これからの新人研修はどうあるべきか

(株)NEWONEの上林です。
私が、新人研修のファシリテーターを初めて行ってから20年近く経ちます。
年々新入社員の傾向は変化していますが、特にここ数年は新人も、それに対する人事の向き合い方も大きく変わってきていると感じます。

具体的には、一昔前は”厳しく接してほしい”というオーダーが多く、いかに学生から社会人へマインドをチェンジするか、という観点が多かったのですが、ここ数年はそういう声もかなり減ってきています。

そういった変化の中で、改めて新人研修というものについてどうあるべきか考えてみたいと思います。

主体性は育成するものなのか


「今年の新人は主体性がない」

これは、よく聞く言葉です。
育成という観点から考えると、自分ができることを若い人たちに「教える」場合は「育成」という言葉で良いですが、例えば「主体性を育成する」というのは、日本語的としてやや違和感があります。本来的に主体性の発揮は自発的にやるものであり、「やらなければいけない」と言われてやることは、本当の意味で主体的に動いているとは言えないと感じています。“やらされの主体性”とでも言うのでしょうか。

それにもかかわらず、新人研修では「やらなければいけないから」と伝え、新人自体が「やらなければいけない」と捉えていることは多くあると思います。
そのアプローチ自体が、主体性を阻害している可能性もあります。主体性という観点で言うと、本人が体験を通じて必要だと思わない限り、なかなか育めるものではないと思います。

ましてや、昨今の若手の特徴が変わってきている中で、その傾向はより強いのではないでしょうか。

乾かない世代と呼ばれる昨今の若者論


アメリカ人心理学者でポジティブ心理学の第一人者であるマーティン・セリグマンが唱えた「人の幸せは5種類に分けられる」という話があります。

達成:与えられた目標を成し遂げたときに感じる幸せ
快楽:食べたいものを食べる等、ドーパミンを感じるもの
意味合い:行う意味を感じ、誰かに貢献できているという感覚
良好な人間関係:自分の好きな人と笑顔で生きている状態
没頭:何かに集中し、夢中になっているとき

それに対して、書籍「モチベーション革命」(著:尾原和啓)の中では、
過去の団塊世代以前などは、「達成」「快楽」を強く欲していた一方で、今の若手は、「生まれたころからすでに何もかもが揃っていたので、物や地位などを欲して頑張ることはない。埋めるべき空白が、そもそもない」と捉え、「乾けない世代」と表現しています。

そして、この「乾けない世代」は、うしろの3つ「意味合い」「良好な人間関係」「没頭」を重視する、と述べています。

すなわち、働く上でのモチベーションの源泉が、一昔前の世代とは変わってきているということです。

その上、昨今の超売り手市場があります。個人が企業を選べることができる時代において、何のために働くのか、働き続ける意味はあるのか、と若手本人が考えることは当然のことです。
その中で「やらなければならない」と型にはめることは得策だとは言い切れない状況であり、今の世代を意識した主体性を発揮できる新人研修を考えていく必要があります。

新人に対して新しい体験をプロデュースする


主体性を育むためには、良い体験が必要であると思いますが、
具体的に「どのような」体験が必要なのでしょうか。

そこには、2つのポイントがあると思っており、
それを「ブーメラン型のシミュレーション(疑似環境での実践)」という形で、現在、我々は実践しています。

1つ目のポイントは、良き仲間と、取り組むべきことに意味合いを感じ、創造性を発揮しながら没頭する経験。そしてその没頭した経験が楽しかったと感じる感覚。そういった体験が重要であると思います。

その体験に加えて、自分たちが取り組んだ成果に対して、例えば「アウトプット(成果物)」は「顧客への提案書」であるが、「アウトカム(もたらされる効果)」は何であるかを考える振り返り等を通じて、より意味合いを強化するような仕掛けで行っています。

2つ目のポイントは、「ブーメラン」という名前の由来です。疑似環境の中 で「企業の求める人材」や「求められる新入社員像」を論理的に考え、熱意をもって提案するプロセスがあります。その提案後に、「(疑似環境ではない)自社の新人に求められることは?」と問いかけると、自分たちが行うべきことを、自分で気づくようになります。会社から「やらなければならない」と言われるのではなく、「自分たちの価値を考えると、こうあるべきだし、こうありたい」となる仕組みです。

その体験に加えて、一連の疑似環境でのプロセスにおいて、顧客や上司の反応の裏にあるロジックを聞くことによって、わがままに自分勝手にやることではなく、自分たちの行動次第で自分なりの価値を発揮できる感覚をつかむことを大事にしています。

ブーメラン型のシミュレーションに参加された新人の皆さまも、自分で説明した「変化に柔軟に対応し、挑戦する人材」「自ら考えて、積極的に行動できる人」のようなキーワードと根拠に対して、自分に落とし込んでいる姿が印象的でした。

変化が速い世の中だからこそ、新人研修も変化すべき


これからAIが多くの仕事を代替していくともいわれる世の中において、
仕事の意味を感じて没頭し、その状態を楽しいと感じる感覚がさらに創造性につながる、というようなプロセスが人間には求められると思います。

同じ「働く」ならば、そういった感覚の社会人が一人でも多く増えてほしい。
我々として新たなチャレンジにはなりますが、そういった世界を目指して、一歩ずつ本質的な価値提供を行っていきたいと思います。

引き続き、何卒よろしくお願いします。

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■プロフィール
上林 周平(kambayashi shuhei)

大阪大学人間科学部卒業。
アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社。
官公庁向けのBPRコンサルティング、独立行政法人の民営化戦略立案、大規模システム開発・導入プロジェクトなどに従事。
2002年、株式会社シェイク入社。企業研修事業の立ち上げを実施。その後、商品開発責任者として、新入社員~管理職までの研修プログラム開発に従事。
2003年より、新入社員~経営層に対するファシリテーターや人事・組織面のコンサルティングを実施。
2015年より、株式会社シェイク代表取締役に就任。前年含め3年連続過去最高売上・最高益を達成。
2016年、若手からのリーダーシップを研究するLeadership Readiness Lab設立し、代表に就任。
2017年7月、「和×人材育成」をコンセプトにした和の大学株式会社を設立。
2017年9月、これからの働き方をリードすることを目的に、生産性向上やイノベーションなどを支援する株式会社NEWONEを設立。
米国CCE.Inc.認定 キャリアカウンセラー

 

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