#コラム

一行読書:「ポジティブ心理学の挑戦 “幸福”から“持続的幸福”へ」

NEWONEの小野寺です。

“ウェルビーイングとは「構成概念」であり、幸せとは「もの」である”
『ポジティブ心理学の挑戦(Flourish)』マーティン・セリングマン著

今回はポジティブ心理学の父ともいわれる、マーティン・セリングマン氏の著書の一行を取り上げてみます。
当書は著者が2004年に出版した「世界でひとつだけの幸せ―ポジティブ心理学が教えてくれる満ち足りた人生」で記載されているポジティブ心理学の理論「幸福理論」を、大きくアップデートした「Well-being」理論について記載されています。

当書が2014年に出版されて以降、「Hapiness(幸せ)」ではなく「Well-being(良い状態・良いあり方)」に注目しようという考えは広まり、多くの方が聞いたことのある言葉なのではないでしょうか。

当書ではこの「Hapiness(幸せ)」をある一時点の幸せ・気持ちよさ(ポジティブな感情)とし、それに対して「Well-being(良い状態・良いあり方)」は「Flourish(持続的幸福)」を追求するものだと説明しています。

上記に”幸せとは「もの」である”とありますが、これは人間の活動の目的として古くから言われてきた「一元論」の考え方と同様で、「幸せは自分が気持ちが良いと感じるかどうか」で決まるとする考え方です。

<当書で紹介されている「一元論」の考え方>

・アリストテレスは、人間のあらゆる活動は、幸せになるためにあると考えた
・ニーチェは、人間のあらゆる活動は、力を得るためにあると考えた
・フロイトは、人間のあらゆる活動は、不安を回避するためにあると考えた

それに対し、”ウェルビーイングとは「構成概念」”とありますが、「構成概念」とは、「天気」のようなもので、それ自体は実態がなく(「もの」ではなく)、複数の要素(天気でいえば、雨や晴れ)を統合する概念ということです。
つまり、well-Being(良い状態・良いあり方)であるためには、複数の構成要素(PERMA、以下参照)それぞれを満たす必要があるということです。

<著者が提唱するWell-beingの5つの構成要素 ~PERMA~>

・ポジティブ感情(Positive Emotion):楽しさ、嬉しさ、快適さ、充実感、畏敬の念、愛情など、ポジティブな感情を抱くこと
・エンゲージメント(Engagement):やりがいのあることに夢中で打ち込むこと
・良好な人間関係(Positive Relationship):強い絆で結ばれた家族や友人がいる、信頼し合える仲間がいるなど、充実した人間関係を形成すること
・意味・意義(Meaning and Purpose):自分の活動、または人生そのものに、意味や意義を感じること
・達成・成功(Achievement):自分の大切な目標を達成すること

また重要な点として、上記の「ポジティブ感情」以外の4つの要素は、主観的(自分がそうだと感じる)な視点だけでなく、客観的(客観的に見て、意味のあることをしているか など)な視点が影響してくるということが紹介されています。

少し煩雑でわかりにくく思われるかもしれませんので、今回の”一行”を私なりに解釈すると、一時的な幸せ・気持ちよさ(Hapiness)ではなく、持続的幸福を実現する(ずっと幸福であり続ける)ためには、「自分が気持ちよさ・ポジティブな感情を感じるか」だけでなく、客観的な視点(周囲から見て、意味があることをしていると見えるか/相手も自分と良好な関係だと感じているかなど)を含めた複数の要素(PERMA)を同時に実現することが重要だということかと思います。

新型コロナの影響で外出自粛が続いていますが、本書を手に取って持続的幸福を実現するためには、改めて何が必要なのか考えてみるのはいかがでしょうか。

 


■プロフィール
株式会社NEWONE マネジャー 小野寺 慎平

大学卒業後、(株)シェイクに入社。企業の人材育成や組織開発のコンサルティングを行う。
2018年1月(株)NEWONEに創業メンバーとして参画。
商品開発・マーケティング、組織開発コンサルティング、研修やワークショップのファシリテーターなど多方面で活動する傍ら、「仕事そのものが面白いと思う同世代(20代)を増やす」をテーマに20代向けの能力開発事業「ProjectNEW20’s」を立ち上げる。
2018年3月より(株)OriginalPointに参画。「時代にあったキャリア開発」をテーマに学生向けキャリア支援やイベント企画など行っている。