NEWONE主催:2020年11月10日開催オンラインセミナーの事例紹介

withコロナ時代、これからの人材育成はどう変わるのか? ~テレワーク下で具体的に変えるポイントを明確にする~

NEWONE主催:2020年11月10日開催オンラインセミナー

コロナ禍で世の中が大きく変わった2020年。企業の人材育成においても変化が求められています。そこで、2020年11月10日にリクルートワークス研究所の機関誌Worksの編集長を務める佐藤 邦彦氏をゲストにお迎えし、日頃お世話になっている企業様限定でオンラインセミナーを開催させていただきました。
現在起こっている社会変化から今後の人材育成がどう変わっていくのか、具体的に何を変えていくべきかについて、Worksの編集長の佐藤氏と弊社代表の上林のパネルディスカッションの模様をお伝えいたします。

◆パネラープロフィール

リクルートワークス研究所 Works編集長
佐藤 邦彦氏(Kunihiko Sato)

1999年東京理科大学理工学部卒業。同年、アンダーセンコンサルティング(現 アクセンチュア)入社。
業務改善・IT導入支援などのコンサルティングに従事したのち、2003年にアイ・エム・ジェイに転職し事業会社人事としてのキャリアをスタート。7年半の在籍中、採用、育成、制度運用、組織開発、労務などを幅広く担当し、後半はチームマネジメントを経験。
2011年にIMAGICAグループに移りグループ人事を担当、以降、2014年よりライフネット生命にて人事総務部長、2017年より電通デジタルにて人事部長を歴任。
2020年4月よりリクルートワークス研究所に参画、現職。
2017年東京理科大学大学院経営学研究科技術経営専攻(MOT)修了

株式会社NEWONE
代表取締役 上林周平

大阪大学人間科学部卒業後、アクセンチュアに入社。BPRコンサルティング、民営化戦略立案等に従事し、2002年、株式会社シェイク入社。
企業研修事業の立ち上げ、商品開発責任者として推進し、2015年より株式会社シェイク代表取締役に就任。
2017年9月、これからの働き方をリードすることを目的に、エンゲージメントを高める支援を行う株式会社NEWONEを設立し、ソフトバンク様はじめ多くの企業の支援を実施。

◆モデレーター

株式会社NEWONE
取締役 葛西健一郎

大学卒業後、大手印刷広告会社へ入社。
最年少で昇格し 2008年、株式会社シェイクに転職。
営業統括部長に就任してからは、3年連続目標達成へ導き、その後管理部門長として会社の経営にも携わる。
2018年、株式会社NEWONE取締役に就任。
営業統括として生産性向上・働き方改革などの支援を行っている。
またファシリテーターチームの責任者も兼任しており、多くのファシリテーターの採用、育成を行っている。
自身としても大手専門商社、大手メーカー各社など、業種業界問わず登壇経験があり、
内定者から経営層まで幅広く研修やワークショップで登壇をしている。

withコロナ時代、これからの人材育成はどう変わるのか? ~パネルディスカッション~  

葛西:本日は、リクルートワークス研究所のWorks編集長の佐藤様をお招きして、

withコロナ時代、これからの人材育成はどう変わるのか?
~テレワーク下で具体的に変えるポイントを明確にする~

と題しまして、弊社代表の上林とのパネルディスカッションを通して、日頃大変お世話になっている皆さまに、一つでもお役立ちいただける情報をお持ち帰りいただければと思っています。改めて、本日はどうぞよろしくお願いいたします。

2020年2月、新型コロナウィルスの影響で研修を企画されていた皆さまに置かれましては、4月の入社受け入れ準備のタイミングとも重なり、各社対応に追われ大変なご状況にあったかと思います。今年は何とか「対応」することで乗り切りましたが、2021年度に関しては、どんな「対策」をしていくべきなのか、ここから皆さまと一緒に考えていきたいと思っています。

では、さっそく以下の質問について、投票機能を使って皆さまの実情を伺ってみたいと思います。


▼投票

Q1:半年間でオンライン研修を実施しましたか?

