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NEWONE主催:2020年11月10日開催オンラインセミナー

withコロナ時代、これからの人材育成はどう変わるのか? ~テレワーク下で具体的に変えるポイントを明確にする~

コロナ禍で世の中が大きく変わった2020年。企業の人材育成においても変化が求められています。そこで、2020年11月10日にリクルートワークス研究所の機関誌Worksの編集長を務める佐藤 邦彦氏をゲストにお迎えし、日頃お世話になっている企業様限定でオンラインセミナーを開催させていただきました。 現在起こっている社会変化から今後の人材育成がどう変わっていくのか、具体的に何を変えていくべきかについて、Worksの編集長の佐藤氏と弊社代表の上林のパネルディスカッションの模様をお伝えいたします。

◆パネラープロフィール

リクルートワークス研究所 Works編集長
佐藤 邦彦氏(Kunihiko Sato)

1999年東京理科大学理工学部卒業。同年、アンダーセンコンサルティング(現 アクセンチュア)入社。
業務改善・IT導入支援などのコンサルティングに従事したのち、2003年にアイ・エム・ジェイに転職し事業会社人事としてのキャリアをスタート。7年半の在籍中、採用、育成、制度運用、組織開発、労務などを幅広く担当し、後半はチームマネジメントを経験。
2011年にIMAGICAグループに移りグループ人事を担当、以降、2014年よりライフネット生命にて人事総務部長、2017年より電通デジタルにて人事部長を歴任。
2020年4月よりリクルートワークス研究所に参画、現職。
2017年東京理科大学大学院経営学研究科技術経営専攻(MOT)修了

株式会社NEWONE
代表取締役 上林周平

大阪大学人間科学部卒業後、アクセンチュアに入社。BPRコンサルティング、民営化戦略立案等に従事し、2002年、株式会社シェイク入社。
企業研修事業の立ち上げ、商品開発責任者として推進し、2015年より株式会社シェイク代表取締役に就任。
2017年9月、これからの働き方をリードすることを目的に、エンゲージメントを高める支援を行う株式会社NEWONEを設立し、ソフトバンク様はじめ多くの企業の支援を実施。

◆モデレーター

株式会社NEWONE
取締役 葛西健一郎

大学卒業後、大手印刷広告会社へ入社。
最年少で昇格し 2008年、株式会社シェイクに転職。
営業統括部長に就任してからは、3年連続目標達成へ導き、その後管理部門長として会社の経営にも携わる。
2018年、株式会社NEWONE取締役に就任。
営業統括として生産性向上・働き方改革などの支援を行っている。
またファシリテーターチームの責任者も兼任しており、多くのファシリテーターの採用、育成を行っている。
自身としても大手専門商社、大手メーカー各社など、業種業界問わず登壇経験があり、
内定者から経営層まで幅広く研修やワークショップで登壇をしている。

withコロナ時代、これからの人材育成はどう変わるのか? ~パネルディスカッション~  

葛西:本日は、リクルートワークス研究所のWorks編集長の佐藤様をお招きして、

withコロナ時代、これからの人材育成はどう変わるのか?
~テレワーク下で具体的に変えるポイントを明確にする~

と題しまして、弊社代表の上林とのパネルディスカッションを通して、日頃大変お世話になっている皆さまに、一つでもお役立ちいただける情報をお持ち帰りいただければと思っています。改めて、本日はどうぞよろしくお願いいたします。

2020年2月、新型コロナウィルスの影響で研修を企画されていた皆さまに置かれましては、4月の入社受け入れ準備のタイミングとも重なり、各社対応に追われ大変なご状況にあったかと思います。今年は何とか「対応」することで乗り切りましたが、2021年度に関しては、どんな「対策」をしていくべきなのか、ここから皆さまと一緒に考えていきたいと思っています。

では、さっそく以下の質問について、投票機能を使って皆さまの実情を伺ってみたいと思います。


▼投票

Q1:半年間でオンライン研修を実施しましたか?

はい:98%
いいえ:2%

Q:オンライン研修はうまくいっていますか?

はい:54%
どちらとも言えない:44%
いいえ:0%
実施していない:1%

▼Chat(一部)

Q:うまくいったポイントは?

・意外に習得度が高い。
・伝えたいことが一人一人に確実に届くこと。
・全員が議論に参加出来やすかった。
・ブレイクアウトセッションを活用しグループワークを多めに入れたこと。
・チャット機能をうまく使うことで、参加者全員の声が拾いやすい。
・全員の意見を可視化でき、集中できた。
・ブレイクアウトで、ディスカッションなど、も対面と変わらずできた。
・現場など、本社以外の社員が参加できるようになった。
・事前のルールについて細かく伝える工夫をした。
・拠点の研修機会均等に一歩近づけた。
・移動のストレスから解放された
・動画もとれて研修後のフォローアップにも使えた。
・リラックスできる環境で集中度合いが増したように思える

葛西:この結果をご覧になって、佐藤さんいかがでしょうか?

