残業時間削減研修を実施してみて

(株)NEWONEの上林です。
先日、ある企業様で、残業時間が多い上位20名の方々に集まっていただき、残業時間を削減するためのプログラムを実施いたしました。
すべて管理職ポジションの方でしたが、原因は人によって様々あるという仮説の中で、残業時間削減のためプログラムを作りこみ実施しました。

残業時間削減研修を実施して感じた「本人に起こっている状態」と「大事なポイント」について3つまとめていきたいと思います。


残業時間削減? 〜今までを受け入れる〜


残業時間削減プログラム開始前、実施趣旨を理解されている方々は、非常に身構えていました。

「指摘や否定をされるのではないか…」
「自分は真面目にやっているのに…」
「そもそも仕事が多いのだから…」

そのような気持ちが見て取れました。

意識や行動を変えるときには、否定をしないことが大事。
なぜならば、過去の労働環境下では、残業時間をかけてでも一生懸命働くという、その方法が正しかったことだから。「正しかったこと」を否定しても、人はなかなか変わりません。

残業時間削減のプログラムとしては、序盤に「今までは正しかった」「悪いことはしていない」という場づくりをした上で、その後に「これからの環境は何が変わるのか」を腹落ちしてもらう構成にしています。

斜に構えていた方々が、前向きに変わろうという発言がどんどん増え始めるのを見ながら、「人が変わるためには、承認が必要」と改めて思いました。


残業時間削減? 〜ブレーキを外して客観視する〜


プログラムの中では、5つの切り口から、現状業務を削減できるポイントがないかを探りました。
「共有フォルダへの直接書き込み促進」「CCメールの削減」「特定業務の外部委託」 等、部署内だけでも実施できるものがたくさん洗い出され、参加者の方々も、「できることが結構あるな」と手応えを掴まれていたのが印象的です。

業務を削減できるポイントはないか、と考え対話をする機会を作る。
日頃、職場で考えているようでいて、明文化していないと漠然としていて何も変わらないことはあるなと感じました。このような場を作ることが改めて大事だと思います。

また、削減プログラムの中で「この仕事は無駄かも、と思っても削減できなかった心理的なブレーキ」と向き合うパートを重視しているのですが、「このルールを作った人の経緯がわからないから怖い」等、こちらで用意したものを中心にディスカッションすると、自分自身のブレーキが外れていくのが見て取れます。

真面目で一生懸命。やるべきことは全部やるという習慣がついている。
残業が多い方々を見ていると、そういう共通点がある中で、自分の心理的なブレーキを見つめることが大事であると改めて思いました。


残業時間削減? 〜お願いする力と向き合う〜


人にお願いすることに対してブレーキがある人が多い。残業時間削減研修を実施してみて感じた印象でした。
真面目で一生懸命、やるべきことは全部やるという習慣があるからこそ出てくるブレーキ。

そのような中、お願いする側とされる側に分かれてロールプレイを行うと、少しの工夫で与える印象が変わり、手応えを掴む人が多くいました。
また、映像教材を使い、人が動きたくなる心理などを考えると、「そもそもお願いする側がその仕事や業務を楽しそうにしていないと嫌だな」と気づきながら、「今まで楽しそうは駄目であり、ずっと苦しそうに仕事をしていたな」と今までの労働観まで触れられる方も多くいました。

残業時間削減という名目ではありながら、「お願いする力」と向き合うことで、一人ひとりが自分の仕事を充実するための「労働観」にまで触れることになり、実施目的以上の効果を感じる瞬間でした。


残業時間削減研修を実施してみて


「論理以上に、感情が大きく影響している」
残業時間削減研修を実施してみて感じた印象であり、感情へのアプローチが改めて大事だと思います。
そして、「感情」面に関しては、新たなスキル開発がいるわけではなく、「向き合えれば」一定の効果につながると感じます。

そして今回実施してみて、残業時間削減という一見手法論のようなテーマでも、周りとの関係性の変化や、本人の労働観の変化にもつながると感じ、こういったプロセスを通じて、働くを楽しめる人が一人でも多く増えてほしいなと思います。

 


■プロフィール
上林 周平(kambayashi shuhei)

大阪大学人間科学部卒業。
アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社。
官公庁向けのBPRコンサルティング、独立行政法人の民営化戦略立案、大規模システム開発・導入プロジェクトなどに従事。
2002年、株式会社シェイク入社。企業研修事業の立ち上げを実施。その後、商品開発責任者として、新入社員〜管理職までの研修プログラム開発に従事。
2003年より、新入社員〜経営層に対するファシリテーターや人事・組織面のコンサルティングを実施。
2015年より、株式会社シェイク代表取締役に就任。前年含め3年連続過去最高売上・最高益を達成。
2016年、若手からのリーダーシップを研究するLeadership Readiness Lab設立し、代表に就任。
2017年7月、「和×人材育成」をコンセプトにした和の大学株式会社を設立。
2017年9月、これからの働き方をリードすることを目的に、生産性向上やイノベーションなどを支援する株式会社NEWONEを設立。
米国CCE.Inc.認定 キャリアカウンセラー

 

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