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改めて、人的資本とは何なのか

改めて、人的資本とは何なのか

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(株)NEWONEの上林です。

2022年7月30日に、書籍「人的資本の活かしかた」を発刊させていただき、
人的資本についてお話しさせていただくことが増えました。
わかるようでわかりにくい“人的資本”を咀嚼するためにも、
具体的な現場レベルではどのようなものなのかについてまとめてみたいと思います。

人的資源との違い

人的資本の前から、人的資源という言い方もありました。
違いで言いますと、人的資源は、英語で言うとリソースであり、人自体にフォーカスし、あるものを消費する考え方が強い印象です。
一方で、人的資本は、英語で言うとキャピタルであり、人自体に加えて、保有しているスキル・知識・経験にフォーカスしており、今保有しているものはレバレッジが利くものとして捉える傾向が強いものです。
また、人的資本に対するよくある誤解は、人”が”資本、と捉えがちです
“人が資本”は大事なのですが、
より正しく捉えようとすると、人”の”資本と捉える方がより本質を理解しやすいと思います。

人を大切にする経営との違い

また以前からよく聞かれた「人を大切にする経営」は、先程の人”が”資本という考えが強く、そして、その前提として、会社が偉くて社員が従属している関係で、与えたり、守ったりしている関係のニュアンスが強いです。背景として終身雇用や年功序列があり、家族的な関係性というものが前提として過去からあったものです。
一方で、人的資本経営とは何かというと、先程あった人”の”資本という考え方が強く、その前提として、個人と組織の関係性がより対等という位置づけが強いです。
具体的には、人材流動化が激しく、個人のキャリアは個人が責任をもって開発することが大事な時代であり、終身雇用の前提も少なくなってきている時代です。
このような関係性では、組織は個人にキャリア開発機会や貢献実感機会を提供する代わりに、個人は組織の目的に向けて自分の力を注いでいくという形になります。また、急速なデジタル化に伴い、家族的な感覚値だけでなく、出来るだけデータも活用してよりマッチングを強化していくことも人的資本経営において大事な考え方です。
対等、キャリア開発、人材流動化というとドライなイメージを持つかもしれませんが、人的資本経営は人を大切にしないものでは決してありません
時代は変化しています。
人材が流動化し、より個人が自分のキャリア開発を求める時代においては、本人の人的資本が発揮でき、高められる環境を提供することが、むしろ、人を大切にしているともいえる時代なのです。

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マネーボールから見た人的資本

現場での人的資本の活用をイメージするために、少し例えていくと、
2011年にアメリカで、「マネーボール」という野球の大リーグ球団の映画がありました。アスレチックスの実在のゼネラルマネージャーの球団育成の姿を描いたものであり、アメリカの貧乏な弱小球団が周囲の批判を受けながらも独自の統計学的理論を使って常勝球団へ進化していく物語です。
弱小で、貧乏で、どのように実現したかがポイントです。
具体的には、ホームランを多く打つ人やヒットを多く打てる人はわかりやすく人気で、年俸も高騰していました。一方、データ分析をした結果、勝利に貢献する指標として、ヒットでは無くても塁にでる確率である出塁率が重要な要素の一つだったことを発見しました。
その結果、他球団では出番が少なかった出塁率に強みがある選手を安価で獲得し、その力を最大限引き出し、勝利を導いた。すなわち、勝利に寄与する資本を最大限生かすことで、結果に導けるという例でした。
今の例にもあるように、人材という抽象的な言葉で「適材適所」するにとどまらず、より具体的に「適能適所」を目指すのが人的資本の活用だといえるでしょう。
今、労働環境は人が潤沢ではなく、取り合いです。
そういった中で、一人ひとりの大事な資本を見いだし、最大限引き出すことで、結果を出すマネジメントを行うことが大事です。

人的資本を現場で活用していくためには

人的資本とは何かついて説明してきましたが、現場で上手く最大化していくためには、何が必要でしょうか。
まずは、メンバー一人ひとりのマネジメントをしている管理職が変化をすることが大事です。
具体的には、一人ひとりの保有しているスキル等の人的資本を見いだし、最大限活かすように能力開発をしていくことです。
次に、メンバー一人ひとりも、自分自身がどのようなスキルを保有しているのかを自ら言語化できる力が必要ですし、自分自身が動機づく仕事は何かの自己理解も大切です。
弊社でも、上記の狙いのマネジメント向けプログラムや、メンバー向けのキャリア開発のオーダーが多くなっておりますが、
急速に人的資本が注目される時代になる中で、”人的資本”を上手く活用していきたいと思われている方はぜひお声がけください。


■プロフィール
上林 周平(kambayashi shuhei)

大阪大学人間科学部卒業。
アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社。
官公庁向けのBPRコンサルティング、独立行政法人の民営化戦略立案、大規模システム開発・導入プロジェクトなどに従事。
2002年、株式会社シェイク入社。企業研修事業の立ち上げを実施。その後、商品開発責任者として、新入社員〜管理職までの研修プログラム開発に従事。
2003年より、新入社員〜経営層に対するファシリテーターや人事・組織面のコンサルティングを実施。
2015年より、株式会社シェイク代表取締役に就任。前年含め3年連続過去最高売上・最高益を達成。
2016年、若手からのリーダーシップを研究するLeadership Readiness Lab設立し、代表に就任。
2017年9月、これからの働き方をリードすることを目的に、エンゲージメントを高める支援を行う株式会社NEWONEを設立。
米国CCE.Inc.認定 キャリアカウンセラー

【書籍出版情報】
2022年7月に、弊社代表上林が「人的資本の活かしかた 組織を変えるリーダーの教科書」を出版しました。