佐藤様(以下敬称略):オンライン化が必須だったと思いますので、アンケート結果通りかなと。「うまくいっている」「どちらとも言えない」という理由は、この3つに分かれる気がしています。

  1. オフラインと比較して問題がない
  2. オンラインの方が、メリットがたくさんある
  3. オフラインの方が良い

この辺りに、何かヒントがある気がします。

上林:オフラインでは、リーダーシップのある人に任せて何も発言しない人もいます。一方でオンラインは、一人ひとりが意見を発信できるようになったことが良かった点だと思っています。時代の流れも個を見ていく個別化の時代になってきているので、研修のあり方もそう変わっていくべきと考えています。

佐藤:先日、ある大学の先生を取材したのですが、今、大学の授業もオンラインで実施しています。教室の前に座る学生と後ろに座る学生には意欲の差があると思っていたそうですが、オンラインになって、どうも座る席と学習意欲には相関関係がなかったのではないかということがわかってきたそうです。以前は、前に座っている学生が意欲的で、後ろに座っている学生は意欲がないと勝手に思っていたとのことです。

これは、研修やマネジメントにおいても同じことが言えるのではないかなと。例えば、朝早く出社して夜遅くまで働いている“風”な人と、効率よく時間や場所を選んで働いている人がいたとして、果たして仕事の中身と見た目の印象は同じなのか、ズレてるのではないかなと。

葛西:これまで、いかに我々が雰囲気やムードに流されていたか、ということですね。

佐藤:それを、多くの人が「プロセス」と言っているのではないかと思います。よくテレワークは、プロセスが見えなくなったと言われますが、それはプロセスではなく、働いている“風”に見えていただけだったのではないかなと。

オンラインとオフライン研修は、今後どのように設計するべきか

▼投票
Q:オンライン研修を増やしていくつもりですか?

はい:77%
どちらとも言えない:22%
いいえ:1%

葛西:「どちらとも言えない」が22%いることも、この後見ていきたいポイントですね。実は、今日のご参加者様から事前にいただいたご質問で一番多かったのが、「オンラインとオフライン研修の割合、今後どのように考えて設計していけば良いのか意見がほしい」というものでした。

佐藤:上林さんともぜひ、今日お話したいと思っていたのですが、私はオンラインかオフラインかのどちらが良いか悪いかの話ではないと思っています。オンラインがメリットを発揮するパターンもあれば、リアルが良いパターンもあります。さらに、あるテーマにおいて、この会社にとっては、リアルが良いけど、別の会社にとってはオンラインの方がメリットあるというケースもあると思います。

「オンラインでも全く問題なくリアルと遜色なく研修ができた」 
「オンライン研修の方がリアルよりメリットがある」
「オンラインでは効果がなかった」

という、この3つをきっちり整理することが必要です。世の中の正解はなく、会社ごとに違ってくると思っているので、しっかり考察をして、この部分はリアルでやります、この部分はオンラインでやるというように、ハイブリットで組み立てていくのが良いと思います。

上林:ほぼすべての研修がオンラインでできるというのが、この半年の結論だと思っています。一方で、やはり同期間の関係性や、社会人としての所作という点は難しい面もありました。オンラインかオフラインかも大事な論点ですが、もう一つ大事なテーマが、「同期」「非同期」があると思っています。同時は、同時に一斉開催するか、非同期は動画やeラーニングを活用し自主的に学ぶものになるのですが、「同期」「非同期」の方がこれからは大きな論点だと考えています。

学習能力のスタート時点は人によって違いますので、オンライン、オフラインと共に、「同期」「非同期」を考える必要があります。例えば、個人力を強化したければ、以下図の右側が大事になってきます。同期は一斉に集まるという強制力と対話による内省がメリットですし、非同期は、知識インプットなど集中して学ぶには適正かなと思います。佐藤さんがおっしゃるように、会社や受講者の状況によって変えていくことが大事だと思います。

佐藤:この図(上記)は、大変わかりやすいですね。さらに加えたい要素が「主体性」です。テレワークになって、特に「自律」と「信頼」が大切になってきているとお話する機会が多いのですが、一人ひとりの主体性が肝になってきます。特にオンラインで非同期というものになってくると、意欲があって必要性を感じている人は、どんどん学習して成長していきますが、そうでない人はいくらでもさぼれます。一方で、同期の中には無理やり集められている人もいるので、主体性があり意欲のある人は吸収して伸びていきますが、そうじゃない人は、そこそこ吸収する程度になります。そういう人は効率が悪いのでカットするという判断もあるかと思いますし、仮に意欲がない人でも集めることで、強制的に少しでも学ばせるという判断もあると思います。これも会社によって分かれるところだと思います。

葛西:会社によってこの割合を分けていくとした時、どこを見て、どこから考えていくのが良いのでしょうか?答えもないし、抽象度高い質問にはりますが、ご意見いただけますでしょうか。

上林:個社の業務特性や研修の目的から分解して考えていくことが、これまでも大事でしたし、これからも必要だと思います。加えて、来年度の新人研修にフォーカスして考える上で押さえるべき重要なポイントは、大学でオンライン授業を受けて来ているということです。ここが、今年と来年の新卒の大きな違いかなと思います。学習意欲が高くオンラインで積極的に学んできた人が、入社してオフライン研修ばかりだと逆に違和感を感じることになるでしょう。内定者のオンラインリテラシーがあるかどうかも考慮すべき点だと思います。

佐藤:上林さんのお話を聞いていて、理由付けが、これまで以上に必要になってきていると感じます。「自分達の会社」が主語で良いと思うので、こういう理由でこの研修はオフラインでやります、これはオンラインでやりますということを明確に言える理由が必要だと思います。これは、研修だけではなく働き方にも言えることで、一方的に出社が必要ですと言うのではなく、この業務はこういう理由で出社が必要で、この業務はテレワークの方が集中できますという理由付けが必要になってきます。

テレワークは「自律」と「信頼」をベースに「主体性」が求められる

葛西:説明が増えていくということは、これまで以上に各社の人事様やマネジャーの負担も増えていくという状況ですね。

事前にいただいた質問で次に多かったのが、コロナ禍でテレワークが当たり前となる中で、我々が今後「育成すべき人材像」についてです。各社の状況や目的が違う中でも、特にこの能力を高めていく必要がある、どんな人材を育てていくべきなのかという点について、ご意見をお聞かせいただけますでしょうか。