はい:98%
いいえ:2%

Q:オンライン研修はうまくいっていますか?

はい:54%
どちらとも言えない:44%
いいえ:0%
実施していない:1%

▼Chat(一部)

Q:うまくいったポイントは?

・意外に習得度が高い。
・伝えたいことが一人一人に確実に届くこと。
・全員が議論に参加出来やすかった。
・ブレイクアウトセッションを活用しグループワークを多めに入れたこと。
・チャット機能をうまく使うことで、参加者全員の声が拾いやすい。
・全員の意見を可視化でき、集中できた。
・ブレイクアウトで、ディスカッションなど、も対面と変わらずできた。
・現場など、本社以外の社員が参加できるようになった。
・事前のルールについて細かく伝える工夫をした。
・拠点の研修機会均等に一歩近づけた。
・移動のストレスから解放された
・動画もとれて研修後のフォローアップにも使えた。
・リラックスできる環境で集中度合いが増したように思える

葛西:この結果をご覧になって、佐藤さんいかがでしょうか?

佐藤様(以下敬称略):オンライン化が必須だったと思いますので、アンケート結果通りかなと。「うまくいっている」「どちらとも言えない」という理由は、この3つに分かれる気がしています。

  1. オフラインと比較して問題がない
  2. オンラインの方が、メリットがたくさんある
  3. オフラインの方が良い

この辺りに、何かヒントがある気がします。

上林:オフラインでは、リーダーシップのある人に任せて何も発言しない人もいます。一方でオンラインは、一人ひとりが意見を発信できるようになったことが良かった点だと思っています。時代の流れも個を見ていく個別化の時代になってきているので、研修のあり方もそう変わっていくべきと考えています。

佐藤:先日、ある大学の先生を取材したのですが、今、大学の授業もオンラインで実施しています。教室の前に座る学生と後ろに座る学生には意欲の差があると思っていたそうですが、オンラインになって、どうも座る席と学習意欲には相関関係がなかったのではないかということがわかってきたそうです。以前は、前に座っている学生が意欲的で、後ろに座っている学生は意欲がないと勝手に思っていたとのことです。

これは、研修やマネジメントにおいても同じことが言えるのではないかなと。例えば、朝早く出社して夜遅くまで働いている“風”な人と、効率よく時間や場所を選んで働いている人がいたとして、果たして仕事の中身と見た目の印象は同じなのか、ズレてるのではないかなと。

葛西:これまで、いかに我々が雰囲気やムードに流されていたか、ということですね。

佐藤:それを、多くの人が「プロセス」と言っているのではないかと思います。よくテレワークは、プロセスが見えなくなったと言われますが、それはプロセスではなく、働いている“風”に見えていただけだったのではないかなと。

オンラインとオフライン研修は、今後どのように設計するべきか

▼投票
Q:オンライン研修を増やしていくつもりですか?

はい:77%
どちらとも言えない:22%
いいえ:1%

葛西:「どちらとも言えない」が22%いることも、この後見ていきたいポイントですね。実は、今日のご参加者様から事前にいただいたご質問で一番多かったのが、「オンラインとオフライン研修の割合、今後どのように考えて設計していけば良いのか意見がほしい」というものでした。

佐藤:上林さんともぜひ、今日お話したいと思っていたのですが、私はオンラインかオフラインかのどちらが良いか悪いかの話ではないと思っています。オンラインがメリットを発揮するパターンもあれば、リアルが良いパターンもあります。さらに、あるテーマにおいて、この会社にとっては、リアルが良いけど、別の会社にとってはオンラインの方がメリットあるというケースもあると思います。

「オンラインでも全く問題なくリアルと遜色なく研修ができた」 
「オンライン研修の方がリアルよりメリットがある」
「オンラインでは効果がなかった」

という、この3つをきっちり整理することが必要です。世の中の正解はなく、会社ごとに違ってくると思っているので、しっかり考察をして、この部分はリアルでやります、この部分はオンラインでやるというように、ハイブリットで組み立てていくのが良いと思います。

