ニッコールグループ様の事例紹介

組織と個人が対等な関係である「自律した組織」を目指す ~2030年ビジョンに向けたエンゲージメント向上プロジェクト~

ニッコールグループ様

[導入サービス]
・エンゲージメントへの理解を深めるセミナー
・1on1導入セミナー
・アサーション研修
・組織変革ワークショップ
・モデルケース部署向けワークショップ

[実施概要]
2030年ビジョンに向けて、2020年より3ヶ年で「自律した組織」を目指し、エンゲージメント向上プロジェクトがスタート。1ヶ年目は、1on1制度の導入、エンゲージメントサーベイ(Wevox)の導入を行い、1on1導入セミナーやエンゲージメントへの理解を深めるセミナーを実施。また自薦他薦で集ったコアメンバー(マネージャーからメンバー)を対象に、エンゲージメント向上に向けたアクションを促進し、成功・失敗事例をつくることを目的に組織変革ワークショップを実施。2ヶ年目は、モデルケース部署での成功事例をつくることを目的に、モデルケースとなる部署のマネジャーがWevoxを使ってエンゲージメント向上に成功する手応えを掴むための実践ワークショップを実施。3ヶ年目は、これまでのノウハウや2ヶ年目のモデルケース部署の成功事例を基盤に、広くマネジャーが実践できる状態を目指している。

[スピーカー]

日光ケミカルズ株式会社
総務部 部長
山田 政治様
日本サーファクタント工業株式会社
総務部 総務グループ チーフ
半澤 美佐江様
株式会社NEWONE
コンサルタント
鏑木 亜紗実
― 2020年から3ヶ年計画でエンゲージメント向上プロジェクトを実施しようと思った背景や理由について教えてください。
山田様:当グループでは、以前から組織の課題や取り組みたいことを話し合う機会があり、ES(従業員満足度)調査を行っていました。その中で、「上司と部下のコミュニケーションに問題あり」という課題があがっていました。私が2020年にプロジェクトオーナーとなり、その課題を解決するタスクを持ってプロジェクトがスタートしました。それと同時に、2030年のグループビジョンが打ち出されたのですが、会社と社員が同じ立場で、win-winを考える関係性になるということが打ち出されていました。そのビジョンから目指す姿を考えた時、単にESをあげるだけでは不十分だと感じました。では何が最適なのだろうと考えた時に、「エンゲージメント」という言葉に出会いました。我々が目指すのはES向上ではなくエンゲージメント向上ということに辿り着き、経営層にも合意を得ました。ES向上からエンゲージメント向上プロジェクトに鞍替えをする形で再スタートをしました。コミュニケーションの問題はエンゲージメント向上においても重要な課題ですので、まずは施策として1on1制度やエンゲージメントサーベイ(Wevox)の導入から実施しました。

自律した組織になるために、まずは自分で考えることからスタート

― 本プロジェクトを通じて、組織がどのような状態になることを期待されましたか?
山田様:3年後のゴールは、「自律した組織」になることです。各会社、部門、最小単位となるチームまで自分達で考え行動し、自分達で解決していくことができる集団になることを目指しています。当グループは創業70年を超える企業体で、これまでは経営トップの強いリーダーシップによって成功してきた歴史があります。そのため、自分達で考えるというより正解を求める傾向があると考えています。しかし、現代のように変化が激しい時代には、その場で皆で考えながら新しいものを提案し、柔軟に対応していくことが求められてきます。エンゲージメントとは、そういった対等な関係のカルチャーになっていくためのきっかけだと考えています。3年後には、我々が何か施策や指示を出すというより、各組織で考え必要だからやっているという状態になることを目指しています。もちろん、3年で全組織がそうなることは難しいので、少しでも自走する組織が増えれば良いと思っています。そこに行くために、1年目、2年目とマイルストーンを置いて、NEWONEさんにもご支援いただきながら進めているところです。
半澤様:私は2ヶ年目からエンゲージメント向上プロジェクトに参加したのですが、個の集合がチームであり、チームの集合が会社になるので、現場の一人ひとりが自分事に捉えられる意識を持つことを期待しています。どうしても、部門や会社を良くするのはマネジャーの仕事であり、自分達の仕事ではないと考える人が多いです。そうではなく、あなたもチームを作っている一人であるという意識を持ってほしいなと。私が所属する生産工場では、ある程度やり方が決まっている仕事が多くあります。そのため、自分で考えるという習慣が少なく、いざ自分達で考えてやってくださいと言われても、なかなか動き出せないという実態がありました。まずは一人ひとりが自分で考えてみること、自分の意見を述べてみるという小さなアクションからスタートし、1年2年と続けていくことで当たり前の仕事のスタイルになっていくことを目標に取り組んでいます。
― これから3ヶ年目に入るというところですが、これまで実施してみた率直なご感想や、感じられた効果があれば教えてください。
山田様:学びが非常に多く、反省点は山のようにあります。グループ全体で施策を実施する際は、例外をつくらず皆で一斉に取り組む文化があるのですが、Wevoxの導入は有志でスモールスタートから始めた方が良かったのかなと悩む場面もありました。しかし、1on1などは一斉に始めたことでとても効果が大きかったです。コロナ禍という背景もあったと思いますが、半ば強制的に1on1という場で、上司に仕事だけでなくプライベートな相談ができたり、これからの意向を話すことができたりと、コミュニケーション不足に対する課題が改善されてきました。Wevoxにおいても、少しずつエンゲージメントの重要性に気づき積極的に取り組んでいるマネジャーが増えています。1年、2年とやってきた中で、少しずつ前に進んでいる手応えはあります。
半澤様:まだまだではありますが、一部のマネジャーはWevoxの結果からヒントを得て工夫する行動をしたり、月に1度の1on1でコミュニケーションすることで働きやすくなったなど、少しずつ変化が出ています。特に1on1は、上司側もメンバー側も、最初はぎこちない人も多かったと思うのですが、お互いの背景を知ることで普段の職場での会話も円滑にできるようになってきています。また、マネジャーも何となく自部門に問題があることはわかっていたけど、具体的にどうしていけば良いかわからないと言った人も多かったのですが、Wevoxの結果からどこに課題があるのかが見えやすくなり、徐々に改善されている部門も出てきています。