佐藤:コロナ禍で良くも悪くも働き方のターニングポイントを迎えており、多様な働き方が許容されていく世の中になっていくと思います。そうすると一番大事になってくるのは、個人と会社の関係性で「自律」と「信頼」ということが一つテーマになってきます。個人に目を向けた時には、いかに主体的な人材を増やしていくか、育成していくかが必要で、マネジメントの方向をそちらに向けていくことがテーマになってきます。

「部下の状況が見えなくなってしまった、さぼる社員をどうしたらいいのか」という話になると思うのですが、それは、まず社員が自律していない、主体性がない、管理職はメンバーを信頼していないことが前提にあるのだと思います。そういう組織や職場もありますが、主体性をベースに仕事を進めていかなければならない組織もそうなっているのだとすれば、そこは変えていかなければならないと思います。

葛西:まずは、自律と主体性を引き出すかというところですね。上林さんはいかかでしょうか。

上林:弊社が管理職の方を対象に実施した調査結果があるのですが、「テレワークで活躍している社員が特に保有している能力は何ですか」という問いに、「主体性」という回答が一番多い結果になっています。次いで、「実行力」や「発信力」という結果です。

テレワークで活躍するために必要な能力とは?~管理職に聞いたテレワークの実態と活躍する人の特徴~

「主体性」が大事というのは私も同意見ですが、では、どのようにして「主体性」を育成するのかが難しい論点だと思っています。我々も日々試行錯誤しながら考えているテーマなのですが、佐藤さんは、これまでのご経験から何をしたら「主体性」を引き出せるか、良い方法はありますでしょうか。

マネジメントの肝は、いかに「乾かす」かである

佐藤:主体性を引き出すことは、マネジメントの永遠のテーマです。主体性を持ちなさいと言うことや、主体性のある人材を採用しますというのは違うと思います。主体性の育成は、マネジメントが肝だと思います。私が以前人事をやっていた時に、育成やマネジメントについて考えた時、すごく大事だなと思ったとこが、いかに「乾かす」か、ということです。「乾かす」とは、主体性を引き出すということなのですが、研修を提供しているNEWONEさんの前で言うことにためらいますが、ここに集まっている皆さんが振り返ってみて、研修で育った経験はありますか?自分が一番伸びた瞬間を振り返った時、どうでしょうか。例えば仕事で何か失敗をして、ここの能力が足りなかったからだということがわかれば、自分で本を買って学ぼうとします。つまり、学ばなければならいという危機感がある状態が「乾いた」という状態です。上司は「乾かせ」ということをよく伝えていました。

人事が用意した研修に、自分の部下が受けに行く時、何もしないマネジャーがすごく多いです。研修があるということすら知りません。マネジャーが何をするべきかと言うと、1on1などで「A君はこういうところが得意だけど、こういうところが苦手だよね」というコミュニケーションを日頃からしておくことが重要です。そして、実際、仕事でうまくいかなかった時に、やっぱりここの筋力が弱いのかなということを“自分で気づく”マネジメントを常にしておくことです。仮にその弱いところを強化するトレーニングがあれば、自分でトレーニング言ってきますというような状態に持ってくることです。もしくは、こういうトレーニングがあるよと教えてあげれば、本人が自ら受けに行くという状態です。

また、上司がどんな研修内容なのか把握することで、事前に「あの研修はA君の苦手とする〇〇にフィットするので吸収してきなよ」って一声かけてあげるだけで、主体性も生まれるし意欲も違ってきます。研修から戻って来たら、これまた上司が何もしないことが多いのですが、「あの研修どうだった?」と声をかけるだけで全然違うと思います。私も声をかけない上司だったことがあるので、自分の反省も踏まえてお伝えしています。

人事の方の中には、プログラムを体系化して良質なコンテンツを用意して、それで仕事が終わっている人もいますが、それは人事としての仕事の2~3割程度かなと。もちろん、大事なことですが、用意した良質なコンテンツに参加させるまでに、マネジメント側にも前工程のかかわりと、後工程のかかわりを示唆することで、学習効果が全く変わってくると思います。

葛西:日頃いかに現場のマネジャーが、メンバーとのコミュニケーションを多く取って、この筋力が弱いだろうということを気づかせてあげられるか、ならびに研修の前後で適切なフォローをしてあげることで、本人の主体性や学習意欲が変わってくるということですね。

「人は自分が育てられたようにしか、育てられない」ということを認識する

上林:Worksで「オンライン元年」というタイトルで発行されていましたが、佐藤さんの締めの言葉として、「マネジメント元年」とおっしゃっていたのがすごく印象的で、現場の管理職がいかに変わっていくかがキーであるなと思っています。30年くらい前のTVCMで、「24時間戦えますか」というキャッチコピーがありましたが、その世代に入社して育ってきた管理職の方が多い中で、違うやり方で育成するということが難しいことだなと。だからこそ、難しいということを前提に管理職の方々の意識を変えたり、支援をしていくことが我々としてもすごく大事だなと思っています。

佐藤:私もよく管理職の方に対して話していたことが、「人は自分が育てられたようにしか育てられない」ということを自分で認識しなさいと。自分がどういう環境で、どういう上司の元で育ってきたのかを振り返ったうえで、それがすべて正しい訳でも、時代に合っているわけでもないので、客観的な目線で継承するべきものと時代に合わないものを整理した方が良いと。これは、人間の逃れられない性なので、自分が育てられた方法しかわからないので、違うと思ってもついやってしまうということがあるものです。その特性をまずは理解して、現代のマネジメントのセオリーを学び、自分の育てられ方がセオリーとズレてるところを見て、良いところは残し、変えるべきところは変えて自分の形を作っていくことが必要です。

https://www.works-i.com/works/no161/

管理職が「裁量」と「主体性」を持ち、「何をやって、何をやらないか」のアジェンダを設定する

葛西:管理職の方は、現状大変お忙しくかつ意識するべきことも多い中、人事の方は管理職の方に、あれもやってください、これもやってくださいと言う状況になりますが、管理職の方に何を一番にお伝えしたら良いのでしょうか。