上林:ほぼすべての研修がオンラインでできるというのが、この半年の結論だと思っています。一方で、やはり同期間の関係性や、社会人としての所作という点は難しい面もありました。オンラインかオフラインかも大事な論点ですが、もう一つ大事なテーマが、「同期」「非同期」があると思っています。同時は、同時に一斉開催するか、非同期は動画やeラーニングを活用し自主的に学ぶものになるのですが、「同期」「非同期」の方がこれからは大きな論点だと考えています。

学習能力のスタート時点は人によって違いますので、オンライン、オフラインと共に、「同期」「非同期」を考える必要があります。例えば、個人力を強化したければ、以下図の右側が大事になってきます。同期は一斉に集まるという強制力と対話による内省がメリットですし、非同期は、知識インプットなど集中して学ぶには適正かなと思います。佐藤さんがおっしゃるように、会社や受講者の状況によって変えていくことが大事だと思います。

佐藤:この図(上記)は、大変わかりやすいですね。さらに加えたい要素が「主体性」です。テレワークになって、特に「自律」と「信頼」が大切になってきているとお話する機会が多いのですが、一人ひとりの主体性が肝になってきます。特にオンラインで非同期というものになってくると、意欲があって必要性を感じている人は、どんどん学習して成長していきますが、そうでない人はいくらでもさぼれます。一方で、同期の中には無理やり集められている人もいるので、主体性があり意欲のある人は吸収して伸びていきますが、そうじゃない人は、そこそこ吸収する程度になります。そういう人は効率が悪いのでカットするという判断もあるかと思いますし、仮に意欲がない人でも集めることで、強制的に少しでも学ばせるという判断もあると思います。これも会社によって分かれるところだと思います。

葛西:会社によってこの割合を分けていくとした時、どこを見て、どこから考えていくのが良いのでしょうか?答えもないし、抽象度高い質問にはりますが、ご意見いただけますでしょうか。

上林:個社の業務特性や研修の目的から分解して考えていくことが、これまでも大事でしたし、これからも必要だと思います。加えて、来年度の新人研修にフォーカスして考える上で押さえるべき重要なポイントは、大学でオンライン授業を受けて来ているということです。ここが、今年と来年の新卒の大きな違いかなと思います。学習意欲が高くオンラインで積極的に学んできた人が、入社してオフライン研修ばかりだと逆に違和感を感じることになるでしょう。内定者のオンラインリテラシーがあるかどうかも考慮すべき点だと思います。

佐藤:上林さんのお話を聞いていて、理由付けが、これまで以上に必要になってきていると感じます。「自分達の会社」が主語で良いと思うので、こういう理由でこの研修はオフラインでやります、これはオンラインでやりますということを明確に言える理由が必要だと思います。これは、研修だけではなく働き方にも言えることで、一方的に出社が必要ですと言うのではなく、この業務はこういう理由で出社が必要で、この業務はテレワークの方が集中できますという理由付けが必要になってきます。

テレワークは「自律」と「信頼」をベースに「主体性」が求められる

葛西:説明が増えていくということは、これまで以上に各社の人事様やマネジャーの負担も増えていくという状況ですね。

事前にいただいた質問で次に多かったのが、コロナ禍でテレワークが当たり前となる中で、我々が今後「育成すべき人材像」についてです。各社の状況や目的が違う中でも、特にこの能力を高めていく必要がある、どんな人材を育てていくべきなのかという点について、ご意見をお聞かせいただけますでしょうか。

佐藤:コロナ禍で良くも悪くも働き方のターニングポイントを迎えており、多様な働き方が許容されていく世の中になっていくと思います。そうすると一番大事になってくるのは、個人と会社の関係性で「自律」と「信頼」ということが一つテーマになってきます。個人に目を向けた時には、いかに主体的な人材を増やしていくか、育成していくかが必要で、マネジメントの方向をそちらに向けていくことがテーマになってきます。

