共感や共に働く仲間との組織自体に誇りがあるような状態です。後者は、担当する仕事に対する意義付けであり、その仕事に前向きに取り組みたいという状態です。
従業員のエンゲージメント向上という観点で行くと両方大事なのですが、ミッション・ビジョン浸透だけを行って、仕事への意義づけを期待しているシーンも見受けられます。
また、管理職による職務アサインやキャリア支援強化、ジョブ型雇用などで、仕事への意義づけを強化することで、会社への愛着も期待することもあります。
もちろん、一定の効果はあると思いますが、「今回のエンゲージメント向上施策は、何とつなげる施策なのか」を皆で共通認識を持つことが大事です。

エンゲージメント向上の落とし穴 (3) 

3つ目は、誰のエンゲージメントを高めていくのかという点です。
特に大手企業になると、今現在でも多様な人がいます。バリバリ働いて成長したい人もいれば、自分のペースでワークライフバランスを重視して働きたい人もいます。顧客フロントで日々売上向上を狙っている職種もあれば、事務型としてミスの許されない中でサポート業務を行う職種の場合もあります。
これだけやれば誰とでも婚約ができるというものが無いのと同じように、すべての人のエンゲージメント向上を均等に行う施策は難しいのが実情です。
A施策は、バリバリ働きたい人が心地よく働くための施策、B施策は、スポットが当たりにくいサポート業務に光を当てて手応えを感じやすくする施策、というように対象ターゲットをはっきりとさせる必要があります。
一方で、組織の人数が増えれば触れるほど、“誰にも均等に”の意識が強く、施策が中途半端になっているケースも見られる中で、公平ではなく“誰に”を意識することが大事です。

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組織内の行動の集積であるカルチャー

エンゲージメント向上のために何が大事かというと、先ほどの落とし穴にあるように、会社が一方的に与えるのではなく、従業員からの仕事や組織(会社)に対するベクトルが大事です。

すなわち、一人ひとりが自発的な行動を行う状態を作ることが大事です。
そのために、誰にどんな施策を行うのかを検討していくわけですが、その際に大事になってくるのが、カルチャーです。

カルチャーとは、行動原理の価値観であり、その会社に見られる特有の「行動パターン」の集積です。
例えば、
・個人主義なのか、それともチームワーク重視なのか
・成長志向なのか、それとも安定志向なのか
・トップダウンなのか、ボトムアップなのか
・褒めて育てるのか、厳しく叱るのか
など、組織によって行動パターンは違うものです。

エンゲージメント向上の施策はあくまで手段であり、実現する状態を明文化することが大事です。
すなわち、このカルチャーとは、目的と手段の関係における目的でもあります。
事業推進においては、ビジョンや目標という言葉を使い、3年後などを言語化し、そこにたどり着くための戦略や施策を実行するのと同じように、エンゲージメント向上の施策も何をめがけているのかをはっきりとさせることが大事です。

また、よくある誤解として、「カルチャーを作っていこう!」という声も聞かれますが、
カルチャーが行動の集積であるため、すべての組織には何らかのカルチャーがあります。
となると、「カルチャーを新たに作っていく」ではなく、「今●●なカルチャーを△△なカルチャーにする」という明文化が大事です。

では、カルチャーの明文化を行うために、どのような観点が大事でしょうか。

大きく2つあり、1つはビジネスモデルと同じように、企業が市場で勝っていくために相応しいカルチャーを明文化することです。カルチャーが、企業戦略と連動していないように見える場合もある中で、まずは、自社が勝っていけるという点と連動していることです。
もう1つは、エンゲージメントを向上したい理由を整理し、誰のエンゲージメントを高めたいかを踏まえた上で、エンゲージメントが向上するカルチャーを明文化することです。

効果的なエンゲージメント向上施策を行う上でも、まずはこの目指すカルチャーの言語化が大事です。

カルチャーの具体的な創り方

エンゲージメント向上施策のキーとなるカルチャー。
各社の状況によって、進め方は様々なものです。

そういったカルチャーをどのように作っていくかという点に関して、弊社では、
エンゲージメント・サミット2021
~ 組織をさらに強くするためのカルチャーとは?~
と題して、6月22日に有識者に集まっていただくカンファレンスを行います。

現在、700名以上の方に申し込みいただいておりますが、ご興味ある方は是非お申込み下さい。
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■プロフィール
上林 周平(kambayashi shuhei)

大阪大学人間科学部卒業。
アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社。
官公庁向けのBPRコンサルティング、独立行政法人の民営化戦略立案、大規模システム開発・導入プロジェクトなどに従事。
2002年、株式会社シェイク入社。企業研修事業の立ち上げを実施。その後、商品開発責任者として、新入社員〜管理職までの研修プログラム開発に従事。
2003年より、新入社員〜経営層に対するファシリテーターや人事・組織面のコンサルティングを実施。
2015年より、株式会社シェイク代表取締役に就任。前年含め3年連続過去最高売上・最高益を達成。
2016年、若手からのリーダーシップを研究するLeadership Readiness Lab設立し、代表に就任。
2017年9月、これからの働き方をリードすることを目的に、エンゲージメントを高める支援を行う株式会社NEWONEを設立。
米国CCE.Inc.認定 キャリアカウンセラー