佐藤:テレワークになって急激に忙しくなった管理職の方が増えているという声を、私もたくさん聞くのですが、その状況を少し紐解いていくと、自分で仕事を抱えてしまっているパターンが多いということです。メンバーの自律を信用していないので任せられず、自分でやってしまっているということです。オンラインになって、仕事を任せる上でも説明するのがすごく大変になってしまっていて、伝えることが面倒で抱えているという状況です。もっとメンバーを信頼して、失敗してもいいからやってみるというやり方で、手放していかないといけないと思います。逆にメンバー側は、テレワークで余力が生まれて副業の面談が増えているという情報もあったりしますので。

上林:メンバーとのグリップやエンゲージメントが、より大事になってくると思います。また、情報をいかにオープンにするかも大事です。これまでは、役職者が情報を多く持っているというケースが多かったですが、これからは情報を全体にオープンにして皆で推進していくという方向に意識転換を図っていく必要があります。以前、あるコンサルタントの方が働き方改革の講演で日本企業の生産性を向上するために何か必要か問われた時に、即答で「アジェンダ設定」ということをおっしゃっていました。何をやって何をやらないかの判断ができる人を管理職に置くべきだということです。全部やることが正しいと思っている日本企業は多く、管理職だけではなく役員の方をも含め、何をやって何をやらないかを決めていくという文化を作っていく必要があると思います。

葛西:確かに役員の方にもそういった考えを浸透していかないと、管理職だけ意識転換しても難しい面がありそうですね。

佐藤:その点も「裁量」と「主体性」の話かなと。テレワークで働き方が変わって、リアルでやっていたことをオンラインで全部やろうとすると時間がかかったり手間がかかったりすると思います。この仕事をやるかやらないかを整理する必要があります。

上林:「裁量」ってすごく大事ですよね。裁量があるからがんばれるってこともありますし、裁量なくして主体性は生まれないと思っています。意外に、現場のミドル層(課長層)の管理職は、裁量がないと思っている方が多いです。

葛西:管理職の方に「裁量」を持っていることを理解してもらうことや、ドラッカーの言っている劣後順位の話を改めて理解してもらうことも大事ですね。

「良いプレイヤーが良い管理職になるとは限らない」管理職になるステップも見直すタイミングである

 佐藤:マネジャーになっていくステップも見直す時期なのではないかなと思っています。プレイングマネジャーと呼ばれるように、日本はプレイヤーとして優秀な人がマネジャーになっていく仕組みになっています。それがうまくいくケースもありますが、ハイパーなプレイヤーはそのままプレイヤーとして活躍してもらった方が組織貢献度が高い場合もありますし、逆にプレイヤーとしては標準レベルでもマネジメントの適正がる人が結構いると思っています。日本企業では、そういった人を発掘育成するシステムがあまりないです。私はスポーツが好きなので、スポーツに例えるとハイパーなプレイヤーが、必ずしも良い監督や指導者になるとは限りません。日本では、まだまだ名プレイヤーが良い指導者になるという考え方が根強いですが、欧米では、相当前から考え方が変わっていて、早くから指導者コースというのがあります。優秀なプレイヤーをそのままステップアップさせてマネジャーにする考え方は変えた方がいいです。

往々にして、優秀な人はできない人の気持ちがわからないことが多く、メンバー指導ができない人がいます。必死で追いついてきた人の方が、メンバーマネジメントに向いているケースがあるのですが、そういう人がマネジャーにピックアップされないケースがあります。マネジメントコースの早期育成コースに乗せていく方が良いと思いますし、気づき始めている人も多いと思います。

葛西:チャットに「管理者は孤立しやすいので横のつながりがつくれると良いですね」と流れていますが、横のつながりをつくっていく上で我々がきることは何でしょうか。

上林:管理職研修の一番の効果はここにあると思っていて、オンライン上でも一同に集まって悩みや課題を共有することで、他者も同じような悩みを持っていることがわかったり、自分だけではないということを認識することが多いように思います。同期型(同タイミングで受ける)の研修のメリットでもあるので、そこを享受しないのはもったいないです。そういう意図を含めて設計することも大事です。

佐藤:私が人事をやっていた時、管理職以上の研修においては、何を学ぶかということと同じかそれ以上に、横のつながりが目的化されていた気がします。管理職は、メンバーには弱みを見せられない、特に新任の方はそういう傾向があり、上司に対しても成果を出さないといけないので、上にも下にも弱みを見せられず物凄い緊張感の中にいるわけです。新任管理職に同じタイミングでなった人を集めると、同じような不安を抱えていますし、同じような課題にぶつかります。研修などで一同に集めることで、弱みを見せれたり、本音で語れるネットワークや居場所を作ってあげて横のつながりを強化することも大事です。

葛西:ここまで管理職の方のかかわり方、教育施策の中でどんなことやっていくかをお話いただきました。もう1つ投票を用意しておりまして、ご参加者の皆さまにお答えいただきたいと思います。

▼投票

Q:育成体系や研修テーマを変更するつもりですか?

はい:60%
どちらとも言えない:27%
いいえ:13%

▼Chat(一部)

Q:変更するポイントは?

