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GPTW10位のNEWONEのエンゲージメント向上施策を一挙公開~サーベイ結果の分析方法とその施策とは~

GPTW10位のNEWONEのエンゲージメント向上施策を一挙公開~サーベイ結果の分析方法とその施策とは~

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著者

青木 美奈

著者

青木 美奈

株式会社NEWONEに新卒入社。研修をメインとして、人材育成・組織開発のHRパートナーとして従事。新入社員・若手から管理職まで幅広い階層の研修設計を支援。特に女性活躍、ダイバーシティ推進に注力している。社内では、メソッド記事の作成を推進している。

NEWONEでは、あらゆる企業のご希望やお悩みにあわせた
多種多様な研修を取り扱っております。

どんな研修があるか見てみる

エンゲージメント向上に注目が集まる現代において、エンゲージメントサーベイ結果の分析、施策立案・実行に難しさを感じている会社様も多いのではないでしょうか。今回は、弊社NEWONEの社内で実施しているエンゲージメント向上施策を一例としてご紹介しながら、サーベイ結果の分析と施策検討の手法について、ご紹介いたします。

※本内容は、2023年12月19日実施セミナーの内容をまとめたものです

変化する環境とエンゲージメント

労働者が不足してきた現代において、人を惹きつける必要性が高まってきています。採用力ランキング上位の企業様でも、人が採用しづらくなった、優秀層の方ほど離職しやすくなっている、という声がよく聞かれるようになりました。

そこで着目されているのが、エンゲージメントの向上です。

エンゲージメントとは、社員と会社の対等なつながりのことを指します。エンゲージメントを高めるためには、社員の自発的な貢献意欲である内発的動機を引き出すことがポイントで、会社から何かを与える外発的動機づけでエンゲージメントを高める事は難しいです。そのため、どのような施策を打てば良いか分からない、というお困りの声も多く聞こえてきます。また、エンゲージメントが高い状態を持続させるためには、施策を一度だけ実施すれば良いのではなく、継続的に施策を実施することが重要です。

そこで、各社様が陥りやすいサーベイを活用したエンゲージメント向上の落とし穴7つをご紹介いたします。

①サーベイをとるだけの罠
エンゲージメントサーベイを取るだけになってしまい、その後の施策に落とし込むことができていない状態です。サーベイはダイエットにおける体重計のようなものなので、現状を把握し、改善するための施策検討、実施に接続することが重要です。

②たくさん与えて、受け身にする罠
エンゲージメントを高めるためには、社員の内発的動機を引き出すことが重要です。会社から色々と与えすぎて受け身な社員を育てるのではなく、社員側からの会社へのベクトルを引き出す事が重要です。

③手段に目が行き、目的が曖昧になる罠
目的が明確になっておらず、様々なことに目を向けすぎてしまった結果、施策が刺さらない状態です。施策の目的を明確にし、同時に複数の効果を狙いすぎないように施策を実行することが重要です。

④平等に囚われて、刺さりが悪くなる罠
人によってエンゲージメントが上がるポイントは異なるので、全員のエンゲージメントが平等に高まるエンゲージメント施策はありません。ターゲットを明確にした、エンゲージメント施策が重要です。

⑤キーとなる結節点である管理職を巻き込まない罠
エンゲージメント向上には、組織と現場メンバーの結節点である管理職の方々の働きかけが重要です。個々人によってエンゲージメントが高まるポイントが異なるからこそ、1人ひとりと直接接する機会の多い管理職を巻き込んだ施策実施が重要です。

⑥そもそもの信頼関係がなく進められない罠
社員のためにエンゲージメント向上施策を実施しているが、そもそも会社や上司に対して信頼関係が構築できておらず、施策をまともに受け取ってもらえない状態です。ベースとなる信頼関係の構築をまずは徹底することが重要です。

⑦やりっぱなしの罠
エンゲージメント施策を一度実施しただけでは、関係性の問題であるエンゲージメントはなかなか高まりません。そこで、継続的に取り組みを実施することが重要です。

エンゲージメントサーベイを活用するポイント

エンゲージメントサーベイを活用し、エンゲージメントを向上する際によく聞こえるお悩みとして、

  • 数字は出たが、その結果が良いかどうかがわからない…
  • 結果を見ても、何を行って良いかわからない…
  • 現場は結果を上手く使いこなせず、評価表のようなとらえ方をする…
  • 施策を行っても、効果があるのか分からない…

等があります。

大前提、エンゲージメントサーベイを活用するには、難しさが伴います。

難しさを乗り越えるためのポイントは大きく2点あります。

ポイント①
サーベイ結果の数値を読み解くだけで分析を深めるのは難しく、それ以外の情報も見ながら壁を1つずつ突破していく事がポイントです。

サーベイ結果の数値に加えて、サーベイの背景思想、現場社員の定性情報(インタビュー等)、他社事例を組み合わせながら分析することが重要です。現場社員の定性情報を収集するインタビューの際に、施策推進の反論者となりそうな方に納得していただけるよう、布石を打っておくことも効果的です。

ポイント②
アジャイルと言われるような、様々な施策を試し、試行錯誤していくスタンスが効果的です。

施策を実施してみて、すぐに効果が出なくても良いので、複数回施策を実施するサイクルを回し、自社に合う施策を見つけることが重要です。

エンゲージメントを高めるアプローチ方法

エンゲージメントを高めるためには、分析によるピンポイントアプローチ、ベースの組織力向上アプローチの両軸によるアプローチが重要です。

分析によるピンポイントアプローチ
データを詳細に分析し、施策立案、実行をするピンポイントなアプローチは。特定の課題に対処することに最適です。

ベースの組織力向上アプローチ
ピンポイントなアプローチだけでなく、ベースの組織力向上のためのアプローチをすることも重要です。情報をオープンにする、皆で対等に対話する、組織をより良くするのを当たり前という風土を醸成する等、スコアが下がりにくく、ベースを高める施策も同時に進める事が重要です。

