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BtoBの無形商材における「勝てる」提案書のポイント

BtoBの無形商材における「勝てる」提案書のポイント

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1.はじめに

弊社は長きに渡り、研修・ワークショップという目に見えないものを届けるビジネスをしてきました。今となってはさまざまな企業様とのご縁がつながり、導入実績も増えて参りましたが、創業当初はそこまでの実績もない中でいかにお客様に価値を信じてもらうか?を探求してきました。手前みそではありますが、お客様からは「他社の提案と比べて、御社の提案は分かりやすい」「イメージがつきやすい」と言っていただく機会が多数あります。

今回はこれまでの弊社での提案書作成に関する知見をまとめ、BtoBの無形商材における「勝てる」提案書のポイントを解説していきます。

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2.提案書の前提

採用されなければ意味がない

提案書は、手段であって目的ではありません。その本来の目的は、人々を動かし、納得させることです。提案書が採用されなければ、ただの一枚の紙切れにすぎません。相手が提案を受け入れ、行動を起こすことによって初めて目的を達成することができるのです。提案書を作成していると、つい”きれいな提案書”や”力作で渾身の提案書”を作りたくなってしまいますが、相手を動かすことが目的であり、良い提案書を作ることが目的ではないということを常に頭に入れておく必要があります。

BtoBの意思決定構造はペインの回避

BtoBの意思決定構造は、いくつかの特徴を持っています。まず、企業間の取引において重要な要素は、課題解決やペインの回避です。顧客は自社の課題を解決できること、そして失敗可能性が極力低いことを何よりも求めます。また、BtoBの意思決定は感情的な満足を目的としないので、時間を要し、慎重な検討が行われます。「資料が良さそうだから」「なんとなく雰囲気が良いから」といった理由で購入されることはほぼありません。費用対効果も重視されます。そのため、提案書においてはほんとうに課題が解決されるのかを論理的に、読み手が納得できるストーリーで構成されている必要があります。

さらに、意思決定者は複数人で構成される場合があります。

『隠れたキーマンを探せ』(ブレンド・アダムソン他)によるとBtoBの購買意思決定にかかわるのは平均5.4人だと言われています。そのため、提案を受ける担当者が必ずしも最終的な意思決定者ではないこともあります。だからこそ、提案書は1人歩きしても問題がなく、誰が読んでも理解しやすいものである必要があります。他の関係者にも伝わりやすく、説得力を持つことが求められます。

オンライン商談ならではの要素

最近の商談では、新型コロナウイルスの影響でオンライン商談が増えています。しかし、オンラインの環境では、話し手の感情や温度感が伝わりにくいという課題があります。このような状況下で、一方的なプレゼンテーションを続けると、聞き手は飽きてしまい、さらに説明内容が理解されているのかどうかもわからなくなってしまいます。

そこで、提案書は単なる一方的な説明ではなく、対話のきっかけとして活用する必要があります。提案書を通じて、資料に書かれている情報以上の内容を伝えたり、相手の欲求を引き出したり、より双方向のやり取りを行うことが重要です。例えば、あえて相手が疑問に思ったり、突っ込んだりしやすいポイントを作っておき、対話の糸口となりそうなものをちりばめておくといった工夫ができます。

オンライン環境における提案書の役割は、単なる資料としての枠を超えて、双方向の対話を促進し、より深い理解と信頼を築くことにあるのです。

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3.無形商材の提案書において最も重要なこと

顧客に「気づき」を与えて、提案そのものに価値を生み出す

提案においては、当然のことですが、私たちが伝えたいことではなく、顧客が知りたいことに応える必要があります。

顧客が知りたいことは、

①自分たちの課題が解決されるのか
②他社と何が違うのか
③社内説得が容易であるか

という3つの要素です。冒頭に述べたようにBtoBの取引においては極力失敗の可能性が少なく、費用対効果があり、課題が解決されると信じられる必要があります。また、他社にはない独自性や優位性があり、社内説得が容易な論理性があって、担当者が意思決定者に自分の言葉で説明できるかどうかが注意深くジャッジされます。提案書を作る際には、上記の3つの質問に答えられているかどうかが重要です。

ただし、無形商材の場合は商品そのものが見えないため、その価値を信じることが難しく、いくら分かりやすく説明したところで、顧客側としては最終的に実物をイメージをしにくいという現実があります。「研修」という特に費用対効果が見えにくいものについてはなおさらです。そのため、ソリューションそのものに対する納得感を醸成するだけではなく、別の部分での納得感を醸成する必要があります。では別の部分とは一体何でしょうか?

弊社では、「なぜ、その打ち手を選ぶべきなのか」、「何が問題の真因なのか」といった、解決策を提示する前段階に、担当者が気づいていなかった発見や気づきが必要だと考えています。例えば、以下に示すような例です。

・問題の構造が驚くほど整理され、どこに手を打つべきなのかがハッキリした
・なぜ、その打ち手が必要なのか、自分が曖昧にとらえていたことが鮮明になった
・自分が問題だと思っていたことの背景に、真の問題があることに気づいた
・本当に手を打つべき対象者は別にいることに気づいた
・今までにない新しい視点を得ることができた

多くの人々は「どうやるのか(How)」の前に「何をするべきなのか(WHAT)」「なぜそれをするか(WHY)」によって動かされます。

このような示唆を通じて、「どうやるか(How)」の前段階の議論を顧客とすることができれば、競合他社との競争を避けやすくなりますし、人事組織課題の本質にリーチしやすくなります。つまり、勝負の土俵を変えることができるのです。