「腹を割って話したい」は、最大の褒め言葉であり希望である

― これまで取り組んできた中で、印象に残っているエピソードがあれば教えてください。
山田様:チームづくりや人材育成まで手が回らないマネジャーも多かったのですが、研修で適度にインプットをもらうことでその重要性に気づく人が増えてきています。外の世界に目が向くことで、さらにその必要性に気づいてきますので、自部門やチームの心理的安全性を高めようと努力を始められる方や、アトラエさんで実施しているバリューカードを自部門でやってみたいので貸して欲しいと申し出てくるマネジャーもいました。また、うれしかったこととして、「山田さんとなら腹を割って話したい」と言ってくれるマネジャーやメンバーが増えたことです。これは、プロジェクトを推進していく中で最大の褒め言葉であり希望でもあり、改めてそういったメンバーと共に良い組織をつくっていきたいと思いました。
― エンゲージメントの高い組織づくりにおいて、一番大事なポイントは何だと思われますか?
山田様:基本は「心理的安全性」があることです。また、マネジャーのエンゲージメントが高いことです。明るく前向きなリーダーであることは、その下にいるメンバーに一番影響を与えていると思っています。
半澤様:全員参画意識があることです。また、マネジャーが自部門のどこに課題や強みがあるかを理解しているかどうか、職場で仕事と関係のない話も自由にできる雰囲気を率先してつくっているかが大事なポイントだと思います。メンバーが話しやすく楽しい雰囲気の中で、“自分はここに必要とされている”と感じられると、エンゲージメントは高まっていくと思っています。

体調が悪いと良い仕事はできない。組織づくりは体調を整えることと同じ

― 長期プロジェクトを推進していく中で、苦労した点や難しいと感じることがあれば教えてください。
山田様:当グループは、まだまだボトムアップの感覚が十分に醸成されておらず、今の時代に必要なリーダーの役割が浸透していないところがあります。事業推進と組織づくりは一体であり、どちらか片方だけというものではありません。いくら能力があっても、体調が悪いと良い仕事ができないのと同じで、“一体である”ということを、いかにして気づいてもらうかは難しい点です。「コトマネジメント」と「ヒトマネジメント」の両輪が必要なのですが、コトマネジメントだけだと思っている人が多いです。
また、エンゲージメントという言葉が伝わりにくいという難しさがあります。私の言葉で言い換えるなら、「自分の仕事を好きだと言えること」「チームでお互いリスペクトし合えること」だと捉えています。それって、普段の業務と組織づくりは一体だよねということを、いかに自ら気づいて腑に落としてもらえるかが大事であり苦労している点です。一人ひとりポイントも違うので、手探りしながら取り組んでいます。唯一の拠り所として、「仕事をするなら楽しい方が良い」「このチームで働けて良かった」という想いは、多くの人に共通しているということです。エンゲージメントを、一人ひとりが自分の言葉で語れるようになることを目指しています。
半澤様:Wevoxや1on1というツールを使って、良く言えば浸透してきたけれど、悪く言えばマンネリ化してくる側面もあります。慣れてくるとやるだけになってしまう人もいて、エンゲージメントを高めるためにやっているという意識をいかに持ち続けてもらうかは難しいところです。もう一つは、Wevoxの結果を見て自組織の課題が見えたとして、どうしたら良いのか解決策を聞いてくるケースが多々あります。そこを考えるのがマネジャーの仕事の一つなのですが、教えてもらいたいという傾向はなかなか抜けないと感じています。加えて、即効性を求める人もいて、何かをやれば明日から組織が良くなると期待している人もいます。明確な打ち手や即効性があるものではないので、エンゲージメントを高め組織を活性化していくには時間がかかることです。

