「問い」の精度を上げるために ~意識すべき2つの視点~

先日、とある国の機関から支援を受けて実施していた
グローバル関連の事業が終わり、1年間の成果を検証するために、
依頼を受けたいくつかのアンケートを分析していました。

意欲のある数十人規模の対象者が、2週間近くに渡って、
海外現地での国際交流プログラム、事後フォローアップを通じて、
「多様な価値観や考え方を受容できる資質が身についたか」
を確かめることが、調査の大きな目的で、
事前事後の比較で効果検証するというアプローチでした。

たまたま、その事後アンケートを分析していたのですが、
ふと違和感を感じたことが、多くの項目で対象者ごとの
結果のバラつきが、あまり出ないということでした。

「機会があれば、また海外に行きたいと思うか?」
「将来、海外で仕事をしてみたいと思うか?」
「自分には相手の意見を理解しようとする姿勢があるか?」
「異なる文化に触れることは興味深いことだと思うか?」
今回は前提として海外への関心が比較的高い層が
プログラムに参加していることもあり、
多くの回答者が「とてもそう思う」「そう思う」と回答する
代わり映えのなさに、どこか違和感を感じたのだと思います。

(前後比較も、大きな変化は見えにくいという結果でした)

その中で一つ、参加者の回答が大きく割れる問いがありました。

それは、「将来の結婚相手に、日本人以外の人を選ぶ可能性があるか?」
という質問でした。

「そう思う」と、「そう思わない」で半分くらい回答が
割れており、ふと目に止まりました。

結婚というトピックに対しては、今回のグローバル事業以外にも
影響を与える要素は、もちろんあるものの、
「多様な価値観や、考え方を受容できる資質が身についたか」
を確かめる上では、他の問いより明らかに有効だと感じました。

この違いは何か?と考えたときに、ふと思い出したのが、
昔読んだ、斎藤孝さんの「質問力(ちくま文庫)」という本にあった、
良い質問は「本質的、かつ具体的である」というフレーズでした。

(ここでいう本質的とは、目的に沿っていると解釈できると思います)

今回のグローバル事業のアンケート調査のいくつかの質問を
上記の斎藤孝さんの本に沿って整理すると
このような感じになると思います。

今回のアンケート調査のいくつかの問いは、具体的であるものの、
「多様な価値観や文化を受容できる資質が身についたか」
を確かめる上では、おそらく「的を外している」左上のゾーンに
入っているような気がしました。
あと、今回のアンケート調査には見られませんでしたが、
私もふくめて陥りがちなのが、目的に沿ってダイレクトに
聞き過ぎてしまう右下の「頭でっかち」ゾーン。

例えば、「多様な価値観や考え方を受容できるようになったか?」
と今回のケースで質問すると、

あくまで私の予測ですが、問いの抽象度が高いため、
「とてもそう思う」「そう思う」と回答する方が多いと予想され、
目的に対して、深い部分を見極めきれない可能性があります。

対象者ごとのバラつきを出すことが目的ではないにせよ、
「将来の結婚相手として、日本人以外の人を選ぶ可能性があるか?」

という質問に対して、「そう思う」、「そう思わない」と
答えた人の差を、定性のインタビューも含めて分析した方が、
今回のグローバル事業の質は、上がるかもしれないと感じました。

私は統計や分析の専門家ではなく、
より良いやり方はもっとたくさんあるかもしれませんが、

・ リリースした新商品の顧客満足度を検証するとき
・ 営業シーンで、顧客の潜在ニーズを探りたいとき
・ 採用活動で、候補者と自社の相性を見極めるとき
・ 新規プロジェクトの課題設定をするとき

その問いが「本質的(目的に沿っているもの)」であり、
かつ「具体的(なシーンを想起するもの)」であるか、
という2つの切り口は、使えることがあるかもしれません。

そして「問いの精度」については、シーンに応じての
使い分けなど、まだまだ探究の余地がありそうです。

 


■プロフィール
山野 靖暁(yasuaki yamano)
1991年生まれ/大阪府出身
株式会社シェイクに新卒で入社後、研修開発やコンサルティング営業に従事、
多くの企業の人材育成、組織開発に携わり、株式会社NEWONEの創業期にも関わる。
シェイク退職後、イギリスの大学院シューマッハカレッジへの短期留学を経て、
2018年3月より島根県の隠岐郡海士町に、暮らしと仕事の拠点を移す。
地域や、海外をフィールドにした課題解決型学習のコーディネートなど、
高校、地域、行政、民間企業等と連携しながら教育の魅力化に取り組んでいる。
最近のテーマは「他者との関わりの中で、その人らしさが生まれる学びの場」

 

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