NEWONEでは、エンゲージメント向上をはじめとした
人・組織の課題解決のヒントとなるセミナーを開催しています。

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エンゲージメントサーベイの活用 ~NEWONEの事例~

具体的な施策検討のイメージを持っていただくために、弊社NEWONEの事例をご紹介します。

シーン① 貢献実感の創出

NEWONEが、自社のエンゲージメントに深く向き合ったのは創業から2年目のことでした。当時、売上は順調に右肩上がりになっておりましたが、その時期に一気にエンゲージメントが低下しました。

急成長する中、大型取引の開始等、多忙ではありましたが、従業員の家族も含めた海外旅行の企画といった様々な仕掛けが成功している状況でした。一方で、サーベイの中でも「達成感」の項目が低く、エンゲージメントサーベイのスコアが全体的に下がり始めていました。

エンゲージメントが低下している結果を分析し、立ち上げメンバーで成り立つ組織だからこそ、より貢献実感を重視しているのではないか、と仮説を立てました。

その仮説のもと実施した具体的な施策は以下の通りです。

  • 自分たち主導で社会に仕掛けるために、テーマ別の組織体制に変更し、自己選択可能に
  • お客様の声を聞こえる機会として、対面でのお客様感謝会を企画し、プロジェクトチームを発足
  • 賞賛ツール「Unipos」を導入し、目立ちにくい成果にスポットが当たることを強化
  • 家族を含めた海外での祝いを、プロジェクト主導で企画を推進

忙しくても貢献実感を重視している創業メンバーだからこそ、自己決定感を組み込むような施策を実施しました。また、「働きがい」は結果として得られるものだからこそ、行動の手ごたえを実感できるような仕掛けを整えました。

シーン② 従業員体験の設計

NEWONEでエンゲージメントの向上が鈍化し、日々がマンネリ化してきた時期の施策をご紹介します。このような状況の時に重視すべきは、感情に注目した従業員体験施策の検討です。

従業員体験の設計は、予算がないから自社には難しい等の制約条件もあると思いますが、感情に焦点を当てて複数の観点から施策を考える事が重要です。

例えば、NEWONEでは予算的な制約から、新採用者への歓迎として豪華な入社歓迎会ができない難しさがありました。そこで、高揚感を高め、歓迎されている感覚、自社への誇りを実感するという感情の提供に着目し、全社員参加のムービー作成や社長からの手紙の企画、会社重要戦略や会議への関与の促進等の施策を実施しました。

また、多様なキャリアパスや経験を用意できない難しさに対しては、選択肢の広がり感や新しい知識や刺激を得たい、という感情の提供に着目し、他職種からの中途入社者の勉強会実施、有識者とのつながりを顧問や業務委託形式で作り、指導役として関わっていただく等の施策を実施しました。

シーン③ 衛生要因等、何かを与える施策により高まったエンゲージメントは徐々に低下していく

NEWONEでオフィスを移転した際、一気に「職場環境への満足度」は高まりました。その後様々な施策を打ちましたが、「職場環境への満足度」はオフィス移転時の高いスコアから右肩下がり傾向となりました。職場環境や給与待遇等、会社から与えられたものによってエンゲージメントが高い状態を維持することは難しく、従業員1人ひとりの内発的動機を引き出すことが重要なのです。

NEWONE社内でエンゲージメントが高い状態を維持するために心がけていることは、オープンであること、対話の機会を持つこと、メンバーの参画を促すこと、カルチャーを明文化することです。

エンゲージメントは「関係性」によって上下するものなので、継続的な対話のコミュニケーションを通して、エンゲージメントが下がりにくい組織環境を整えることが重要です。

セミナーアンケート(一部抜粋)

・分析によるピンポイントなアプローチに比重を置いていたことに気づいたため、今後は組織向上アプローチも検討していきたいと感じた。
・具体的事例など自社施策を検討する上でイメージがしやすい内容だった。
・エンゲージメント向上のためには、対処療法だけでなく体質改善が必要であること。具体的な取り組みが参考になりました。
・エンゲージメント向上の難しさ、活動を進めていくうえでの様々な罠についてもご説明頂き非常に有益であった。
・日頃お世話になっているNEWONEさんの実例をお聞きできたのが良かったです。やはり何をやるにも対話が大事ですが、有益な対話をするためには信頼関係がベース。ここが肝かなと思いました。

登壇者の声

人間の感情や組織の状態とは、論理だけでは証明しづらく、日々変化していくものです。

だからこそ、①組織の状態をしっかりと観察する、②たくさんの効果的な打ち手事例を知っている、③状況に合わせた施策を打ち続ける(効果検証する)、が大事です。

本セミナーでも、弊社の過去事例を活用した創意工夫点が参加者の皆さまに刺さっていたようですが、本内容を踏まえてぜひエンゲージメントサーベイを活用して、組織をより良くしていく感覚を得ていただければ幸いです。


まとめ

エンゲージメントを高めるためには、エンゲージメントサイクルを回し、推せる職場づくりをしていく事が重要です。

組織風土を一気に変える事は難しいので、サーベイ等を活用しながら施策を検討し、短期的な成果を生み、組織をもっと良くして行ける!という手ごたえを獲得しながら、エンゲージメントの高い組織へと改革していくことがファーストステップとしては重要です。

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