・管理職のみならず、すべての階層別研修の中に「対話」や「コミュニケーション」の要素を織り交ぜていこうと考えています。
・研修では無いですが、マネジャーやメンバー個々が孤立しない仕組み、仕掛けを考えていきたいです。孤立、不安でメンタルに来る社員もいるので。
・育成目線を重視した評価者敎育、ジェネラリスト育成から専門性重視への転換。
・全体の育成体系を見直し中で、各階層に対して提供する強制/任意研修のプログラム内容(スタンス、ポータブルスキル、テクニカルスキル)や、オンライン/オフラインの見直し。
・マネジメントのレベルが二極化しているため、マネジメント育成を強化していきたい。1on1や日々のコミュニケーションなどの下地部分を特に。
・また新入社員育成で恐縮ですが、主体性と紐づけた時、当社では「書く」がこれまで重視すべき課題と考えておりましたが、発信力という意味では「話す」の比重が大きくなってくると考えております
・既任管理職へのアプローチ増やす(意識や姿勢面)、メンバーのキャリア感(自立)強化と考え中。
・研修前の一言、研修後の一言が自然に出てくるようになるようになるまでは、こちらからきっかけをつくっていきたいです。また新人については大学でオンライン授業を経験していることを考え、オフライン/オンラインの項目をしっかり吟味したいと思います。
・自分のキャリアを主体的に考え、その実現に向けた能力開発を応援する教育体系への見直しを考えています。
・研修だけでなくマネージャーの登用基準や裁量の部分も変えていく必要性を感じました。
・マネジメント層に価値観の相違を理解したうえでコーチできる対話力。

曖昧さに頼る時代は終わった。これからは全部説明が必要な時代

上林:テレワークで、評価が難しくなったという相談を多く伺うようになったのですが、佐藤さんにも、評価をどうしていくべきかという相談は増えていますか。

佐藤:あります。「マネジメント元年」の要素の一つでもあるのですが、「テレワークになり評価できなくなりました、部下の状況が見えなくなりました」と言う人がいますが、それは、「見えなくなった」のではなく「見ていなかった」だけです。目の前に座ってがんばっている姿が見えなくなっただけで、これまでも仕事の出来栄えは見えていたはずなのです。ところが、仕事の出来栄えを評価していなくて、他の雑音や雰囲気で評価していて、それがなくなって困っているのだと思います。いい機会なので、本質的にどの仕事をどのレベルでやっていて何が収めているのかを明確にすることです。そして、それをやるやり方は、仮に家でパジャマを着てやってようが、どの時間帯にやろうが関係ないということになります。

葛西:私も管理職の方に研修でお会いする機会が多く、いかにこれまで曖昧な言葉で仕事をお願いしていたかがわかったとおっしゃる方が多いです。

佐藤:最近、JOB型の話も増え制度の話になりがちなのですが、制度を変えるという話ではありません。まずは、目先の自分の仕事の解像度を上げること、それをメンバーにアサインして渡す時の具体性を明確にすることです。最初にそこをやるべきであって、会社の制度としてJOB型にするという話ではないと思います。

これまで曖昧さに頼ってきており、曖昧さに頼るには、組織に対するコミットメントやエンゲージメントに頼っていたのだと思います。「会社のために自分がやれることは全部やります」という感じで、それは日本的な「阿吽の呼吸」と言われ、曖昧さが許容されてきたわけです。もちろん良さもあるのですが、これからは、ゼロベースで全部説明して育成してく時代です。特に若手に昔はこうだったなどと話しても一ミリも理解されません。

上林:チャットにも挙がってきますが、「コンテクストな日本文化のコミュニケーションからの転換」ということも大事ですし、一方で、メンバーサイドも自分がやった仕事の成果を具体的に説明できるかという能力も問われてきます。そういう意味で一人ひとりが変わっていかなければなりません。

テレワークは、マネジメントの課題が顕在化したに過ぎない

葛西:チャットに、マネジャーが二極化していると書き込んでいただいた方がいますが、マネジメントがうまい方は、テレワークの環境でもうまくやっている印象があります。そうでない方が、テレワークになってさらに悪くなっているという印象があるのですが、佐藤さんはどうお考えですか。

佐藤:その通りだと思います。これまでごまかせていたり問題が顕在化しなかっただけで、よくよくテレワークになった課題を紐解いていくと、以前からある課題が顕在化しただけだったりします。部下の働きが見えなくなったというのも、これまでも見えていなかったということになります。マネジメントとは何だったのかと、何をするべきか働き方も多様化しているので、それを再設計する必要があると思います。

人事は現場に寄り添い、適切なタイミングで適切な武器を渡す

葛西:ここまでのお話を踏まえ、我々人事が担うべきことは何でしょうか。マネジャーの育成が大事、「乾かす」というお話などもありましたが、改めてまとめるとどんなことが言えるでしょうか。

上林:オンライン研修をやる時になぜやるかを伝えることが大事だとありましたが、すべての人事施策もそうですし、もっと言うと会社のビジョン浸透や存在意義など、Whyの伝達をしていくことが大事かなと多います。Whyがないと主体性は発揮されないと思っています。もう1つ大事なことは、マネジャーが大変な中、いかに現場のマネジャーを支援するか、武器を渡すか横で並走することも大事になってくると思います。

佐藤:上林さんのおっしゃる通りです。これから本当に正解がない世の中になっていきます。出社とテレワークの割合なども、すごく価値観が多様化し分かれていきていると思います。そこで、大事なのは説明することで上林さんの言う「Why」です。そして、その説明や理由に対して、メンバー一人ひとりが決断していく必要があります。決断していくと主体性が生まれるので、一人ひとりに決断を促し主体性を促すこと。今日一貫してお伝えしていますが、人事の仕事は現場を支援していくことです。上林さんが武器を渡すとおっしゃっていましたが、前線で戦う現場の人達の近くで、何が必要で、何に困っていて、どんな戦いをしているのかをしっかり理解すること。そのうえで、適切なタイミングで適切な武器を授けたり、人をアサインしたりすることをやるわけです。それが人事の方に求められる役割かなと思います。現場の戦いの難易度が高くなっているので、現場で戦っている人に寄り添って求められるものが何なのかを感度を上げて、リアルタイムで提供していくことが大事かなと思います。

