【連載②】地域×教育の最前線 ~イノベーションの視点から~

こんにちは、山野です。

前回のコラムで、地域において持続可能な教育のモデルを
つくることが、どのような社会的インパクトをもたらすか、
ということや、その実践の中での葛藤を書きましたが、

なぜヒト、モノ、カネが豊富な都市部でなく、
離島や中山間地域で学ぶのか?挑戦をするのか?
これは今後も向き合い続けるテーマになりそうで、
まだ、自分の言葉になり切っていない感覚もあるのですが、

離島や中山間地域こそが、都市であり、日本であり、世界の社会課題を
先取りしている場所であるからこそ、ここでの挑戦が未来を切り拓く
力になるかもしれない、そんなことを高校生と話すことはあります。

人口減少の問題、医療・介護の問題、空き家問題、移住定住の問題、
産業の後継者不足の問題、挙げればたくさんあります。

高齢化率で見ると、東京などの都市部が約25%に対し、
今私が住んでいる隠岐島前地域は、約45%とも言われます。

ただ地方と都市という境界線は、徐々に崩れつつあるのもまた事実で、
「里山資本主義」などの著者でもある、経済学者の藻谷浩介さんは、
「人口減少社会の未来学(内田樹編)」という本の一節の中で、
総務省の人口統計などを引用しながら、

東京で、若者の人口流入を打ち消すほどに高齢者が増えていること、
2010年から2015年に、東京都で増えた約36万人の人口のうち、
3人に2人にあたる、約23万人が75歳以上の後期高齢者である
という指摘をしています。

さて今回のテーマである、イノベーションの話に戻ると、
社会課題そのものが共有される時代になってきているからこそ、

「課題先進地」である地方で、小さな課題解決に取り組むことの
意味合いは見出されると思いますし、課題解決、価値創造まで
至らなくても、その過程で見えてきた新たな課題や、現場感
さえも資産になると思います。

そのエッセンスを、都市部の企業が持つ技術やアイデアと
組み合わせることで、将来に待ち受ける課題解決のヒントや、
足元のビジネスチャンスが生まれるかもしれません。

例えば、飲食店「SABAR」などを手がける「鯖や」の出資で
設立された「クラウド漁業」という会社は、私が今住んでいる
島根県海士町の、漁協や、漁業者の方との協業で、

生産から販売までを一本化することによる「もうかる漁業」の
実現を目指し、活動をされています。

具体的には、市場に出ない「未利用魚」の活用による養殖コスト削減、
海水温を測定して、自動でエサをまく装置の開発など、

様々な工夫を通じて、価格設定を小売側に握られるという
漁業の構造的課題や、その結果としての1次産業の衰退という
地域課題、社会課題に向き合っておられます。

<参考:日経経済新聞 電子版> 
養殖から外食まで 鯖やのユニクロ戦略  
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26700530Y8A200C1XY0000/

このような大人の挑戦にも刺激を受けながら、高校の授業でも
「地域の課題解決」に挑戦するプロジェクト型学習が行われており、

高校生のチームが、産業の後継者不足、買い物難民の問題、Iターンと
地域の方の接点づくりなど、自分たちで設定したテーマに対して、
具体的な実践まで取り組むことをゴールに、日々活動しています。

例えば、「買い物難民」の課題に取り組むチームは、
移動販売のニーズ調査と、農協への提案などを実際にやってみて
上手くいかなければ、また作戦会議をする。その繰り返しの中で
磨かれる何かがあると信じ、一緒に走る日々です。

イノベーションという文脈では、課題感とアイデア、
アイデアとアイデアをつなげていくことも大切ですが、
実践と、失敗を何度も繰り返すこのプロセスこそが、
未来のイノベーターを育てるのかもしれません。

そして若い世代の頑張りに、お尻の火がついた大人の挑戦が増え、
チャレンジが連鎖していくことが、地域そのものの「しなやかさ」
につながるかもしれないと、最近は感じます。
さてここまで、社会的インパクト、イノベーションという
大きな視点から、地域における教育の取り組みについて
少しずつ紐解いてきましたが、

次回は連載の締めくくりとして、現場のストーリーをもとに
実践の手応えと、葛藤を書いてみたいと思います。
ぜひご覧ください。

 


■プロフィール
山野 靖暁(yasuaki yamano)
1991年生まれ/大阪府出身
株式会社シェイクに新卒で入社後、研修開発やコンサルティング営業に従事、
多くの企業の人材育成、組織開発に携わり、株式会社NEWONEの創業期にも関わる。
シェイク退職後、イギリスの大学院シューマッハカレッジへの短期留学を経て、
2018年3月より島根県の隠岐郡海士町に、暮らしと仕事の拠点を移す。
地域や、海外をフィールドにした課題解決型学習のコーディネートなど、
高校、地域、行政、民間企業等と連携しながら教育の魅力化に取り組んでいる。
最近のテーマは「他者との関わりの中で、その人らしさが生まれる学びの場」

 

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