普通って何ですか?

こんにちは。NEWONEの木村です。 今日は少し昔の話をしたいと思います。 私が新卒で入社した会社は、勢いのある若手を歓迎する風土があり、入社年数や年齢関係なく、立候補制でユニットディレクター(施設長)を決めるシステムでした。 当時の私は「イノシシ」や「マグロ」と例えられるように、前しか見えず、あらゆるものをなぎ倒しながら、気合と勢いだけでひたすら前進あるのみでした。 がむしゃらに働きながらも当時の組織の現状には疑問を持ち、その疑問を自ら解消すべく、入社3年目でディレクターに立候補しました。 テレビ会議で繋がれた社長と全国各地の役員を前に、自ら作った資料で、組織改革の提案をしました。 その際、最後のページにでかでかと描いた「この会社の未来は、私が切り拓きます」という一言を買われ、見事、史上最年少でディレクターに就任しました。 任された部署は、それまで携わったどの業務とも違う、まったく新しい仕事でした。 ディレクターとはいえ、通常業務である接客はもちろんのこと、アルバイトスタッフが行うような雑務ももちろん行います。急な欠勤で人員に穴があけば自分が埋めるのは当たり前でした。 組織を変えるんだという使命感と、最年少でしかも所属部署では初の女性ディレクターに就任したという自信を胸に、寝食を忘れて日々業務にあたっていました。 どんなに現場業務が忙しくても、戦略立案、新たな人員確保、育成、新サービス提案等、ディレクターとしての業務はもちろん必要です。

集客増、売上アップ、顧客満足度向上、経費削減、あらゆる経営課題を解消すべく、思いつくものはすべて実行しました。

悪戦苦闘しながらも、少しずつ成果が見え始め、自分のやっていることは正しいと、いつしか天狗になり始めていたそのときです。 全スタッフを集めたミーティングで、現状の課題を分析し、何が悪いのかを滔々と説明し続ける私に、アルバイトスタッフが放った一言。 「福島さんの普通って何ですか?」 私は耳を疑いました。 「え・・・普通は普通だけど・・・」 「福島さんはいつも、普通こうでしょ?こうするのが普通じゃない?と言うけど、私にとってそれは普通じゃないです」 またある人はこう言いました。 「普通こうだからやって、って言われても納得できません。なんでそうするんですか?ちゃんと説明して下さい」 当時の私の部下は15名ほどいましたが、一回り年上で元先輩の男性社員、10歳以上年上で現場経験豊富なシングルマザーのパートスタッフ、19歳の学生アルバイト、50代の男性アルバイト等々、実にさまざまな種類の人たちが集まっていました。 当時の私は、そのことを分かっているつもりで、まったく分かっていなかったのです。 自分のモノサシだけで人や物を見て判断し、自分の考える「普通」を人に押しつけ、そのことにまったく気づかない。今思えば致命的な鈍さでした。 それでも、ディレクター就任中は本当の意味で「分かって」はいなかったと思います。 その後、ディレクターの職を離れ、仕事を変え、月日が経つにつれて、じわじわと染みるように分かってきました。 「多様性」「ダイバーシティ」という、ごく最近生まれたような言葉ですが、実はもっと昔から「多様性を認めて働くこと」が求められていたのだと、今では思います。 皆さんは日頃から、「普通」「当たり前」という言葉を何気なく使っていませんか? あなたと相手の「普通」にズレは生じていませんか? 「人それぞれ」「人はみんな違う」 よく使い、よく聞く言葉ですが、この言葉が身に染みるようになったこの出来事は、その後の私の糧となる、本当に貴重な経験です。 自分の「普通」が他人にとっても「普通」だとは限らない。 自分が当たり前だと思っていることも、他人にとっては違和感があることかもしれない。 「ダイバーシティ」と聞くと、つい難しいことや大きなことを想像してしまいますが、 そんな前提をそっと頭の片隅に置くことが、第一歩につながるのかもしれませんね。   ■プロフィール 木村 陽子(yoko kimura) 大学卒業後は星野リゾートに就職。 全国各地を転々とし、ホテル、旅館、リゾート施設の接客サービスに従事。 入社3年目に最年少で初の女性ディレクターに就任。 1年間で売上、集客、顧客満足度共に過去最高を記録。 2010年、日本サッカー協会で事務系の仕事に就く。 仕事をする傍ら、グロービス経営大学院で経営学を学び、3年半をかけてMBAを取得。 2011年、株式会社シェイクに入社。 人材育成や組織開発、職場実践等の、研修プログラム開発に携わる。 また、新人・若手・中堅層の研修を中心に、ファシリテーターとしても活躍。 2017年2月に女児を出産。仕事と育児の両立を目指し、日々奮闘中。

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