葛西:組織を運営していく人事の方の価値観やポリシーが、これまで以上に要求されてくるかもしれませんね。

佐藤:仕事の効率の感じ方が、管理職とメンバーでは違う結果が出ていますという質問が来ていますが、現場で戦うマネジャーの状況を理解します、その下にアサインされている兵士たちの状況も理解しますということを行うと、絶対にズレが生じると思います。テレワークもうまくいっていますかと聞くと、経営と管理職とメンバーに聞いた話では、必ずズレが出てきます。このズレを、人事や経営企画の人が考察をして、なぜこのズレが生じているのかこのズレが意味するものは何か、どこのズレを是正する必要があるのか、このズレを是正するためにどんなアクションが必要かを考えて対応していく必要があると思います。

主体性の一歩目は、「自分で決める」こと

葛西:お時間も迫ってきましたので、ここで本日の気づきや感想をチャットに書き込んでいただきたいと思います。

上林:本人の選択って大事ですよね。主体性の一歩目は、自分で決める、判断するという事象だと思います。それをなくして、行動だけ促すのは違うと思います。

佐藤:これは管理職に求められる絶妙なスキルだと思っていて、例えば研修一つを取っても「この研修を受けなさい」と指示をして、「はいわかりました」というコミュニケーションと、「こういう研修を受けられるけど、どう?」と聞いて判断を任せるのとでは、全然違います。

上林:弊社の新人研修で、自分たちで自己学習して同期に研修を作って実施するという研修があります。実際にやってみると、自分で新人として何が大事かを考えて、決めて同期に対して実施するということをやるので、一方的にやらされるより、圧倒的に吸収力が高いです。そういったものも、こちらでうまくハンドリングして設計することが大事です。

葛西:では、最後に上林さんからご参加者の皆さまに一言お願いします。

上林:最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。何十年に一度と言われる人事業界の大きな変化のこの一年だからこそ、我々自身が先手を打って変わっていく必要があります。ぜひ、皆さまと一緒に考えて先手を打っていきたいと思っています。答えのない時代だからこそ、このような機会を通じ知見を共有できたことに改めて感謝いたします。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

▼Chat(一部)

Q:本日気づいたこと、感想

・理由付けをして、本人の選択を促していく大切さを感じました 
・自立と信頼+主体性
・「いかにかわかすのか」という表現が新鮮でした。
・渇望感、本人の選択など、主体性を引き出すポイントが大変勉強になりました。
・学びにおいて、主体性と上司マネジメントが重要ということが特に印象に残りました。
・オンライン・オフライン含めて選択肢が多様化している中で、「階層別研修はやるものだ」の部分から説明責任を果たす必要性を強く感じました。
・テレワークが中心となった働き方でどのようなマネジメントが必要なのか、課題があるのかがとても参考になりました。
・なぜやるのか、研修だけでなく普段の業務も含めて説明が大切だということ、また「いかに乾かすか」上司と部下の関係づくり、とても勉強になりました。
・オンラインとオフラインの議論から、マネジメントに関する議論まで非常に興味深かったです。オフラインへの郷愁は幻想の部分もあるんだなと思いました。
・管理職の求められることが大きく変化しており、人事としても対応を図っていく必要があると認識しました。
・良いコンテンツ並べて、体系化して終わりではなく、大事なのはそのあとの上司の声掛けだったり。渇きの提供というのが主体性を生むというのが、印象に残りました。
・主体性を引き出すポインを得られ勉強になりました。
・主体性の重要性を改めて認識しました。
・自己決定(自律/主体性)を行うための「説明」の重要性
・自立、信頼、主体性、今後の育成において特に重要であること。
・個々の主体性と、マネージャスキルの向上が必要と感じました。
・主体性⇒渇望させるというメッセージが印象的でした。なぜ各種の研修が実施されているのか、今一度すべて理由がきちんと説明できるか確認をしたいと思います。
・管理職の強化の重要性をひしひしと感じました。
・これからの時代の研修設計に必要な観点など大変参考になりました。
・主体性の点もそうですが、FY21の新卒は今年度に比べてオンラインに慣れているという点にハッとしました。今後新人研修を組み立てるうえで参考になりました。
・主体性の重要性を改めて実感しました。「やらされてる感」を持っている社員が多いと感じていたので、今後の課題は多いと感じています。
・個々の経営・マネージャー・プレイヤーにあった支援ツール(研修等)をどう、タイミングよく提供できるかは永遠の課題だと思いました。個別化に対応してく、「背中をおす人事」ができるよう意識してく必要を感じました。
・「なぜ」を説明をすることが大事と改めて感じました。
・「主体性」を引き出すアプローチの話しが非常に勉強になりました。
・主体性を生み出すために渇きを生み出すこと、自分で判断する機会を提供すること。
・アジェンダ設定は非常に重要なことと、ひしひしと伝わってきました。私は管理職ではありませんが、ボトムアップでもアジェンダ設定を促していきたいと思います。オン×オフ×同期×非同期については、絶賛FY21の新入社員研修を設計中なので、対応→対策として、一つのカタチを醸成するのに参考にさせていただきます。
・マネージャーになるステップを見直す辺りの話、必死で追いついてきた人の方が管理職に向いている可能性がある。早くピックアップしてマネジメント育成にのせていくことが大事。という所は改めてそう感じました。
・テレワーク元年=マネジメント元年。マネジメントの前後のフォローが大事。「主体性」がキモ。
・マネジメント層に武器を渡すという言葉に共感しました。また、部下の受講する研修にもっと興味をもってもらえるような働きかけを考えていきたいです。
・主体性を引き出すためのアプローチ、これまでの施策をあらゆる角度から見直すことの必要性を痛感しました。
・コロナでさらにマネージャーの役割の重要性(負担?)が増していると思います。マネージャーに武器を与えて、並走する意識を持つこと。大事だと思いました。
・まさに、悩んでいるんは自分だけではない、ということを改めて気づかされました。「マネージャは乾かす」は印象的でした。
・管理職⇆新卒のコミュニケーションの仕方がとても参考になりました。
・正解がない時代に、社員の自主性・自律性は会社のキーになる。
・受講者やその関与者に説明し、腹落ちさせる重要性を再認識しました。今まで”前年踏襲”であることに甘えていました。
・マネージャーとしてのあり方を考える時期と思っていましたが、人事の役割も考えなきゃですね。私たちのポリシーや考え。ズレに対する考察とアプローチ。すごく参考になることばかりでした。
・研修だけではなく、あらゆることが「マネジメント元年」だと考えることによって、自分がいかに旧習に縛られていたかを実感しました。
・渇望感をいかに引き出すか考えてみたいと思います。
・本人の学びの意欲向上に必要な要素「渇望感」「上司の能動的な働きかけ」、ジョブ型議論における重要な視点「全社的な視点での議論」「現場レベルでの具体的な業務アサイン」スキルとしてはアジェンダ設定(何をやって何をやらないかの判断力)と指示の曖昧さ排除
・具体化といった研修が管理職に必要だと感じました。一方で、研修でどうにかならない要素、マインド(全部やることが美学、自分の時はそうだった、話の起点が自社限定など)を変えていくかが見えていない。
・「主体性」「信頼」という言葉はこれまでも使ってきましたが、今後もっと深耕して、自社なりの主体性の高め方を編み出していきたいと思います!
・主体性を促すには、社員が会社で働くことの意義を整理する必要があって、会社は社員を育成することが事業成長につながると本気で示すことなんだと思いました。