「部下の状況が見えなくなってしまった、さぼる社員をどうしたらいいのか」という話になると思うのですが、それは、まず社員が自律していない、主体性がない、管理職はメンバーを信頼していないことが前提にあるのだと思います。そういう組織や職場もありますが、主体性をベースに仕事を進めていかなければならない組織もそうなっているのだとすれば、そこは変えていかなければならないと思います。

葛西:まずは、自律と主体性を引き出すかというところですね。上林さんはいかかでしょうか。

上林:弊社が管理職の方を対象に実施した調査結果があるのですが、「テレワークで活躍している社員が特に保有している能力は何ですか」という問いに、「主体性」という回答が一番多い結果になっています。次いで、「実行力」や「発信力」という結果です。

テレワークで活躍するために必要な能力とは?~管理職に聞いたテレワークの実態と活躍する人の特徴~

「主体性」が大事というのは私も同意見ですが、では、どのようにして「主体性」を育成するのかが難しい論点だと思っています。我々も日々試行錯誤しながら考えているテーマなのですが、佐藤さんは、これまでのご経験から何をしたら「主体性」を引き出せるか、良い方法はありますでしょうか。

マネジメントの肝は、いかに「乾かす」かである

佐藤:主体性を引き出すことは、マネジメントの永遠のテーマです。主体性を持ちなさいと言うことや、主体性のある人材を採用しますというのは違うと思います。主体性の育成は、マネジメントが肝だと思います。私が以前人事をやっていた時に、育成やマネジメントについて考えた時、すごく大事だなと思ったとこが、いかに「乾かす」か、ということです。「乾かす」とは、主体性を引き出すということなのですが、研修を提供しているNEWONEさんの前で言うことにためらいますが、ここに集まっている皆さんが振り返ってみて、研修で育った経験はありますか?自分が一番伸びた瞬間を振り返った時、どうでしょうか。例えば仕事で何か失敗をして、ここの能力が足りなかったからだということがわかれば、自分で本を買って学ぼうとします。つまり、学ばなければならいという危機感がある状態が「乾いた」という状態です。上司は「乾かせ」ということをよく伝えていました。

人事が用意した研修に、自分の部下が受けに行く時、何もしないマネジャーがすごく多いです。研修があるということすら知りません。マネジャーが何をするべきかと言うと、1on1などで「A君はこういうところが得意だけど、こういうところが苦手だよね」というコミュニケーションを日頃からしておくことが重要です。そして、実際、仕事でうまくいかなかった時に、やっぱりここの筋力が弱いのかなということを“自分で気づく”マネジメントを常にしておくことです。仮にその弱いところを強化するトレーニングがあれば、自分でトレーニング言ってきますというような状態に持ってくることです。もしくは、こういうトレーニングがあるよと教えてあげれば、本人が自ら受けに行くという状態です。

また、上司がどんな研修内容なのか把握することで、事前に「あの研修はA君の苦手とする〇〇にフィットするので吸収してきなよ」って一声かけてあげるだけで、主体性も生まれるし意欲も違ってきます。研修から戻って来たら、これまた上司が何もしないことが多いのですが、「あの研修どうだった?」と声をかけるだけで全然違うと思います。私も声をかけない上司だったことがあるので、自分の反省も踏まえてお伝えしています。

人事の方の中には、プログラムを体系化して良質なコンテンツを用意して、それで仕事が終わっている人もいますが、それは人事としての仕事の2~3割程度かなと。もちろん、大事なことですが、用意した良質なコンテンツに参加させるまでに、マネジメント側にも前工程のかかわりと、後工程のかかわりを示唆することで、学習効果が全く変わってくると思います。

葛西:日頃いかに現場のマネジャーが、メンバーとのコミュニケーションを多く取って、この筋力が弱いだろうということを気づかせてあげられるか、ならびに研修の前後で適切なフォローをしてあげることで、本人の主体性や学習意欲が変わってくるということですね。

NEWONEでは、あらゆる企業のご希望やお悩みにあわせた
多種多様な研修を取り扱っております。

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