#コラム

新入社員に贈る年始に読みたい一冊

こんにちは、山野です。
来月、とある会社さんの新入社員フォローアップ研修にファシリテーターとして、ご一緒することになりました。4月の新入社員研修でもご一緒し、そこでは私自身にもたくさんの学びがあり、その様子は「仮説は立てると仕事はおもしろい」というタイトルで、コラムにも書きました。

今回のお話をいただいただことで、この年末年始もいい形で思考のアンテナが立ち、何冊か本を読んでは「研修のネタになるかも」と、ストックすることができました。ということで今回は、独断と偏見ではありますが「新入社員に贈る年始に読みたい一冊」ということで、いくつか本の紹介をしてみようと思います。

イシューからはじめよ(安宅和人)

問題解決の名著とも言われる一冊で、読まれたことのある方も多いかもしれません。我々はどんな課題に答えを出すべきなのか、それは本当に解くべき課題(イシュー)なのか、どのように課題を解決するかではなく、課題そのものをどのように見極めるかに着目した一冊で、イシューの精度が高い仕事こそが、価値のある仕事であるとも著者の安宅さんは言い切っています。仕事の進め方に行き詰まっている人には、ぜひおすすめしたい一冊です。

私もこの年末にABD(アクティブ・ブック・ダイアログ)という手法で、何人かの仲間と一緒に読み返したのですが、やはり読むたびに発見がある一冊です。改めて印象に残ったのは、イシューの精度が高い仕事には深い仮説があり、深い仮説を立てるには、メガトレンド(業界や社会全体の大きな流れ)を理解しながら、現場で1次情報に触れることが大切であるというメッセージでした。

自分自身も新入社員の頃、研修開発の仕事で迷ったときに、週末にクライアントであった通信会社さんの携帯ショップや、コンビニの店舗を観察することで、課題設定の着想を得たことをふと思い出しました。1次情報に触れることはイシューの精度を上げることにつながるのはもちろんのこと、自分の仕事が誰のどのような喜びにつながり、誰にどんな価値を提供しているのかを再確認するきっかけにもなると思います。

ぜひこの本のフレームワークを自分の仕事、はたまた自分のキャリアにあてはめて考えてみたり、一緒にプロジェクトに関わるメンバー同士の対話の呼び水として使ってみるのもいいかもしれません。いいイシューがあれば、きっとチームの関係の質を高めることにもつながると思います。

・ 続・ゆっくりいそげ(影山知明)

自分らしい仕事ができているだろうか、そんなモヤモヤを感じる人に、ぜひおすすめしたいのがこの一冊です。著者の影山さんは、マッキンゼーや、ベンチャーキャピタルで活躍された後に、現在西国分寺でクルミドコーヒーというカフェの店主をされています。

この年末に読み返しながら、印象に残った一節があります。

ときに「自分の『好き』を仕事にしよう」というような表現に出会うことがある。ぼくはその考えにはあまり賛成しない。なぜなら、仕事とは「誰かをよろこばせるためにすること」なのであって、「自分をよろこばせるためにすること」は趣味なのではないかと思うからだ。そして、誰かを喜ばせること、誰かの力になろうとすることは、簡単なことではなく、簡単ではないからこそ、自分の「ありったけ」や「とっておき」で取り組まなければならない。

でも、そのよろこばせたい相手、力になりたいと思う相手が、自分にとって大事な存在であればあるほど、そのことへの動機はとても自然で前向きなものだ。そして自分に向けてのこと以上に、ウソがつけないものであるかもしれない。そうなったときほど、いっそう自分の中に秘めた力が引き出されるという人だって多いのではないだろうか。そしてこうした前向きな必死さが、自分の中の種の存在に気づかせてくれる。それはときに、「ああ、自分にはこんなこともできたんだ」って、自分にとっても意外な角度で。

(第2章:種の話 p80-p81より)

仕事に対して自分なりのこだわりや、自分らしさを持てているだろうか?と悩むことは、社会人生活が長くなってもあることですが、そんな「らしさ」のような自分の種は、どこかに答えがあってそれを探し当てるというよりは、力になりたいと思う人、目の前の人のために前向きに行動を続ける中で「気づいたらそこにあった」という感覚に近くて、その方が、その人らしさが伸びやかに花開いていくと思うわけです。

ちなみに影山さんのこの本は「査読版」という形で自社レーベルから出版されており、amazonでは買えないし、今まで本屋さんで見かけたこともありません。7章構成の予定であった本の1〜5章を一度小さく世に出し、その本を読んだ著者からのコメントやアイデアをもとに、本の「完成版」をつくっていくというスタイルのようです。

未完成のもの、未完成の自分を差し出すというのは、少しこわいような気もしますが、そういう良い意味での隙というか、関わりしろを持つことは、人が集まるきっかけになると思います。だから、自分らしさの種が見えてくれば、それを具体的なカタチにしてみて、未完成でもそっと誰かに差し出してみるといいかもしれません。自分が前向きに誰かを応援した先に見えた種は、きっとそれを応援してくれる人がいると思うからです。

さて、今回は2冊の本を紹介してみました。大切な人に本を贈るとしたら?と考えてみることも、自分の種を考えるきっかけになりそうですね。

 


■ライタープロフィール
山野 靖暁(yasuaki yamano)
1991年生まれ/大阪府出身
株式会社シェイクに新卒で入社後、研修開発やコンサルティング営業に従事、
多くの企業の人材育成、組織開発に携わり、株式会社NEWONEの創業期にも関わる。
シェイク退職後、イギリスの大学院シューマッハカレッジへの短期留学を経て、
2018年3月より島根県の隠岐郡海士町に、暮らしと仕事の拠点を移す。
地域や、海外をフィールドにした課題解決型学習のコーディネートなど、
高校、地域、行政、民間企業等と連携しながら教育の魅力化に取り組んでいる。
最近のテーマは「他者との関わりの中で、その人らしさが生まれる学びの場」