損得感情と私たちの主観の行方

コロナの影響もあるのか、最近は何かを書くことや、意見を発信することがなんとなく億劫になる。

「なんでやろう?」と考えながら風呂に入ってたときに、ふと思ったのは、うっかり自分の主観ではないことや、「いいね!」と言われそうなことを、まるで自分の言葉みたいに伝えないように、という小さなブレーキ、恐怖感みたいなものが自分の中にあるのかもしれないと思った。

私はまちづくりや、教育の仕事に携わっていて、今回の一斉休校では、zoomをはじめとしたオンラインコミュニケーション、コンテンツの可能性が再認識された。それから、学校や行政の現場が苦手な「中長期のリスクや変化を考えながら、具体的に動く」という意識や行動が生まれた。

そしてある友人が「今回の一件で、福祉や経済の視点も含めて、学校が担ってきた役割や機能が浮き彫りになり、あらためて学校はどんな場所で、その存在意義は何なのかを考え直す機会になると思う」と書いていて、私はなるほどなあと思った。

この友人の書いていたことなんかも、うっかり、自分が発見したことのようにドヤ顔をして伝えてしまいそうな怖さが今はある。個人的には、子どもたちの「学校休みやで、いえーい」という気持ちが、徐々に「そろそろ学校行きたい」に変わってきていて、その気持ちの変化なんかに関心を向けてみたいと今は思っている。

世の中的にもこんな状況なので、ついついスマホで色んなニュースに目を通したり、Facebookのタイムラインを眺めてしまうが、たくさんの情報に飲み込まれると、なんとも苦しくなってくる。

でも、それが分かっていても、なかなか辞められないのは、自分だけが追いていかれないように、という気持ちや、もう少し言うと、自分だけが損したくないという「損得感情」みたいなものがあるのかもしれない。

損得感情というのは、なかなかやっかいだと思う。私自身もamazonで本を買うときはレビューをちゃんと見てから損をしないように決めるし、東京出張のときは、ここに行けば間違いない、というよく知っている店でお酒を飲むことが多い。仕事でも、ついつい損得感情で人を選んでしまうことが、お恥ずかしながらある。

食事、買い物などの日常的なことから、結婚、就職、転職のような人生の節目にも、この損得感情というものは、ひっそりと現れてくるし、もしかすると年々強化されてきているような気もする。

そして、この「できるだけ損したくない」や「コスパが大事」という気持ちは、私たちの好き嫌いや、主観を飲み込み、気づいたら感性や感受性は死んでいるのかもしれない。
そりゃ人間、損得感情があって当たり前だし、口コミサイト、レビューサイトや、レコメンド機能が巷に溢れる中で、私たちは感性や感受性を磨く機会を増やしにくい。

でも、この「損得感情」との付き合い方に、いい処方箋を見出すことができれば、主観を取り戻すのはもちろんのこと、1人ひとりがその人らしい生き方や、働き方を再発見できるのかもしれないと思う。

 


■ライタープロフィール
山野 靖暁(yasuaki yamano)
1991年生まれ/大阪府出身
株式会社シェイクに新卒で入社後、研修開発やコンサルティング営業に従事、
多くの企業の人材育成、組織開発に携わり、株式会社NEWONEの創業期にも関わる。
シェイク退職後、イギリスの大学院シューマッハカレッジへの短期留学を経て、
2018年3月より島根県の隠岐郡海士町に、暮らしと仕事の拠点を移す。
地域や、海外をフィールドにした課題解決型学習のコーディネートなど、
高校、地域、行政、民間企業等と連携しながら教育の魅力化に取り組んでいる。
最近のテーマは「他者との関わりの中で、その人らしさが生まれる学びの場」

 

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