エンゲージメント向上は、会社と従業員の双方で取り組むもの

― NEWONEにお任せ頂いた理由、決め手について教えてください。
山田様:アトラエさんからご紹介いただいたことがきっかにはなるのですが、エンゲージメント向上は、会社側だけががんばるものでも、従業員側だけががんばるでもなく“双方向で取り組んでいくもの”という明確な軸があったことです。エンゲージメントをどう捉えているかは各社ごと違うのですが、私の考えと一致したことがNEWONEさんにご依頼した一番の理由です。また、これまで取り組んできた中で、エンゲージメントが高まっていることや組織風土が変わってきていることになかなか気づきにくいということがあるのですが、それを外部の方から伝えていただけることがすごく大事なポイントだと感じています。社内の人間から伝えるより、マネジャーの納得感が全く違います。
半澤様:NEWONEさんとご一緒する中でバラエティに富んだ手法を持っており、魅力的なファシリテーターが多いと感じます。事務局として研修をオブザーブさせてもらうのですが、気持ちをあげてくれるというか前向きになれることが多いです。我々の組織にあったやり方を模索し提案してくださるので、ここまで一緒にやってきて良かったなと思っています。
― このようなエンゲージメント向上の施策は、どんな組織にお勧めしたいですか?
半澤様:今の会社の状態に100%満足しているマネジャーは少ないと思っています。どんな会社でも課題や悩みがあると思うので、やってみる価値はあると思います。特にトップダウンの傾向が強かったり、昔ながらのやり方をなかなか変えられないような風土がある組織にはお勧めです。これからの時代に合った組織体に変化していかなければという危機感を感じているようであれば、ぜひ一度取り組んでみても良いのではないでしょうか。
山田様:企業の成長フェーズに合わせて必要なタイミングがあると思うのですが、変化の激しい現代の状況を考えると、一度組織の状態を見える化することはお勧めしたいです。そのうえで、エンゲージメントを高めることが必要であれば、実施してみると良いと思います。自組織に何が必要なのかを考えるきっかけになりますし、エンゲージメントを自組織の言葉に置き換えて取り組んでみるのも良いと思います。

組織づくりを当たり前に行えるように、行動を起こせるきっかけをつくる

― 今後、3ヶ年目に向けて注力していきたいことや取り組でいきたいことについて教えてください。
半澤様:各部門のマネジャーがWevoxの結果を持ってきて、講師からアドバイスをいただけるような相談会を実施してみたいです。打ち手は自分達で考えるという前提があるものの、なかなか次の一手が打てない、他部門の成功事例を見ても不安なマネジャーもいるので、具体的な施策を一つでもアドバイスいただければ前向きに取り組めると考えています。何かしら行動を起こせるきっかけをつくっていきたいです。
山田様:1ヶ年目、2ヶ年目と違う切り口で、新しい取り組みをやっていかないと温度感を保つのが難しいと感じています。先程もお伝えしましたが、事業推進とエンゲージメントの高い組織づくりは一体であることを伝えたいので、科学的に証明していきたいと思っています。もともとエンゲージメントと生産性や業績の関連性が示されたものがありますが、それって本当なのかということを検証していきたいです。現場のマネジャーやメンバーが目の前の仕事を良くしていくためにも、組織づくりを当たり前に行えることを目指していきたいと思います。
― 本日はお忙しい中、貴重なお話をお伺いさせていただきありがとうございました。今後とも引き続きよろしくお願いします。

プログラム概要

◆受講者アンケート(一部抜粋)

・エンゲージメントを高めるためには、部門のメンバー全体でその施策を立てるということが大切だと気付いた
・エンゲージメントの向上、つまり自発的な貢献意欲を高めるための正しいやり方や正解はなく、「共に考え、作っていく必要がある」ということがよく理解できた
・会社も個人も成長するためには、「対話」「承認」が必要であり、横のつながりをもっと意識することも大事だと気づいた
・1on1は魔法の杖ではない、徐々に成果が出るものであるという点を再認識しました
・1on1は上司のスタンスが義務感や流れ作業といった印象にならない様に、部下のために有意義な時間になるよう意識していきたい
・自部門のエンゲージメント向上というより、自分自身のマネジメントスタイルを点検し、改善点を見出すことができてとても有意義だった
・普段主観的な物の見方しかできないため、第三者目線での分析方法が理解でき、大変勉強になった
・エンゲージメントの大切さや他部門の取り組みを理解できた

NEWONEでは、あらゆる企業のご希望やお悩みにあわせた
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