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※※ アフタートーク ※※

葛西:アフタートークは、まずはこの質問から伺ってみたいと思います。

Q:テレワーク環境下で、さぼる社員をどうしたら良いですか?

佐藤:どういう状況を指して言っているのか聞きたいですね。例えば、すごくわかりやすい例でいうと、私が学生時代にしていた2つのタイプのアルバイトのお話をします。一つ目は、とある飲食店でアルバイトをしていたのですが、そこは、やることが決まっているので完全にマニュアル化されており、さぼりたいけどさぼれない状況にありました。もう一つは、家庭教師のアルバイトです。これは、目の前の学生を合格させるという成果が求められます。その成果に対して、何をするかを自分で考えて提供します。それをさぼるということは、その仕事(家庭教師)をする資格がありません。この2つのアルバイトは、仕事の種類が全く異なるものです。マニュアル化されたタイプの仕事は、さぼらせないよう管理することも必要だと思います。主体性ドリブンやホワイトカラーワークの仕事においては、さぼる・さぼらないは関係なく、仕事の成果とステップをしっかり管理すれば、やり方はどうでも良いのかなと。結果コミット型の働き方の人に対して、見た目の印象などでさぼっていると言うのは、少し違うのではないかなと。

上林:これまでのマネジメント環境が、製造業文化をメインとしたものだったこともあり、労働時間型管理が会社としても管理職としても根強くあると思っています。総労働時間管理ではなく、最終成果型管理に変わるかどうかがキーになります。私も3年ほど前からここは変えていきましょうとお伝えしています。一方で、日本の法規制では労働時間を管理しなければならいため、どうしても時間管理をしてしまうところがあり難しいなと感じています。

佐藤:おっしゃる通り、法的なものとの兼ね合いがあるのでどうしても抜けられないです。日本の法を変えていかないといけないという話になります。

上林:最終成果マネジメント型に、管理職の方の意識をシフトしていかなければならないってことですよね。

佐藤:メンバーに「裁量」を渡すことになるので、「主体性」の発揮にもつながる可能性もあります。

葛西:オンボーディングの観点でのご質問も上がっています。社員の方とのコミュニケーションが減っていく中で、新卒や、中途の方が会社に入っていくことの難易度が高まっています。

Q:テレワーク下での新卒や中途社員のオンボーディングは、どのようにしていくべきでしょうか?

上林:オンボーディングのゴールは何かを定義する必要があると想います。スキルや知識を得ることなのか、周りとの関係性やコミュニケーションなのか、そこがはっきりしないため難しくなっているというのが1つあると思います。もう1つは、オンボーディングという言葉には、同じ船の乗組員として一緒に乗っていこうという意味もあるので、お客様として乗せるわけではなく同じ乗組員になるということ、同じ方向を向くことがゴールであると定義して、受け入れるトレーナーやマネジャーがコミュニケーションを取るということが、今まで以上に大事になってきています。

佐藤:この環境ですと、難易度の高いお題ですね。私自身この4月から転職したので、当事者です(笑)。私の場合のオンボーディングは、ミッションが超具体的です。Woks誌を2ヶ月に1回クオリティを担保して発行していく、そのためのチームがあるので、それをリードするというものです。中途採用のオンボーディングのヒントとしては、役割や何が求められているかが明確なのでオンボーディングがしやすいです。中途社員は業務をある程度明確にすること、プラスアルファ他部署のつながりや斜めのつながりは、うまく場をつくってプロジェクトなどにアサインし、オンライ上で運営していくということを行っても良いと思います。

ただ、問題は若手ですね。若手は孤立してしまう。横のつながりや縦のつながりを、人事や現場側でうまくセッティングしてあげないといけません。

上林:テレワークだと、若手から発信しづらいこともあります。新卒が必ず発信する場や機会をつくるなど、発信しやすい環境をつくることも大事です。

葛西:ここまでお話をお伺いしていると、テレワークでは、会社側が場を提供してくことはもちろんですが、自分から動いていく主体性も大事だなと思いました。

前半の「乾かす」ということにおいて、上司の伝え方次第では、パワハラになってしまう可能性がないかというご質問が挙がっています。渇望感を与えるにあたって、伝え方やスタンス面は、どう工夫していけば良いでしょうか。

Q:渇望感を引き出す際に、上司の伝え方次第でパワハラのように感じ取られないかが気になります。何かコツはありますか?