4.提案書の構造とポイント

ここからは提案書の理想的な構造(ストーリー)と、それぞれで押さえるべきポイントを解説します。

4.1 序盤でYESを積む

提案書の序盤では、相手がその後の提案を受け入れやすくなるように、相手から”YES”を積み上げること(=賛同を引き出すこと)が必要です。冒頭からいきなり突飛な提案をすると相手としても受け入れづらい心理状況になってしまいます。そのため、これまでの打ち合わせの中で合意をしてきた部分をなぞり、「自分たちの要望を確実に分かってもらっている」という信頼感を醸成し、企画における特に外せないポイントについて、「確かにそれが大事だ」と顧客から見て思えるような要素を取り入れ、細かく相手からの反応を引き出すことが重要です。相手が特に大事にしてきた想いやキーワード、潜在欲求を意図的に使い、相手が積極的に共感できるポイントを強調し、共通の認識を形成することが求められます。

4.2 解決すべき課題・論点を明確にする

提案書では、解決すべき問題や論点を明確に定義することが必要です。先に述べた通り、「どうやるのか(How)」の前に「何をするべきなのか(WHAT)」「なぜそれをするか(WHY)」の合意を得ることが大切です。課題を再定義する際には、相手との共通理解を確認しつつ、問題の本質を明確に示します。例えば、新人の主体性が低いという問題に取り組む場合、解決すべき問題は新人の業務に対する姿勢を強化することなのか、それともマネジメントによって主体性を引き出せていないことなのか、その真因を掘り下げることが必要です。

4.3 強い「気づき」を与える

解決策を提示する前段階に、担当者が気づいていなかった発見や気づきが重要です。相手にとって新たな気づきがなければ、提案の意味がないと言っても過言ではありません。では、相手が「ハッ」とするような新しい視点はどのように生み出すことができるでしょうか。

代表的には2つのやり方があります。1つ目は比較をして”違い”を見せる方法です。

「一見すると大事に見えるのはAであるが、実は本当に大事なのはBである」というようなフレームで本質に切り込むことができると、相手からすると自分が考えていたこととは別の

視点を得られたと感じることができます。

2つ目は、当初の目的(ゴール)に立ち返る方法です。提案は課題の解決を目的にしていますが、お客様の中でも議論を繰り返していくといつの間にか、本当に解くべき課題が置き去りにされてしまい、「良い研修をすること」に目的がすり替わってしまうことが多々あります。そんな時、「なぜ、その課題を解決すべきなのか」に立ち戻ると、組織の目指すビジョンの実現やひいては事業の成功が本来の目指す地点であったことを思い出してもらうことができると、狭まった視野が拡がり、相手にとっての新たな視点の提供につながります。

他にも、「このまま問題が続いていくと、未来にどんな悪い事態が起こるか(バッドストーリー)」を描き、相手が見えていなかった課題を突き付けるというやり方もあります。

BtoBの取引において重要視されるのは「ペインの回避」であるため、相手が今まで意識していなかったことに対し、強い主張や問題提起があることは、「ハッ」とする気づきを与えることにつながります。

4.4 主張への納得感を醸成する

相手が「ハッ」とする課題の定義やその背後にある理由を深く掘り下げることができたら、その課題をどのように解決できるかについて論理的なストーリーを組み立てる必要があります。特にBtoBの顧客は、その課題が本当に解決可能なのか(失敗するリスクはないのか)を気にします。この段階では、相手に論理的なイメージを与え、「なるほど」と納得感を生み出すことが重要です。では、どのようにそれを実現できるでしょうか。

方法は2つあります。1つ目は、課題解決に向けてのステップを細分化し、各ステップにおいてどのような変化が必要になるのかを明確にすることです。曖昧なままの課題解決の手順が具体的に分解されると、まず何を目指せば良いのかがイメージできます。そして、提示されたソリューションがそのイメージと合致するかどうかを考えやすくなります。

もう1つの方法は、課題解決に向けて必要なステップの中で、ボトルネックとなる部分がどこにあるのかを先に明示し、その解消方法を論理的に説明することです。事前に懸念事項を提示し、その壁をどのように乗り越えるのかを具体的に記載することで、相手は安心感を抱くことができます。

4.5 berfore→afterを想起させる

繰り返しになりますが、相手は私たちが何を提供するかよりも、自社の課題を解決できる可能性に関心を寄せています。彼らは私たちの提案を受け入れることで、どのような変化が訪れるのか、どのようなメリットやベネフィットが得られるのかを知りたいのです。

相手にとって、私たちの提案が将来的な成果や価値をもたらすものであり、ワクワク感を抱かせることができれば、自然と相手の心をつかむことができます。

5.まとめ

提案書の作成は、手段であって目的ではありません。そして大切なのは、自社が何を提供できるかではなく、相手が気にしていることに応えているか、相手の課題を解決できるかです。以下の点を踏まえ、相手を動かす提案をすることができているか、振り返ってみてはいかがでしょうか。

ポイント引き出したい相手の思考・感情
①序盤でYESを積む確かに、確かに
②解決すべき課題・論点を明確にする私が解決したい真の課題はこれだ
③強い「気づき」を与えるハッ、今まで無かった視点だ
④主張への納得感を醸成するなるほど、懸念や不安が払しょくされた
⑤berfore→afterを想起させるワクワク、この会社と仕事をしたい

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