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“ゆるブラック企業”になっていませんか?働きがいの高め方とは

“ゆるブラック企業”になっていませんか?働きがいの高め方とは

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著者

上林 周平

著者

上林 周平

大阪大学人間科学部卒業。 アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社。2002年、(株)シェイク入社。企業研修事業の立ち上げ、商品開発責任者として、プログラム開発に従事。新人~経営層までファシリテーターを実施。 2015年、代表取締役に就任。2017年9月、株式会社NEWONEを設立。 2022年7月に、「人的資本の活かしかた 組織を変えるリーダーの教科書」を出版。

NEWONEでは、あらゆる企業のご希望やお悩みにあわせた
多種多様な研修を取り扱っております。

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(株)NEWONEの上林です。
先日、雑誌「日経ビジネス」(2021年11月15日号)で、
ゆるブラック企業 ~残念な働き方改革の末路~
という特集がされていました。

「ブラック企業ほど忙しくないが、ブラック企業と同じように成長を感じられない。これはまるで”ゆるいブラック企業”」
という若手のメッセージのもと、働きがいが消えた職場への警鐘と私は受け止めました。

「コロナ禍になって若者の離職が増えた」という声も聞かれますが、
実態としては、コロナの影響もあると思いますが、働きがいが減っている要因も大きくあると思います。

その実態に向き合い、より良く変革していくことが大事だと思い、改めて、原因と打ち手の方向性についてまとめてみたいと思います。 

※「主体的な仕事はおもしろい!」と感じることで、働きがいを自らつくる新入社員を育てる研修

「働きやすさ」と「働きがい」

「働きやすさ」とは、休日の多さや残業の少なさ、オフィスの綺麗さなど、”働く”という行動の行いやすさを指すものです。
一方で、「働きがい」とは、成長実感や裁量・責任など、行うことに自分なりの意味を感じること(甲斐:行ったことの結果としてのききめ)や、多少なりとも抵抗がある中で前向きに乗り越える感覚を得ること(櫂:水を掻いて船を進める道具)があるかと思います。

働き方改革とは、本来「働きやすさ」と「働きがい」の両方を高めるものだったはずですが、「労働時間削減」という定量数値で見えやすいものに引っ張られ、「働きやすさ」のみが強化されている実態があります。

元々「ブラック企業」とは、「働きやすさ」も「働きがい」も無いような職場を指します。
一方で、今回掲げられている「ゆるブラック企業」は「働きやすさ」はありつつも、「働きがい」が無い職場として問題提起されています。

そもそも、新卒入社などの若手社員を採用する理由は何でしょうか。
意欲ある若手を自社で育て、将来の中核人材にする、というような意図の企業は多いのではないでしょうか。

にもかかわらず、成長実感や裁量が少ないことによって、その本来的な目的が達成しづらく、さらに離職を招いている実態に対して、向き合う必要があります。

NEWONEでは、エンゲージメント向上をはじめとした
人・組織の課題解決のヒントとなるセミナーを開催しています。

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働きがいが下がる要因

では、「ゆるブラック企業」に象徴される「働きやすさ」が高まりつつも「働きがい」が下がる要因は何があるでしょうか。

大きく2つあると思います。
一つは制約がきつくなる点です。
特に、労働時間に対する制約は大きな影響を及ぼしているでしょう。

確実にできる仕事ではなく、本人にとってチャレンジングな仕事をお願いすると、できる人が行うよりも時間がかかります。
また、やり方を考えさせる時間を勿体ないと考えれば、マニュアル含めた具体的な指示やマイクロマネジメントになり、本人の自発性は失われます。

時間を削減することを第一に考えると、自ら工夫することや、チャレンジする余地がなくなり、結果手応えを感じることが少なくなります。
そして、自ら行動していないと、成長度合いも少なく、成長実感も得られにくいでしょう。

また、労働時間にも関連しますが、上司が「失敗が許されない」という気持ちが強くなったり、ハラスメントや本人の受け取り方を恐れたりすると、できるだけ行動や解釈の変動要素を減らしたくなり、結果、考えなくても行える仕事を渡すことになってしまいます。

このように、制約がきつくなることが、働きがいを失わせている要因になっています。

もう一つは、「働きやすさ」とは「受け身」が強い指標という点です。
休日の多さや残業の少なさ、オフィスの綺麗さは、すべて会社から「与えられるもの」であり、社員からすると受け身的なものになります。

一方、「働きがい」とは、自分から主体的に行っているからこそ得られるものです。

「働きやすさ」に着目し、経営や管理職、またメンバーまで「働きやすさ」を意識しすぎると、自然と受け身的なムードが広がっていきます。

こういった2つの要因から、「働きやすさ」が高まりつつも「働きがい」が下がることが起きています。

メンバーの働きがいを高めるための「1on1」についてはこちらから

働きやすさを意識しつつも、働きがいを高めるためには

「働きやすさ」は低いが、「働きがい」が高い仕事として、起業したての創業ベンチャー等があり、そういった仕事を求める若者もいます。

「働きやすさ」と「働きがい」は二律背反なのかと言うと、そうではなく、両方が高い状態はありますし、そこに向けて一歩ずつ進めていくことが大事です。

では、「働きやすさ」を高めつつも、「働きがい」を高めるためにはどうしたら良いでしょうか。

まず前提としては、社員一人ひとりのキャリアに対する意識の転換が大事になります。

自分自身のキャリアは与えられるものではなく、自社内にとどまらず、自分自身でキャリアを考え活動していく、キャリアオーナーシップという考え方を身につけることです。

NEWONEとしましても、法政大学の田中研之輔先生に顧問に入っていただき、この領域のソリューションを展開しております。

「働きやすさ」が「働きがい」の制約になっている中で、組織側としてできることとして、大きく二つあると各企業支援をする中で感じます。

1つ目は、「Whyマネジメント」です。
何のためにこの仕事を行うかをしっかりと連鎖させることです。

具体的には、企業として、社会に必要性があり、魅力的なミッション・ビジョンを掲げること。
また、それに紐づけて、部署(チーム)単位でも、同様にビジョン等を掲げる。
そういった連鎖を作ることが大事です。

加えて、仕事をアサインするときは、何のためにアサインしたか(本人にとって行う理由)を伝え、話し合い、行った仕事に対しては、感謝・称賛等、フィードバックをきちんと行う。
今まで以上に、意味づけを強化できるマネジメントの徹底が大事です。

2つ目は、「皆で作るチーム作り」です。
残業時間が抑制され、難しいチャレンジや大きな裁量を渡すことが難しい昨今。
そういった制約化の中でも自発性を引き出すためには、参画意識を持てるようにすることが大事です。

何故その仕事を行うのか、上位方針の背景情報を知り、また方針や施策内容の決定に何らか関与をすることで、自分たちの仕事に対する当事者意識が高まります。
デジタルの発展に伴い、過去とは比べ物にならないくらい情報共有が容易な環境を活かし、情報をオープンにしていくことがポイントです。

成長実感を得るために、余力の時間や裁量が渡し難い代わりに、「視座を上げる」経験を付与する。
高い視座を持つことで、取り組み姿勢を変え、仕事の工夫余地を増やす。
これからの人材育成にとって、この「視座向上」は大事なポイントになります。

「働きやすさ」を高めつつ、「働きがい」を高めるための魔法の杖はなかなかありません。
上記の2つのようなことを、現場で徹底していくことが大事です。

NEWONEは、「働きがい」を高めるという観点で、これからも様々なソリューションを提供していきたいと思っております。

これからも何卒よろしくお願いします。