佐藤:「あなたはこれが足りないから、これを受けなさい」というのは強制と同じです。そういったパワハラっぽくなるかかわりは、「乾かす」にはなりません。1on1をやっている会社が多いと思いますが、日常的にコーチング的なコミュニケーションを重ねていくことによって、まずは心理的安全性の確保や関係性の構築をやらないといけないと思います。次のステップは、評価の時期に関係なくリアルタイムフィードバック、スモールフィードバックが必要です。渇望感を引き出すには、リアルタイムに細かくフィードバックすることが大事です。人間も動物なので、行動した瞬間にリアルタイムに小さくフィードバックすることが大事です。それは、改善点も良いところもです。特に改善点は、スモールフィードバックの方が、本人は受け取りやすいです。半期に一度の評価面談のタイミングで、ため込んだフィードバックを言われても部下は受け止められないです。スモールフィードバックなら、受け入れ消化できます。消化できると何が起こるかというと、「もうちょっと勉強した方がいいのかな、ここの弱い部分を筋トレするにはどうしたら良いのかな」ということを自分で考え出します。こういう流れを踏めば、ほぼ間違いなくパワハラにはならないと思います。

上林:おっしゃる通りです。加えて、管理職の方がメンバーを「期待して信じる」というポジティブな感情を持つことが大事です。イマイチだという感情を持ってフィードバックすると、リアルタイムで小さくフィードバックしたとしても相手に伝わってしまい、フィードバックがダメ出しになってしまいます。また、管理職が偉くて、部下が偉くないという意識を持ってしまうと、ダメ出しっぽくなってしまいます。

佐藤:どうしても一緒くたにマネジメントしようとする人が多いのですが、5人いたら5通りのかかわり方をしないといけないと思います。わかりやすく、学力に例えてお話すると、偏差値が45の人もいれば60、70の人もいるわけです。よくやってしまうのが、同じグレードにいる偏差値45の人と60の人を比べてしまことです。そうすると45の人は、いくら言われても60の人の世界がわからないわけです。マネジャーは偏差値45の人の現状をよく理解して48という目標を立てて、45の人が48に行くために何をするのか、どんな気持ちなのか考えて設計することが必要です。その時、60の人のことは1ミリも関係ありません。60の人には65の目標を組み立ててかかわることが大事です。60の人が61になったらスモールフィードバックでほめることも大事です。評価の時期には、ある程度枠を決めて評価はしなければなりませんが、それを日常的にやってしまってはダメで、一人ひとりに合わせて達成可能な旗を立ててあげる必要があります。

上林さんがおっしゃった「信じて待つ」という感覚は、比較したら絶対に生まれません。多くの管理職は、他者と比べてダメ出しをしてしまいます。人は比べられたらやる気が出ません。自分でライバルを設定して切磋琢磨するために比べるのは良いですが、他人と比べられるのは嫌なものです。

葛西:管理職だけの重荷にならないように、その直下の中間層への働きかけは何かありますか?という質問が来ていますが、いかがでしょうか。

Q:部下との関わりが管理職だけの重荷にならないために、その直下中間層への働きかけのポイントはありますか?

上林:人材育成は1対1でやるというより、チームで育成するというのが主流になってきていますので、そういう方針を出すことが大事です。また、中間層にうまくフォロワーになってもらい役割分担をすることが大事かなと思います。

佐藤:上林さんと全く同じ意見です。管理職の方は、少し手放したら良いと思います。ちょっと面倒見のいいタイプの人がいたらフォロワーの役割を担ってもらったり、そういう人に役割を渡すことで、本人のやる気や主体性が引き出されたりもします。マネジャーが全部抱えているケースは多々あると思うので、得意な人にどんどん渡していくと良いと思います。

葛西:お時間も迫ってきましたので、改めて最後、お二人からメッセージをお願いします。

佐藤:今日のテーマで話したいことは話せたかなと思うのですが、人事の皆様がいろんな角度、経営・現場・管理職が何を考え、どういう状況なのかを把握することです。今3つ上げましたが、実際は3つではなく複数あると思っています。これだけ多様化していく中で、いかに効率よく現場に寄り添い、新しいやり方を生み出していくか、どう支援していくかが重要になってきます。今は人事の方のプレゼンスが高められる世の中の流れだと思っているので、私はちょっと違った立場で人事の皆さんのプレゼンスを引き上げていきたいと思っています。皆さんは現場で人事のプレゼンスを高めて、世の中の人事の位置づけを爆上げしていきたいと思っていますので、一緒にがんばっていきましょう。

上林:改めてご参加ありがとうございました。主体性や自己決定の話がありましたが、今はちょっとでも何かをやれば影響を及ぼす時期です。いろんな打ち手がある中で、先を見据えて、どれだけ先手を打っていけるかが大事ですので、これからも皆さまとご一緒できればと思っています。また、従業員の方に主体性を求めるならば、自分たちはどうなのか?と自分に返ってくるのがこの業界の特性だと思いますで、我々自身から変わっていくこと、新しいことにトライしていくことで価値につながると思っていますので、これからも引き続きよろしくお願いします。本日はありがとうございました。

葛西:佐藤さんの言葉にもあった通り、一緒に組織を強くしたり、人事のプレゼンスを高めていくということに関して我々は同志だと思っていますので、引き続き一緒に連携して組織を前に進めていければと思います。本日は、大変お忙しい中、最後までご参加いただきありがとうございました。

 

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