1on1が「部下のための時間」になっているかを振り返る3つのポイント

(株)NEWONEの上林です。
「これからの部下育成」として、1on1を推奨する企業も多くあります。
1on1とは、半年に一度の評価面談というよりも、上司と部下が隔週などの短いスパンで30分程度の対話をするものです。

その1on1の大きなポイントは、
その時間は「部下のための時間」であるということ。

それを意識して、推進している企業も多く見られます。

ただ、この「部下のための時間」というもの、
上司から見ると、上手くできたのか否かがわかりにくいもの。

多くの方のロールプレイを見てきた中で、上司自体が「部下のための時間」になったかを振り返るための3つのポイントについて纏めていきたいと思います。

(1) 話している時間が部下の方が長い


大前提になりますが、
「30分の時間のうち、話している時間が上司よりも部下の方が長いか」
これは、わかりやすく振り返ることができるポイントです。

ただ、「長く話してもらえば良いよね」と思っても、上司に対してたくさん話すことは部下によっては難しいことです。
それを実現するためには、きちんとアイスブレイクなどで場の目的と話しやすい環境を作り、上司が話したいテーマではなく、部下が話したいテーマを中心に話していくことが大事です。そのためには、日ごろから行動観察し、現状の問題意識や今後への想いを推測しながら、質問することが大事です。

(2) 相手の発言の背景を捉える質問を多くしている


部下の発言に対して、しっかりと聞くことは大事です。ただ、傾聴などしっかり聞くことが大事と伝えると、「聞けば良いよね」と思う人もいます。
行うべきことは、うなづきなどを中心に聞いていることを相手にわかるようにすること、そして、部下の発言に対してまずは受け止める、特に、部下の言うことに対して、即座に問題解決やコントロールをしないことが大事です。

それを意識していると、発言に対して、「前に進ませる質問」ではなく、「背景(なぜ)に対する質問」が増えてきます。

例えば、「違う仕事を、●●部署のような仕事をしてみたい」と聞いた時、
「●●部署は、□□だよ」とか「●●のような仕事は、▼▼な経験を積んだ後の方が・・・」というように、
問題解決を図る「前に進ませる質問」ではなく、
「●●部署のような仕事をして見たいと思ったのは、いつから?(入社時から?)」
「●●な仕事の具体的にどのようなポイントに興味があるの?」
というような「背景(なぜ)に対する質問」をしているかという点です。

1on1は、その場で問題解決をすること以上に、きちんと背景を捉えることが大事です。背景や発言の要因をしっかりと押さえた上で、問題解決は、場合によっては自分のさらに上司を巻き込んで、打ち手を実施しても良いものです。
そして、そのスタンスが、結果的に、部下が多く話す状態を作ることにもなります。

(3) 相手の成長を心から望んでいる立場をとり続けている


以前、ある管理職の方との面談で、以下のようなやり取りがありました。

「●●さん(管理職)は、直属の部下が成長することを望んでいますか」
「はい、とても望んでいます。そのためにかかわっていますし、成長して欲しいと思っています」
「では、その部下が成長して、自分に追いつき、追い越し、自分の上司になっても良いと思っていますか」
「・・・、いや、それは絶対に嫌です」

自分を追い越さない程度に成長して欲しい
それは、成長を望んでいるのか、相手のことを本当に考えているのか、考えさせられる回答でした。

1on1の場に臨むにあたり、相手の成長を心から望んでいる立場をとり続けているか。

将来の希望や大切にしている価値観が、自分や自部署とは異なった時に、問題解決をしようとしたり、「自分の部下で居続けてもらわなければ」と心のどこかで思っていないか。
30分も対峙していると、そういった心理は部下に伝わるものであり、だからこそ「部下のための時間」として、そういった在り方を整えることが大事です。

まとめ:1on1を通じて、部下の状態を明らかにする


「成長」といっても闇雲にスキルを獲得することが成長とは言い切れません。本人が出来るようになったことも仕事とは関係ないことであれば、あまり「成長」とは言い切れないように、「目指す姿」に対して進んでいくことが「成長」と言えます。

そう思った時に、部下本人はどこに進んでいくのかの「目指す姿」を認識して、本人がそうなりたいと思っているか。また上司はそれを認識しているか。この状態を作らないと、効果的に「成長」はできないものです。

また、風邪などをひいて病院に行ったとしたときに、いきなり薬を渡されたり、処置をしたりすることは絶対になく、最初は必ず「問診」というものを通じて現状を把握し、その後に処置をするように、仕事面でも現状をより良くしようと思ったら、現状を正しく知ることが大事です。

部下自身が自分は今何を大事にしていてどのような状態なのかをしっかりと認識する。そして、それを上司も同じように知っている。この状態を作ることではじめて、適切な打ち手が行える状態と言えます。

人は整った状態になると、自ら成長していこうと思うもの。
1on1とは、人が自発的な成長を自然と行えるようにするための環境づくりだと思います。

その環境を作るための「部下のための時間」。
3つのポイントを意識して、自らが行っているかを確認していきましょう。

 


■プロフィール
上林 周平(kambayashi shuhei)

大阪大学人間科学部卒業。
アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社。
官公庁向けのBPRコンサルティング、独立行政法人の民営化戦略立案、大規模システム開発・導入プロジェクトなどに従事。
2002年、株式会社シェイク入社。企業研修事業の立ち上げを実施。その後、商品開発責任者として、新入社員~管理職までの研修プログラム開発に従事。
2003年より、新入社員~経営層に対するファシリテーターや人事・組織面のコンサルティングを実施。
2015年より、株式会社シェイク代表取締役に就任。前年含め3年連続過去最高売上・最高益を達成。
2016年、若手からのリーダーシップを研究するLeadership Readiness Lab設立し、代表に就任。
2017年7月、「和×人材育成」をコンセプトにした和の大学株式会社を設立。
2017年9月、これからの働き方をリードすることを目的に、生産性向上やイノベーションなどを支援する株式会社NEWONEを設立。
米国CCE.Inc.認定 キャリアカウンセラー

 

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